二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【殺合中書き手募集中】TPバトルロワイアル【15禁リレー】
日時: 2015/01/21 10:30
名前: 棒人間orze ◆BoVaEdQZq. (ID: Oiud.vUl)
参照: http://www55.atwiki.jp/tproyale/


☆初めに
当企画はいつでも誰でも参加可能の
『タイムパラドックスに関わったキャラでバトルロワイアルする』
リレー企画です!
なお、投下された作品はURL内まとめサイトに収録させていただきますのでご了承ください。
この企画は版権キャラの死亡、流血、残虐描写が含まれる内容から原作ファンの方には不快な思いをさせる可能性があるので15禁です。

以下簡単な質疑応答

Q1:そもそもパロロワって何さ?
中学生同士の殺し合いを描いた小説『バトルロワイアル』をモチーフにした
複数のアニメ、漫画作品のキャラクターをクロスオーバーさせる二次創作リレー小説です。
ここの他にも色々あり、基本的には2ちゃんねるにスレを立てて行われます。

Q2:バトルロワイアルって事は最初から最後まで鬱々としてるの?
そんなことはありません。原作バトルロワイアルと違い書き手によって
熱血・バトル展開が繰り広げられたりコメディ展開になったりと様々です。
鬱展開を書く事の方が少数というパロロワも多く存在します。


Q3:参戦キャラは?

当ロワではこのキャラクターがいなければタイムパラドックスは起こらない……
つまり参戦していなければTPロワ参戦作品として不適切であるキャラクターの為
参戦枠を固定してあります。
ほぼ同一の理由、行為から固定枠に入れることができるキャラクターが2名以上いる場合
どれか1名のみを選出する。
(ただしバトルロワイアルの管理、企画をしている主催陣に入る可能性が考慮されるキャラクターについては
 自由枠、つまり書き手に参加の権利を託すものとします)
※もし固定枠に違和感を持たれた場合は該当スレにて話し合ってください。
空いている枠には1度の投稿につき2キャラ以下を自由枠として出せる。
☆はこれまでに投下された作品で追加されたキャラクターです。

参戦作品一覧
【BLAZBLUE】
○ラグナ=ザ=ブラッドエッジ
○ν-No.13-
○ハクメン
○レイチェル=アルカード
☆タオカカ
☆ハザマ(ユウキ=テルミ)
【ジョジョの奇妙な冒険】
○ジョルノ・ジョバーナ
○DIO
○吉良吉影
○リンゴォ・ロードアゲイン
○ヴィネガー・ドッピオ/ディアボロ
☆ジョニィ・ジョースター
【SIREN】
○須田恭也/神代美耶子
○八尾比沙子
☆牧野啓
☆竹内多聞
☆志村晃

【勇者30】
○ユウシャ
○マオウ
○オウジョ
○○○
【ひぐらしの鳴く頃に】
○古手羽入/古手梨花
○鷹野三四
☆北条沙都子
☆園崎詩音
○○
【ゼルダの伝説ムジュラの仮面】
○リンク
○ムジュラ
○スタルキッド
☆ミカウ
○○
【METAL GEAR SOLID3】
○ネイキッド・スネーク
○オセロット
○THEボス/THE・ソロー
○THEエンド
☆ニコライ・ステパノヴィッチ・ソコロフ
☆エウゲニー・ボニソビッチ・ヴォルギン
【ドラゴンクエストⅦ】
○アルス(主人公)
○マリベル
○キーファ
○アイラ
○○
【PSYЯEN】
○夜科アゲハ
○雨宮桜子
○天樹院フレデリカ
○霧崎兜
☆雹堂影虎

【刀語】
○鑢七花
○鑢七実
○左右田右衛門左衛門
○○○
【リトルバスターズ】
○直枝理樹
○棗恭介
○棗鈴
○○○
【魔法少女まどか☆マギカ】
○鹿目まどか
○暁美ほむら
☆佐倉杏子
☆美樹さやか
☆ゲルトルート


44/72+4


Q6:キャラクター多すぎじゃない?さばききれるの?
混乱が起きないよう「予約制度」「状態表制度」を起用しています。

予約制とは
・本スレ、非常用スレなどで
 『キャラクター名@原作名 × 予約したいキャラクター分
  予約します』
 の形で宣言すれば、5日間該当キャラクターを予約できる制度です。
(『』内テンプレ)

予約した場合
・予約期間の最中に他の書き手は、該当キャラクターのSSは投下できない。
・期限が過ぎる前に予約の延長を宣言することで3日間延長を許される。
・予約期限が過ぎた場合破棄されたものとし、補任以外の誰かが予約したりSSを投下したり出来る。
・期限を過ぎても、他の人の予約やSSが入らない場合はそのまま投下できる。


状態表とは
・SSの最後に
『【地名(まとめサイト[ランドマーク]を参照)/○○日目/時間(深夜・早朝・昼間など)】
 【キャラクター名@原作名】
 [状態]:傷、疲労などの肉体的状態・不安、精神疲労などの精神的状態
 [装備]:武器として持っているものはここ
 [道具]:ランダム支給品(1〜3個、その名の通りキャラクター毎にランダムに配られる武器、装備品)、
    基本支給品一式
    +イベントにより全参加者のデイバックに強制混入;刀の在りかを書いた紙(場所・建物の名前、刀の名称)
 [思考・状況]基本行動方針:
1:
2:
3:

※追記事項(建物の崩落や情報交換によって得られたキャラ個人の首輪や脱出についての考察等々)』

と付けることでリレーを回しやすくする制度の事です。

・首輪と禁止エリアについて >>8
・デイパックとイベントルールについて >>9
・イベントルール追記 >>23
・タイムリープについて >>53

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scarlet rebellion ( No.99 )
日時: 2013/07/06 18:30
名前: N・N ◆dUfI7FkQfs (ID: MypRsCNC)

雑談スレに仮投下済みの

ラグナ=ザ=ブラッドエッジ@BLAZBLUE
天樹院フレデリカ@PSYЯEN

投下します。

scarlet rebellion ( No.100 )
日時: 2013/07/06 18:33
名前: N・N ◆dUfI7FkQfs (ID: MypRsCNC)




地図上で言うところの4-Bの位置に当たる場所、そこには「グレートベイの神殿」と呼ばれるダンジョンが配置されている。その神殿の内部はまるで水没した民家のように大量の水で溢れかえり、またその水を利用した数多くのカラクリが神殿へと足を踏み入れようとする者を待ち構えている。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーーー


神殿に入って最初の一室に、重く耳に響く音が反響していた。
その音の発生源ーーー天井近くに設置されている水車のような形をしたその巨大な装置は、ここグレートベイの神殿においても重要な役割を果たしている装置だ。
水車型の装置はその巨体ぶりにも関わらず、ゆっくりと、しかしその存在を誇示するかのように辺りにビリビリと衝撃を伝えながら回転をしていた。

しかしこの装置、なにもそれ単体で動いているわけではない。

その装置の下方に注目すると、装置の両脇に備え付けるかのように人間一人が余裕で入れそうな巨大な壺のような形をした別の装置が二つ鎮座している。そしてその内の片方からは上方向に勢いよく水が噴射され、野太い水柱となっていた。
その噴射先にあるのは先程の水車型の装置である。そう、この装置は噴射されている水柱の勢いを利用し、その力を一身に受けることでその巨体を動かしていたのだ。
この奇妙に噛み合ったからくりは、神殿内の様々な仕掛けの心臓部であり、多くの侵入者、もとい冒険者の行く手を阻み苦しめたことに大いに貢献しているのであった。
同じ空間内に存在し、上下に動き稼働している二つのリフトもその内の一つなのだが……まあその数々の仕掛けを一つ一つ紹介していると今回のお話が始まらないので、ここでの描写はカットさせていただくこととしよう。




そして、その水車型の装置に程近い高台、隣接する部屋に行くための通路がある足場からそれを睨み付けている侵入者、ではなく。冒険者、でもなくーーーー自称・「一国の主」を名乗る男が主催を勤めている「殺し合い」に理不尽にも参加させられている一人の少女が立っていた。

「どうなってんのよ、全く」

誰に言う訳でもなく、少女がポツリと呟く。
袖口が分離され肩を露出している全体的に黒っぽいフード付きのジャケットにミニスカート、二つに結わえられ体の前へと流された長い金髪を持つその少女の名は「天樹院フレデリカ」という。

(ファニー・バル…ヴァニ…とにかくなんとかいう男、あの男は一体何者?一度にあれだけの大人数を一ヶ所に集め、そしてまた一瞬にして別の場所に飛ばすなんて並大抵のサイキッカーじゃ出来っこない。まさかW.I.S.E(ワイズ)の一員?それにこの「殺し合い」…)

フレデリカは先程の光景ーーーこの場に飛ばされる前へと記憶を遡った。



見知らぬ場所、ひしめき合う数えきれないほどの人々、「殺し合い」をしろと宣言した謎の男、鮮血を撒き散らした二人の男女ーーーーー



「………ッ!」

思い出すだけでも身の毛がよだつ光景が脳裏をよぎる。
人が死ぬのは不本意ながら慣れている。それでも理不尽に奪われた命を目の当たりにして何も感じない訳がない。
そして何よりフレデリカが嫌悪したのは、それをやってのけたあの男に対してだ。人の生き死にを盤上の駒のように扱い、あまつさえ既に二人の人間の生を終わらせた、まさに「死神」を連想させるような吐き気を催す所業。
フレデリカは拳を握りしめ、その華奢な身を震わせる。しかし胸中にあるのは恐怖ではない。
溢れ出てきた感情は、怒り。

「…ふざけんじゃ、ないわよ」

沸々と、マグマのようなその感情を煮えたぎらせる。
元来、フレデリカという少女は正義感溢れる、力弱き者の味方ーーーーなどという性格ではない。言ってしまえば高飛車お嬢様気質で、他人に対して高圧的な態度をとってしまう素直になれないタイプだ。
しかしここに連行される前は、W.I.S.Eという世界を滅びへと導いた悪の組織相手に、辛くも生き残った人々を守りながら戦い抜いてきたのだ。
そんな彼女が自身の目の前で、人の命を弄ぶような行為を目撃すればーーーー怒りに震えるのも、理解しがたいことではないだろう。

「ファニーだかバニーだか知らないけど…今に見てなさい」

そして、炎の悪魔を従える少女は決意する。

「あんたのその腐れた脳ミソ…この天樹院フレデリカ様の炎で焼き付くしてあげるわ……!」



彼女は、この狂いきったゲームの反逆者となった。


●●●●●

scarlet rebellion ( No.101 )
日時: 2013/07/06 18:35
名前: N・N ◆dUfI7FkQfs (ID: MypRsCNC)





ーーーーーこの殺し合いについてフレデリカはこう考察する。

『ファニーなんとかはW.I.S.Eの一員もしくは関係者で、このいかれたゲームは世界各地で生き残った人々を集め殺し合わせる悪趣味な余興』

もちろん情報が少なすぎるため確信があるわけではない、疑問点も数多くある。
主催者はあの男一人なのか?それとも裏にまだ何者かいるのか?不死身の化物・ゾンビ・吸血鬼、そして赤い水とは一体?どうやってあれだけの人数を連れてこられたのか?殺し合いに他の目的はあるのか?

「あーんもう!考えたってらちが明かないわ!何でこんなときにあいつら居ないのよ!……て、そうだ」

自身と同じ「天樹院」の名を持つ仲間を思い浮かべながら、ふと足元に視線を送る。
そこにあったのはデイバック、殺し合いを円滑に進めるため、ファニー・ヴァレンタインが参加者全員に配った「贈り物」である。

「こんなものアタシにはいらないし使いたくもないけど、あの男が言うには参加者の名簿とか地図とか…まあ色々あるみたいだし、貰えるものは貰っとこうかしら」

マリーがいるなら心配だしね。と言いながら、屈んでデイバックのチャックをジジジ…と開ける。
中を覗くと、鈍く光る…いや、光を反射している「何か」がまず目に入った。

「?……何かしら」

一先ず「それ」を取り出してみる。
「それ」は円柱状の形をしていた。片手で持てるほどの大きさで、ひんやり冷たく、動かせばたぷんと中に水か何かが入っていることが伺える音がする。
全体が黒く、上下の縁が銀色に鈍く反射し、小さく「アルコール度○○%」と表記されている「それ」はーーーー

「…缶、ビール…?」

…で、あった。

この殺伐とした状況においてあまりに不釣り合いなそのアイテムはフレデリカの「ランダム支給品」。しかもその中でも所謂「ハズレ支給品」に該当されるものである。
フレデリカにとっては旧世界の遺物であるそれの予想外の登場に拍子抜けすると同時に、ワナワナとその身を震わせる。

「こんなもんでどうせぇっちゅうねんブォケエェェーーーーー!」

思わず怒った時の癖である関西弁を叫びながら、缶ビールを思いっきり投げ捨てた。
ガン!と向かい側の壁にぶつかった後、重力に逆らうことなく放物線を描きながら落ちていく。ポチャンと水の中へ一瞬沈んで、一呼吸おいた後に浮上し再びその姿を現した。
殺気を纏わんばかりの勢いでフレデリカはそれを睨み付ける。

「仮にも殺し合いしろゆーてんのに缶ビールってどうゆうこっちゃねんこのアホが!」

溜まりに溜まった怒りを吐き出すかのように叫ぶ。半ば八つ当たりに近かったが、この際どうでもいいとフレデリカは思う。

「あーもう馬鹿馬鹿しい!…他のやつもこんなのばっかじゃないでしょうね。」

言いながら、再びデイバックへと視線を戻す。

「……はー、もういいわ。とにかく名簿だけでも見ときましょ」

大きく息を吐き、怒りを程々に沈め、気を取り直してデイバックの中身の確認作業を再開する。
いや、しようとした
しかし


シャーーーー


「!?」

何か軽いものが滑るような音が聞こえた。それまで神殿内で聞いたことのないもので、フレデリカは反射的に音がした方へと顔を向ける。
それはちょうどフレデリカが缶ビールを投げ捨てた方向、向かい側の壁の下方から発生したものだった。
そこには足場があり、本来ならば外からの来訪者を招き入れるための奇妙な模様が描かれた青白い扉が目に入るだけのはずだった。



しかし今はその扉は開かれ、外からオレンジ色の光とーーーー一人の「来訪者」を招き入れていた。



見下ろすような形でフレデリカは神殿に侵入してきた「来訪者」を見つめる。
まず目に入ったのはツンツンした真っ白な頭髪、次いで目が覚めるほど鮮やかな色をした赤いコートに、ゆったりとした袴を思わせるようなデザインのズボン。その下に隠れているであろうガッチリとした体格と高い身長からその人物が男であることは一目瞭然である。男は目だけで素早く周囲を見渡しーーーーそして、高台の足場にいるフレデリカに気付いた。

(しまった!)

男の存在を認めた後、フレデリカは身を隠そうと後退りしたが時既に遅し、男と目が合ってしまった。
混じり合う視線、緊張に張りつめた空気、先に破ったのは男の方だった。

「…誰だ、お前」

男の低く重い声が、フレデリカの耳に届いた。


●●●●●

scarlet rebellion ( No.102 )
日時: 2013/07/06 18:41
名前: N・N ◆dUfI7FkQfs (ID: MypRsCNC)





時はほんの少しだけ遡る。


場所グレートベイの神殿の外、炎の灯った松明に囲まれた段差に、その男はどっかりと腰を下ろしていた。

「どうなってんだよ、全く」

誰に言う訳でもなく、男はポツリと呟く。
彼の名は「ラグナ=ザ=ブラッドエッジ」、世界虚空情報統制SS級反逆者にして史上最高額の賞金首、通称「死神」と呼ばれている男である。(ただし本人はあまり気にしていないが)
彼はこの殺し合いが始まりこの場に飛ばされた後、突然のことに頭が追い付いていないながらも、一先ず支給品が入っているデイバックの中身をあらかた確認した。
そして現在彼の手の中には、この殺し合いの参加者が明記されている「参加者名簿」が広げられている。

(この状況、あのファニー・バラ…バン…なんつったか、とにかくあのくるくる頭のおっさんは「図書館」のお偉いさんで、この殺し合いは適当な犯罪者やら何やらを集めた趣味の悪い余興か何か思ってたが…どうやらそうじゃねぇみてぇだな)

そう思い、松明の明かりに照らされている名簿に視線を落とす。
彼がそんな確信にも似た考えを持ったのには、そこに記されている参加者が関係していた。
険しい目付きで、見知ったその名を目でなぞる。


レイチェル=アルカード
ハクメン
世界を傍観する吸血鬼の魔女と、古の大戦を終結へと導いた英雄

「ウサギやお面野郎が図書館なんぞに簡単に捕まるとは思えねぇ…まともに戦って勝てる奴等じゃねぇしな」

タオカカ
ひょんなことから知り合った、カカ族の少女

「こいつに関してはどう考えても人選おかしいだろ…それに、図書館と協力関係にある咎追いをわざわざこんなことに巻き込むことになんの意味がある?」

そして、最後の二人ーーーーラグナにとって最も因縁深く、断っても断ち切れない関係にある人物たち。

ν-No.13-
ハザマ、もといユウキ=テルミ

世界を憎み、ラグナと「一つ」になり世界を破壊することを目的とする少女
そして、ラグナの「右腕」と家族を奪った、総ての悪の元凶にして原点の男

「…………」

前者には形容しがたい胸にわだかまるような感情を、後者には怒りなどという言葉では足りないくらいのドス黒い殺意が沸き上がる。

「……νはよく分からねぇが、テルミは図書館側の奴だ、それこそ巻き込む意味がない。むしろマイナスしかないはずだ。」

何がどうなってやがる、と白髪を揺らしながら頭を掻く。名簿に己の実の弟「ジン」と、奇怪な出会い方をした妹そっくりの少女、「ノエル=ヴァーミリオン」等の名が無かったことには(いろんな意味で)安堵したが、状況が悪い方向にあることには変わりがない。
ふと、ラグナはあることを考えた。

「レイチェル、いんのか?」

と、ラグナはなにもない空間に呼び掛けた。いつもならば皮肉の一つや二つ投げ掛けながら空間転移をしてくる魔女は、今回に限って姿を現す気配はない。

「やっぱそんな簡単にはいかねぇか…」

もし現れたのならば少しでも情報を収集するために色々と、それこそνやテルミのこと、この殺し合いのこと、ファニーとかいう男のことについて聞こうとしたのだが、どうやら無駄骨になってしまったのようだ。
なにか原因があるのか、ただ単に姿を現さないだけなのか、それとも転移自体が「出来ない」のか。
前者ともかく、もし後者ならばーーーー

「あのおっさんは何者なんだ?レイチェル程の魔法使いの転移を妨害出来るほどの魔法使いなのか?こんな殺し合いをさせて一体なんの目的があるっつうんだ?そもそも一度にあんだけの人数の人間を集めるなんざ術式でも出来ることじゃねぇ…やっぱ魔法、か?」

それにーーーーと、ラグナは自らの首元に手をやる。
そこには黒く冷たい、無機質な首輪が嵌められている。

「不死身の化物だろうが吸血鬼だろうがゾンビだろうが殺せる、だと?」

比喩などでなければ、吸血鬼はまず間違いなくレイチェルのことを指している。その事をあの男が知っているのも不可解だが、他の二つ、不死身の化物とゾンビに関しては似たようなものなら知っているが、それこそ比喩や抽象の範囲の話だ。本当にそんなものが存在するかどうかは怪しい。
そもそもあの会場で起こった現象にも疑問がある。頭を撃たれたのにも関わらず死ななかった女。それは「赤い水」と呼ばれるものの作用らしいのだが、そんなものは聞いたことがない。
他にも色々と疑問に思うこともあるのだが…推測しようにも圧倒的に情報が足りない。

(あのおっさんが何者なのか考えんのは保留だな。こっちはこんなくだんねぇことで足止めくってる場合じゃねぇってのに、面倒くせぇ、今すぐにでもあのおっさんぶっ飛ばしてやりてぇ……!)

苛々とした感情を少しでも発散するためにファニーなんとかの顔面に右ストレートを喰らわす自分の姿を想像したものの、その事を今すぐにできないという事実が逆に腹が立つ。

scarlet rebellion ( No.103 )
日時: 2013/07/06 18:43
名前: N・N ◆dUfI7FkQfs (ID: MypRsCNC)


「くそっ、うだうだしててもしゃーねーな…」

そう言い切ると、ラグナは前方を見据える。
視線の先には、石造りの壁にドーム状に囲われたこの場で唯一外が見れる出入り口らしき巨大な穴のような空間、そして外へと続いている幅の広い石造りの橋が延びていた。
その橋がどこへ通じているのかを伺おうとしても、ドーム状の壁より外は深夜ということもありある一定の距離以上は夜の闇に覆い隠されていてそれを知ることは出来なかった。
そこから視線を外し、今度は背後へと顔を向ける。
そこには奇妙な模様が描かれた青白い扉があった。扉があるということはそこから先に何らかの空間が存在しているという証明に他ならない。
いや、扉だけではない、隠しようもないこもった重苦しい音と、壁を通じて身体に伝わってくる小さくはない震動が扉の向こう側から響いてくる。

「取りあえず、何をするにしても動かなくっちゃいけねぇが……どうする?」

先の見えない橋の先か、石造りの未知なる領域か。
この異常事態を把握するためにも動かなくてはならない。しかし、ラグナは進むべき道を決めかねていた。



と、その時ーーーーー



「ーーーーーー!!」

ガン!




「!?」

扉の向こう側から叫び声、直後に何かがぶつかる音が聞こえてきた。一拍おいた後に、もう一度叫び声がラグナの耳に届く。

(まさか、この中にとっくに誰かいたのか?)

一気に身体に緊張が走る。
道を選びかねていた矢先に、内部に何者かの存在を知ることが出来たのは良かったがーーーー同時に、今のが罠の可能性も考える。
そう、それはつまり、この殺し合いに乗った者の仕業かもしれないと言うことだ。

(わざと音を出して外にいるかもしれない奴を誘い込んで入ってきたところをズドン…てこともあり得る、いや、もしかしたらもう俺の気配を察知している可能性もあるな)

考えながら扉の先へと意識を集中させるが、特に何かが起こる気配はない。

(…考えててもしゃーねーな、もし話が通じんなら情報交換、通じねぇなら無視、襲いかかってくるなら…)

チラリと、開けっぱなしになっているデイバックの中にある「それ」を見る。
そこにはラグナがデイバックを確認した際に発見した支給品の一つである「鉈」があった。大振りで先端に鉤状の突起があり、それでいて柄が短く扱おうと思えば女子供でも扱えそうな代物だ。
今まで扱っていた愛用の大剣は没収されていたが、デイバックの中にこれが入っていたときは少しだけ有り難かった。

(「武器」はある、油断はするつもりはねぇが、もし「その気」があるなら……容赦なくぶった切る。)

勘違いされてもらっては困るが、別にラグナはこの殺し合いに乗るつもりはない。
確かに彼は自身の目的上、人を殺した経験はある。それも両手では数えきれないほどの人数をだ。
しかし無力な人間を好き好んで殺したことはないし、そもそも人殺しに対して満足感だとか優越感だとか、そんなものを感じたことはない。ーーーー「ある時」を除いて、ではあるが。
だが、ラグナにはどうしても成し遂げたい目的があり、そのためならば殺人を犯せる覚悟があると、それだけの話なのだ。

ふーっと一度だけ大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。

「ぐずぐずしてても意味ねぇ、行くか」

デイバックを拾い、鉈をいつでも中から取り出せるようにして、扉の前へと歩を進める。
シャ、と自動で開いたそれに怖じ気づくことなく、その先へと足を踏み入れた。


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