二次創作小説(新・総合)
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- MMトウスター 〜物語の痕跡〜
- 日時: 2023/08/02 22:05
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
『ここに記すは、世界を超える競技の物語』
どうもメタルメイドウィンです
逃走中要素に詰まったので某作者のように逃走中ストーリー部分だけ記載した小説を制作しました
トウスターは『トウソウチュウデオモイツイタストーリーヲココニノセター』の略です
『エピソード内容』
「SEASON2」
【仮面ライダーセイバーif ドグレ黙示録編】
>>1-65
【ネオジャンプ編】
>>66-74
【闇のエンタメワールド編 〜イッツ・アメイズメント〜】
>>75-81
【虚刀・鑢編】
>>82-97
「SEASON3」
【仮面ライダーリバイスif(絶望編)】
>>98-155
【仮面ライダーギーツif 第■■回デザイアグランプリ編】
>>158-171
【仮面ライダーリバイスif(希望編)】
>>172-206
【ばいきんまん編】
>>209-210
【無敵爽快拳コワレナイザー編】
>>211
【ジャックVSリカルド編】
>>212
【英雄の悪魔編】
>>213
【戦慄のフュージョンポケモン編】
>>214
- Re: MMトウスター 〜物語の痕跡〜 ( No.208 )
- 日時: 2022/09/22 21:19
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
おろさん さん
たくっちスノー
「デモンズのギミック派手で面白いよな」
ジョージ
「だからプレバンに行った………」
たくっちスノー
「プレバン行き多いんだよリバイス!!」
うつろ様
「………随分遅くなったが、これでようやくカーレッジも終わりだ」
松山
「マジで長かったよなー、俺も一緒に死んどけば良かったんだけどなー」
たくっちスノー
「……………」
たくっちスノー
「マジで今何書こうか悩んでる、今見てる旧ハガレンもレンタルだから一気に進められなくてモヤモヤしてるし」
たくっちスノー
「あ、今のうちに言っとくけどうちの小説だとハガレンは旧アニメ版ベースなんでご了承ください!」
たくっちスノー
「そっちの小説も見に行かないとな、時間作って………」
たくっちスノー【オルタ】
「映像板時代は色んな小説見てたんだがな………」
たくっちスノー
「思えば最近投稿する時以外カキコ開くことすらしてなかったしな………」
コメント感謝だよ!
- Re: MMトウスター 〜物語の痕跡〜 ( No.209 )
- 日時: 2023/04/23 23:17
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
たくっちスノーがりりすた革命団を去ってから……たくっちスノーも向こうで1人で頑張っているのか、色んな人が革命団に訪れるようになった。
しかし、たくっちスノーは革命団には中々帰ってこないようになった。
雪「たくっちスノー……あれからほぼ1人だね」
ヨウコ「魔トリョーシカが脱退して、死んでからというものずっとね……」
ヨウコ「まぁ、たくっちスノーがいなくなって、彼を元に仲間が何人か増えたからマイナスってわけじゃないけど………」
雪「たくっちスノー………」
ヨウコ「それであたし達がくよくよしてどうするのよ、たくっちスノーも1人で、違うやり方であたし達のように世界を変える方法を模索しているのよ」
雪「だって、父さんが死んでも何も変わってないんだよ!?カーレッジ・フレインさえ完全に死亡すれば結末が来る!皆そう思ってたのに……」
雪「最早カーレッジすらも物語で不要と感じたら捨てられる立場になるほどだったなんて……」
ヨウコ「無理もないわ、カーレッジが創造主だから常に1番上とみんな思い込んでたせいよ」
ヨウコ「……さ!今はそんな事考えるより、船を飛び回ってあたし達もどんどん交流を深めていきましょ!」
ヨウコ「たくっちスノーも言ってたじゃない、今のままで無理ならこの世に存在する全ての世界、全ての設定と出会って知り合いにでもなりたいって!」
ヨウコ「その為には……あたし達が止まってる訳にはいかないでしょ!」
雪「………うん、分かった、ごめんねヨウコさん」
………
かくして、雪達はまたひとつ大きな世界へと降り立った………
………
雪「あれ?」
そのうちの一つに雪が降り立ったのだが………
雪「おかしいなぁ……ここは昔来た時は活気があったはずなのに、何の気配もしない……というより、生き物が居た形式すら感じられない」
雪「そんな事ある!?いや無い!絶対に無い!」
雪「だってここアンパンマンワールドだよ!?」
アンパンマンワールド、それは時空で1番子供達に人気のある世界であり、ありとあらゆる子供の夢が詰まった平和な場所である。
……
【MMトウスター】
『ばいきんまん』編
- Re: MMトウスター 〜物語の痕跡〜 ( No.210 )
- 日時: 2023/04/23 23:19
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
何故か全く活気が無いようだった……
雪「なんかこの雰囲気……前にもあった気がするんだけど気のせいかな?なんだろう……何か胸騒ぎがする……」
そして雪はこの世界にある奇妙な感覚を覚えていた、まるで
この世界に何も存在していないかのように。
………
雪(アンパンマンは正義……とは言わずとも、飢えた人をほっとかず、自らを差し出す慈愛のヒーローだ)
雪(彼もその協力者も、この世界とは別でお腹が空いている人が居るならそういう人達も助けたいと手を伸ばしても不思議な話じゃない)
雪「でもそれにしたって……こんなに異常な雰囲気になっていたなら誰かしら帰ってきてもおかしくないのに………」
雪「町に来たって言うのに、なにかの気配も感じない、確かあの世界って何かしらの物を無償で提供してくれる善意みたいな人ばかりなのに」
雪「というか市民すら……」
雪「……そうだ!アンパンマンワールドといえばパン工房!」
雪「あそこなら何か起きていたとしても…!」
雪はすぐさまパン工房へと走っていった………
……
雪「……っ!」
ダメだった、工房は窓を見ても人の気配もしない、中に入って電気をつけても誰もいない。
雪「そんな……」
雪「じゃあ一体誰がこんな事を……」
その時、雪はある事に気づいた
雪「これ……」
雪の目の前には一枚の手紙が落ちており、そこにはこう書かれていた
『アンパンマンは悪である』
雪「えぇ!?」
雪「いや、確かにこういう展開も何度かはあったけど……」
雪「ひとまず、いったん連絡入れないと……」
………
『え?誰もいない?』
雪「そうなんだよ、アンパンマン達どころか人っ子一人いない、電気は何ヶ月も変えてないかのように薄暗いし、パンを作る小麦粉や卵もだいぶ傷んでる、というよりはぐちゃぐちゃになってる」
雪「それに……こんな事になっているというのに、時空外に出ていたなら誰かしら気付いて帰ってきてないのもおかしいよ」
『ええ……今調べているけど、アンパンマンやその仲間が別世界の反応があったようには……』
雪「……あれ」
雪はかまどの近くに丸い球体が落ちていることに気づく。
雪「さっきまでこんなの落ちてたっけ?」
『……!!』
『危ない!直ぐにそれを捨てて工房から出て!』
雪「え、ちょっと……うわ!?」
雪が窓から工房を飛び出した途端、工房内で弾ける音がしたと思えば白い煙が部屋中に充満していた……
雪「ゲホ、ゴホッ、何が起きたの……?」
雪「今のは…?というか、いつの間にあんなものが、今まで誰も見ていないのに…」
雪は辺りを見渡したが、もう先程までの異様な光景は無くなっていた。
そして雪は工房の奥で何かが光っていることに気づいた
雪(ん?なんだろ……)
雪はその謎の物体に近づくと、それはただの石ころではなく、どう見ても宝石のようなものだと理解できた。
雪「なんか変なものが落ちているよ」
『さっきのガスの発生源かもしれないわ、そっちに送って』
雪「分かった、1回通信を切っておくね」
……
雪「……最初から落ちていたものじゃなければ、わたしに気付かれずにここに送ってきたことになる」
雪「誰がこんなことを……?」
シュッ!
その時、窓から矢が飛んでくるが雪はそれを掴む。
よく見ると矢の筋は尖ってないので殺傷力がない、間には紙と紐が結ばれていた。
矢文だ。
雪「!」
そして、それを何が飛ばしたのかも分かった。
雪「………多分、あそこにいる」
雪は確信を持ちながらその人物の元へと向かった…………
雪「やっぱり……君か」
「……ふん、思ったより早く来たな」
雪がたどり着いた先は……バイキン城。
アンパンマンと相対し、いつも邪魔されて負ける…それの繰り返し。
ばいきんまん。
雪「この世界でやっと生き物を見つけたよ」
ばいきんまん「お前、見た目からしてこの辺りの奴じゃないな?例の別世界っていう」
雪「そんなところだね、君の事は分かっているから自己紹介はいらない、私は…」
………
ばいきんまん「なるほど、全ての物語を良い結末に変えるための同盟」
ばいきんまん「それは……」
ばいきんまん「本来ならおれさまにとって敵というわけだな」
雪「そういうことになるね」
ばいきんまん「おれさまは1人になって、色々研究して、その末にできたものがこのよく分からないものだ」
雪「……私を呼んだのは?」
ばいきんまん「理由は無い、やっと生き物の反応がしたから何かあったのかと思えば……ムダだったのだ」
雪「なら、呼ばれたからにはこっちも聞く権利がある」
雪「こっちは、ここに来るまで色々見てきたし色々されてるんだよね」
ばいきんまん「………」
雪はそう言い、手を上げる。
するとそこから一本の槍が現れる。
雪の手に現れたのは、その世界に存在する武器を具現化させる能力だった。
雪「私だって弱体化したけど少しは自己防衛する手段はあるよ」
ばいきんまん「………やりあってもめんどくさいだけだぞ」
雪「それはそうだね、だから」
……
雪「あの白いガスを出す玉を出したのは君?」
ばいきんまん「正確には、お前に気付かれないようにかびるんるんを向かわせたんだ」
雪「それは気付かなかった私が悪いね、じゃあ……あのパン工房の張り紙は?」
ばいきんまん「張り紙?」
雪「アンパンマンは悪だ、とかそういう奴だよ……どうせなんかやったんでしょ、君」
ばいきんまん「ふーん、パン工場にそんなのがかったのか、ならあの中に生き残りが何人かいたのかもしれないな」
ばいきんまん「ま、お前の話を聞くにはあそこでも誰の反応もしなかったなら手遅れって所だが」
雪「…………」
ばいきんまん「お前がおれさまやアンパンマン達のことを知っているなら、最初からこうだった訳じゃないことは分かるだろ」
雪「うん、だから調べてたんだよ」
雪「今の所君しか見ていないわけだし、アンパンマンは一体どこに行ったの?」
ばいきんまん「………」
ばいきんまんは無言で席を立ち、機械を操作して何かを映し出す。
雪「これは……!?」
ばいきんまん「おれさまはただ、アンパンマンを倒そうとしていただけなのに……どうしてこうなったのか、今でも分からない」
そこにはアンパンマンワールドの地図が表示されており、バイキン城の周辺に赤い丸印が付いていた。
ばいきんまん「最初はいつも通りだった、アンパンマンの所に誰か来て、おれさまがそれを欲しがったり、ドキンちゃんがまたワガママを言ったり……」
ばいきんまん「原因も予兆も分からないままそれは起こった」
ばいきんまんが話していると、壁が開いてコンベアが飛び出していき、天丼が飛び出してくる。
ばいきんまん「そういえば昼だった」
雪「食べないの?」
ばいきんまん「今はそういう気分じゃない、食え、毒は入れてないしカビもない」
雪「まあいいや」
雪は天丼を食べる、まぁ標準的な味だ、特別美味いわけでもないが食べられないわけじゃない。
だが……物足りない。
雪「この世界だったら、本当ならお腹が空いてたらてんどんまんが頭の丼分けてくれたりするのにな〜」
ばいきんまん「確かにこんな物で作ったやつよりてんどんまんの頭にあるやつの方がよっぽどうまかった」
ばいきんまん「でももう食えない、そんなものは」
雪「………」
ばいきんまん「おれさまは……おれさま達は、何もかも失った」
ばいきんまん「そして、今に至る」
雪「……」
ばいきんまん「話の続きだ」
ばいきんまんは続ける。
……
ばいきんまん「ある時だ、おれさまは一匹の虫を森で見つけた」
ばいきんまん「その時はまったく気にしなかった、いつものようにアンパンマンを倒しに行って、いつも通りに負けた」
ばいきんまん「そしていつも通りに帰ろうとした時だ」
ばいきんまんが映像を見せる、その虫のデータだ。
ばいきんまん「とんでもない速さで増殖していたんだ、二倍、十倍……いや、百倍以上だった」
ばいきんまん「それを見ておれさまは閃いた、これをばらまけばアンパンマン達を困らせられるんじゃないかって」
ばいきんまん「全部は回収できなかったが、それでも運んでる途中でかなり増えた」
ばいきんまん「これを使ってアンパンマン達に嫌がらせをしてやるつもりだった、だが……」
雪「そいつは想像以上の動きをした、いや…しすぎたんだね」
雪「そうか、その虫を見ればなのが起こったかも何となくわかる」
ばいきんまん「これを知っているのか!?」
雪はうなずく。
ばいきんまんが話した虫、映像を見てはっきり理解した、この世界に何が起こったのかを。
雪「一応続けて、虫をばらまいてその後は?」
ばいきんまん「あっという間に町のあちこちに広がって大騒ぎ、おれさまの予想通りアンパンマンが駆け付けた」
ばいきんまん「だがあいつのアンパンチを食らっても全然止まらないどころか……全部包み込んだ、大成功だった」
雪「でもまた新しい顔が来て元通り……見ている人はそう思ってたけど」
ばいきんまん「おれさまにとっても信じられないことが起こった」
ばいきんまん「………動き出した、アンパンマンの体が」
ばいきんまん「いや、あいつは別にアンパンの顔が無くなったら動けなくなるわけじゃない、首を外すことも出来る」
ばいきんまん「だが、あの時は違ったんだ」
ばいきんまん「なんでかは分からない、ただあの時のアンパンマンはいつもと違ってたんだ、まるで……」
ばいきんまん「おかしいと思ったのは皆そうだった」
ばいきんまん「あの虫のことを知っているなら、この後何が起きたか分かるか?」
雪「……何かに寄生したんだよね?」
雪「ハカイモノ……私たち革命団としては因縁深いやつが生み出したもので、なんでも寄生して、生物に代わり、破壊するために生きて死ぬ……」
ばいきんまん「そう、寄生した……信じられるか?未だにおれさまは頭が変になる」
ばいきんまん「カレーパンマンが虫に向けてカレーを飛ばしたら、そのカレールーがおばけになったんだぞ!」
雪(おばけって表現に年齢層を感じる)
ばいきんまん「そこからは早かった、右から左へ、下から上へ、海から山へ、ぜんぶ、ぜーーーんぶあの虫にくっついていった」
ばいきんまん「おれさまも逃げようとした、でも遅かった」
雪「そ、そんな……それってつまり……」
雪「アンパンマンどころか、しょくぱんまん、カレーパンマン、ジャムおじさん、バタコさん……それだけじゃない、皆、皆ハカイモノに寄生されて……」
無機物に寄生することが多いハカイモノだが、アンパンマンワールドは元が無機物揃いだ、それによって………
ばいきんまん「正確には皆じゃない、さっき言っただろ、生き残りが僅かにいた、それも首無しアンパンマンや寄生されたカレーパンマン共に怯えながら暮らしてるよ」
ばいきんまん「今頃は、この世界でおれさまの次に嫌われているだろうな」
雪「……」
ばいきんまん「おれさまがこの状況を見て黙ってると思ったか?」
雪「じゃあ聞くけど、このやり方で結果的に君はアンパンマンに勝つことが出来た、それからは?」
ばいきんまん「勝った?これが?勝ったなんて言えるのか?」
雪「だよね」
ばいきんまん「実際そうだ、あの虫はドキンちゃんにも寄生した、ホラーマンにもだ」
ばいきんまん「かびるんるんはいくらでも用意できるから困らないが……」
ばいきんまん「………」
ばいきんまん「お前でも分からないのか?あの時出会ってから、ずっとおれさまはあの虫に触ってるのに全くなんともないのだぞ」
雪「全くって……え!?虫がいないわけじゃないの!?」
ばいきんまん「ああそうさ、おれさまの体にも何体かいる、だが体を乗っ取られたわけでもないし体調が悪くなってもいない」
ばいきんまん「おれさまだけが、な」
雪「う、うん……?バイキンの塊だからそういうのに一切耐性が出来たのかな……?」
ばいきんまん「1人になったおれさまは、ずっと1人で研究した」
ばいきんまん「あの虫の事をひたすら、ひたすら調べて、作った」
ばいきんまん「そのハカイモノとやらを消滅させるガスを」
雪「!?」
雪(ま…まだ詳細もよく分かってないハカイモノの対処案を独流…それもたった一人で…!?)
ばいきんまん「レーダーで手当り次第虫を見つけ、かびるんるんに持たせてそれを投げる、軽い衝撃に反応して吹き出して灰のように消す」
雪「じゃああの工房に落ちていたのはその不発弾?」
ばいきんまん「不発弾なんか出ない、ちゃーんと虫が居ることを想定して……」
雪「工房の中にハカイモノが!?で、でも私が来た時はそんな反応は……」
ばいきんまん「かまど」
雪「!」
ばいきんまん「いつもアンパンマンの新しい顔を焼いてしまうムカムカしいあのかまど、あの中にぎっちり詰まっていた」
雪「………っ!」
ばいきんまん「勿論欠点もある、虫に寄生された奴ごと消滅したことだ」
ばいきんまん「完成した時広範囲に一気に着弾させた、十数個の爆弾が街を包み、虫と一緒にカバオ達まで消えた」
ばいきんまん「でももう手遅れだ、ありったけ作ったものを全部ばら撒くように言ったから…」
ばいきんまん「結果的に全部消えてなくなったよ、ハカイモノとやらの思い通りに」
雪「………」
雪「そ、そん…な……」
雪「アンパンマンワールドのキャラクター達が、殆ど退場……?カーレッジが死んでもなお、世界を消滅させる存在は終わらないのか……?」
と、雪が話を聞いていると連絡が入る。
雪「あ……はい!」
『……聞きながら情報提供ありがとう、雪』
『改めて調べ直したらヒットしたわ……ほぼ都市伝説みたいな扱いだったけど』
『時空で……顔無しアンパンマンが徘徊しているのを見たって』
『そして……あいつもいたわ』
雪「!」
雪「エルケー……やっぱり生きてたんだ……」
雪「分かりました、直ぐに戻るよ」
ばいきんまん「………そうか」
ばいきんまん「何となくそんな気はしていた、アンパンマンがあれくらいで倒れるわけが無い」
ばいきんまん「エルケーというのはあの虫の親玉というわけだな」
雪「………ねぇ、ばいきんまん」
雪「もし良ければだが、りりすた革命団に来ない?」
ばいきんまん「何?」
雪「エルケーは私たちに深く関係している存在なんだ、この世界以外も危機に陥る可能性が高い」
雪「ハカイモノを突破出来る存在が必要で……」
ばいきんまん「断る」
ばいきんまん「なんでおれさまがお前達なんかに協力してやらないといけないのだ?」
ばいきんまん「おれさまはな、世界がどうなっても、お前達の目的がどうなってもどうでもいい」
ばいきんまん「おれさまの目的は今やただ1つ、いやずっと変わってない!」
ばいきんまん「アンパンマンをこの手で倒す!その為におれさまは生まれ、この場所に降り立った!」
ばいきんまん「1人でもやる!やれる!やれるんだっ!」
ばいきんまん「だがアンパンマンがもうここにいないと分かっただけでも好都合だ!アレを起動するしかない!」
ばいきんまんは椅子から飛び降りて、エレベーターで一気に地下まで降りていく。
ばいきんまん「アンパンマンはお前達にもそれ以外にも滅ぼさせはしない!」
ばいきんまん「絶対にだっ!!」
……
雪「………生命反応、あれら以外に無しと判断、1度この世界から撤退し……」
『……おい、おい!』
雪「え?」
『おい、何ボサっと歩いてるんだバカ姉!!』
雪「えっ、その声……フィノワール!?どうしたの!」
『話してる暇は無いんだよ!さっさとそこから脱出しな!船を出す!』
雪「え!?ちょっと」
雪は大急ぎでバイキン城を抜けた途端、船が時空を超えて現れて、雪を回収する。
その瞬間だった、バイキン城とその周囲を破壊して、吹き飛ばしながら……巨大な黒い船が空を舞っていく。
ばいきんまん「ここから脱出する用に作っておいた方舟がこんな所で役立つなんて……」
ばいきんまん「目指すはアンパンマン!!バイキングジェット号、発進!!」
ばいきんまんを乗せた船はアンパンマンワールドから離れて行き、そのまま別の時空へと飛んでいく。
ばいきんまんは操縦室に入り、船の行き先を設定、そして……
(待ってろよアンパンマン……)
(お前を倒す為なら……)
(手段は選ばん!)
………
そして、雪も戻ってきた。
雪「………アンパンマン達が、知らない間にそんなことになっていたなんて」
ヨウコ「結末が来ない世界、それは永遠に終わらないということばかりだと思ってた」
ヨウコ「でも実際は、こうやって全てをぶった切って虚無のように何もかも意味を無くすような形にもしてしまうのね」
狩崎「どうかな、私達のパターンのように潰すだけ潰して結局あやふやにしてしまう事もあるだろう」
レオン「さすがに今回はそうはいかねーだろ、だってアンパンマンとばいきんまん以外全員退場しちまったんだろ?」
雪「………そこなんだよね」
平良「ねえちょっと待って、それやばいんじゃ」
平良「だって、パンは全部食われて首無しの状態でハカイモノとして徘徊してるんでしょ?ばいきんまん自体にもハカイモノがいるし……」
平良「ジャムおじさんが消滅したんじゃ、ハカイモノを解決してもアンパンマンの顔焼けないから……」
雪「…………」
雪「それでも私はやる、ばいきんまんより先にアンパンマンをなんとかする」
かくして、私たちは世界を超える。
交流を深め、この戦いから足掻くために。
MMトースター
【ばいきんまん】編
END
- Re: MMトウスター 〜物語の痕跡〜 ( No.211 )
- 日時: 2023/04/25 23:25
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
りりすた革命団は今、ある世界に降りたって各地を移動している。
というのも………
レオン「ふっっざけんな!!」
レオン「なんでフィルトナの落としたマンガノート全員がかりで探さないといけないんだよ!!」
MMトウスター
【無敵爽快拳コワレナイザー編】
………
雪「ま、まあまあ……」
AI「いいじゃん別に、遂にフィルトナがジャンプ作品とは別でオリジナル作品描くって決心したんだぞ?」
遊作「俺が借り物でネオジャンプを進めるのは限界だと促したからな……」
フィルトナが一から漫画を描く決心はしたものの、購入したノートを紛失してしまったので探してこなければいけなくなったのだ。
しかも……
レオン「傷でもあったら承知しねーって、ノート1つにマジになってんじゃねーよ!」
ヒロミ「まあ、いいじゃないか、彼女の自分だけのマンガは俺も興味深いし」
飛羽真「そうだよ、最初に来た時よりもストーリーも絵も上手くなってるんだから」
ヨウコ「なら自分で取りに行けば……と言いたいけど、あれでもネオジャンプは私達りりすた革命団の収入源の1つなのよね」
exe「あったぞ、それっぽいもの」
exeがノートを回収して音速で現れた。
雪「凄いじゃんexe、よく姉さんのって分かったね」
exe「名前は書いてなかったが、中を見てもしかしてと思った」
exeは雪にノートを渡し、中を確認する……そこには
雪「『無敵爽快拳コワレナイザー』……?」
巨大な拳のスーパーロボットのイラストがでかでかと描かれ、周囲にはビッシリと設定が描かれていた。
レオン「絵汚ッ、何が上手くなっただよ」
雪「よくわかんないけどすごい設定の羅列だ……フィルトナ姉さんいきなりロボ物から描く気なの……?」
設定を隅から隅まで確認する、無敵爽快拳コワレナイザー。それは凄いパンチを繰り出す凄いロボット!悪の組織『ダークソウル』と戦うのだ! 必殺技は……などなど、かなり細かいところまで設定が書かれていた。
雪(このページだけなんか他のと比べて妙に綺麗だし、それにこれ、手書きじゃない)
表紙にはタイトルのみ書かれていて作者名はなし、なのに裏にはびっしりと手書きの文字が書かれている。
雪「まあいいや、みんなお疲れ様……じゃあ私これフィルトナ姉さんに渡してくるから」
そして一同は撤収し、船の中へ帰還して行った………
………
船の中でのこと
フィルトナ「……………」
雪「……………」
フィルトナ「これ描いたの誰?」
雪「姉さんじゃないなら……知らないけど」
雪「大方落ちていたノートを誰かが勝手に落書きしたとかじゃないの?」
フィルトナ「ちょっとおおおお!!もう!!折角苦労して手に入れたのに!オークションサイトまで経由したのに!」
雪「……え、え、ちょっと、どうしたの!?」
フィルトナ「雪」
雪「はい」
フィルトナ「私がマンガ作る時普通のノート使うと思う?」
雪「要するにとんでもない代物だったんだね」
………
雪「ぐ、具現化?」
フィルトナ「そう!ノートに文字を書けばその通りのことが起こり、絵を描けば実態化して存在したことになる!」
フィルトナ「これでオリジナル作品→ジャンプ作品って経由して新しく書こうと思ったのに……」
雪「1から描くって少年ジャンプ作品を捏造する気だったの!?どんだけオリジナル描けないの!」
フィルトナ「だって週刊少年ネオジャンプなんだから仕方ないじゃない!」
フィルトナ「…………」
フィルトナ「で、それを誰かが勝手にキャラクター描いたってわけね」
雪「うん」
フィルトナ「凄い呑気に言ってるけどこれ状況的にまずいわよ」
雪「いやでも、キャラクターが具現化くらいなら珍しいことでも……」
フィルトナ「それは確かにそうだけどここに描かれてるの小学生みたいな要素で構成された無敵爽快拳コワレナイザーでしょ」
雪「………」
その瞬間であった、
2人の脳内に声が響いたのは。???《お困りですか?》
雪・フィルトナ(こいつ直接脳内に……!)
松山「俺だよ、金借りに来たらとんでもないことになってるみたいだな」
雪「出来れば普通に会話してくれません?」
………
松山「あー、今ニュースになってんぞ無敵爽快拳コワレナイザーとかいうのが街を暴れてるって」
雪「大きさどんぐらい?」
松山「全長300メートル」
フィルトナ「デケェ」
雪「このノートに書いてある通りだ………マジで顕現してるよ」
フィルトナ「しかもそれ暴れてるわけでしょ?」
松山「ノートの設定を見る限りだと必殺技やスペックは山ほど書かれてるが、肝心な『正義のために戦う』とは書いてないからな」
雪「ちょっと制約厳しすぎない?」
フィルトナ「ど、ど、どうしよう………」
松山「んなもん簡単だろ、貸せ」
松山は鉛筆を手に取り、ノートに手をかける
松山「フィクションから生まれたなら塗り潰すなり書き足すなりすれば………」
雪「あれ」
鉛筆がノートに当たっているのに、字にならない。
雪「インクあるよね?」
松山「インクっつーか鉛筆だぞ、有り得るか?」
フィルトナ「えい!」
フィルトナはペンキをぶっかけるがシミひとつつかない。
雪「どうなってんのこのノート」
松山「しゃらくせえ!こうすりゃいいだろ!」
バン!バン!バン!
松山はライフル銃をぶっぱなすが、弾丸の軌道がノートに当たっても反れるだけで傷一つつかない。
松山「防弾チョッキか何かかそのノートは」
雪「ノートより先に私達が風穴あくと思った……」
フィルトナ「さすがに神の力で作られただけはあるわね……」
松山「おい雪、お前確かこういうのの始末得意だったよな」
雪「何が言いたいのかは分かるけど、多分無理だと思う」
フィルトナ「なんでよ」
雪「ノート自体は多分、最初に書いた人にしか自由に操作出来ないんだろうね、wikiの創設者とかブログの管理人みたいなものだよ」
雪「でもどこかに落としたものを見知らぬ誰かが書いたわけだから、その人の特定なんて出来ないし」
雪「コワレナイザー自体をどうにかしようとしてもなんかもう、絶対負けないってのがエッグいくらい伝わってくるくらい後出し設定が詰まってる」
松山「揚げ足とられてムキになった安価スレみたいだな」
フィルトナ「じゃあどうするの!?」
雪「ひとまずコワレナイザーの所へ行こう!」
……
そして……コワレナイザーの前に来たのだが……
一同が目にしたのは、ビルやら車やらを殴ったり蹴飛ばしたり、果てには建物を持ち上げて放り投げたりとやりたい放題の無敵爽快拳コワレナイザーの姿だった。
フィルトナ「うわぁ……」
松山「誰かの落書きで世界がヤバい」
レオン「そもそもコイツがノート落とした上にマンガで手を抜こうとしたのが悪いんだけどな!!」
平良「革命団にウルトラマンはいらっしゃいませんかー!?」
或人「仮面ライダーなら山ほどいるけど……」
虎徹「お前さんの力でなんとかならない?」
うつろ様「なんでもかんでも時空の意志に頼るな」
松山「ほんとそれ」
ヨウコ「と、とりあえずまずは様子を伺って……」
その時、コワレナイザーに向かっていった戦闘機がミサイルを打ち込み、それを確認して目からビームを放って薙ぎ払った。
レオン「おいちょっと待て」
レオン「コワレナイザーの副題なんだった」
マール「無敵爽快拳」
レオン「拳使ってねぇじゃん今思いっきりビームしやがったぞ!!」
松山「ああ、それに関してなんだが」
松山「後付けで『無敵のパンチが強いなら遠くから撃てばいいじゃん』とかいう野暮みてぇなツッコミに書き足されたように高周波最強滅亡波動砲って技があるらしい」
フィルトナ「意地でも負けに繋がる所を消すためにコンセプトすら放り投げたの!?」
雪「ダメなタイプのなろう系主人公みたいだ……」
マール「あ、充電してる」
松山「エネルギーの八割を使う高出力砲らしいからな、使う度にエネルギーを吸収してんだろ」
exe「イビルジョーみたいな設計してるな」
平良「充電中はスキだらけ……ってことはないよね、うん」
松山「充電中は絶対無敵バリアが発生されて5秒で終わるんだと」
龍我「もうこのイラストのロボットは何と戦うんだよ……」
雪「何と……あっそういえば、ダークソウルっていう悪の組織と戦うって描いてなかった?」
フィルトナ「多分ダークソウルの方はコワレナイザーと違って設定が曖昧だから反映されてないのよ、だから見境なく敵を襲ってるの」
レオン「はた迷惑な無敵ロボだな……」
雪「このままじゃ全ての世界を破壊しちゃうよ!なんとかしないと!」
AI「なんとかって言われてもよ、何かしらの弱点になり得そうなものはみーんな対策して後出ししてるんじゃないのか?」
遊作「いや、見境なく欠点をカバーするように付け足していけばボロが出る、想定していない新たな弱点が付いているはずだ」
フィルトナ「なんだか重箱をつつくようで創作者としては嫌な気分ね………」
松山「ムキになって無敵アピールする為に設定ゴリ押し付け足しするようなやつが悪い」
………
その為、一旦退却して無敵爽快拳コワレナイザーの弱点になり得そうなものが無いか船内で確認することにしたのだが……
雪「どう?AI……何か分かる?」
AI「分かるも何も殴り書きだぜ?解読するのですら精一杯だよ!」
松山「ミミズみてーな文字してるからな、俺も読める範囲でしか見ていないし」
フィルトナ「えーとコワレナイザーのスペックを分かってる範囲で確認すると、パンチはどんな物でも破壊して、遠距離では目からビームで対処して、充電は5秒で終わってその間に無敵バリアを……」
雪(無限に変な設定が増えていく……)
フィルトナが読み上げている間にもノートの隅々まで調べているが、これといった弱点は見つからない。
フィルトナがページをめくっていると
フィルトナ(ん?)
フィルトナの指が止まる。
フィルトナ「ねえ、このコワレナイザーに使われてる装甲なんだけどさ」
ヨウコ「ん………特殊合成金アルティメットダイヤモンド………」
雪「なんというか……凄い小並感」
虎徹「子供って大体硬いものにダイヤモンド挙げるよなー」
バーナビー「世界一硬い宝石と言われていますからね、ダイヤモンドも熱に弱いので壊れないというわけではありませんが」
AI「ダイヤモンドだったらそれで通用するかもしれんが、特殊合金だぞ?」
狩崎「いや、そもそも硬さの基準となるモース硬度の判断が『引っかき傷による硬度』を表してるからね、普通にハンマーとかで叩けば割れる」
雪「となると、高いところから持ち上げて地面に落とせば……」
松山「重さ500tのバカ鉄人をどうやって持ち上げるんだ?」
雪「それは……」
ヨウコ「いや、ちょっと待って!なんだかコワレナイザーの様子が変よ!」
映像の方を見てみると、コワレナイザーの動きが何やらぎこちないように見える。
足元が震えて、膝が曲がっている。
雪「なんというか………ふらついているというか」
ヨウコ「松山今何キロって言ったっけ」
松山「500トン」
フィルトナ「………あ、私なんか分かったかも」
雪「え?」
フィルトナ「キャラクターとかの身長体重ってさ、大体最初に考えるでしょ?でもコワレナイザーは後から武装や設定を後出ししたから……」
フィルトナ「あのコワレナイザーは中に武装を山ほど詰めちゃったから実態は500トンを既にオーバーしてるのよ、それで重みに耐えきれなくなって脚部が壊れ始めたんじゃない?」
雪「改めて極端なノートだね!!」
レオン「じゃあほっといても勝手に壊れるのか?」
狩崎「そんな呑気な話でも無いだろう」
遊作「ああ、足が崩れる事で推定500t以上の塊が一気に地面に落ちることになる」
遊作「その衝撃は大袈裟な比喩表現になるかもしれないがアルマゲドンにも匹敵する程だろう………松山、その鉄人に自爆装置の類は?」
松山「負けることを想定してないからそんなもんはないが、ミサイルとかは搭載されてんな」
遊作「尚更まずいな、さっきも言ったがそれだけの火薬を詰めて落下するということは」
松山「このデカさなら核爆弾落ちてくるみたいなもんだな」
レオン&龍我(スケールでかすぎる……)
雪「いやでもマジでシャレにならないよ、このままだとこの船が潰されるどころか世界1個ごと吹っ飛ぶ!どうにかして止める方法を探さないと……」
その時、AIはとあることに気付いた。
AI「なあ、コワレナイザーってまだ動けばするんだろ?」
ヨウコ「そ、そうね……多分数歩歩いたら限界が来そうだけど」
AI「よし、ちょっと時間があるなら充分だ!ちょい急ぎで言ってくる!」
遊作「なっ……おい!AI!何をする気だ!」
AI「大丈夫大丈夫!無茶できるように代わりのバックアップとボディは山ほど用意してある!」
遊作「そういう問題じゃない!」
AIは船から飛び出して、再びコワレナイザーの所へ向かっていった。
そして………目の前に立つ。
AI「よーし、来い!」
コワレナイザーはAIを見て腕を振り上げパンチを放つが………
雪「あ、危な………」
バチッ!バチッ!!
だが、拳は届かない……いや、壊せない。
AIのすぐ近くで。
ヨウコ「あ………あれは!」
AIはコワレナイザーの設定が書いてあったあのノートを盾にしていた。
AI「持ち主以外は消せないノートとなんでも壊す鉄人!この世の中には矛盾は存在しないんだよ!」
ノートは遂にコワレナイザーの拳で消し飛んだ……と、同時にコワレナイザーは光の粒となって消えていった。
AI「っし……作戦成功」
雪「の………ノートが消滅した」
かくして、はた迷惑に誰にも気付かれない内に世界の危機は去ったのだった。
ーーーーーー
フィルトナ「ああもう……一体誰があのノートを使ったの、私が使うつもりだったのに」
雪「存在しないジャンプ作品を作って、それを打ち切り扱いしてネオジャンプに掲載なんて考えるからそんなことになるんだよ」
フィルトナ「う、うう………オリジナルはお預け!ギンガとリューナでも描こう……」
【無敵爽快拳コワレナイザー編】
END
- Re: MMトウスター 〜物語の痕跡〜 ( No.212 )
- 日時: 2023/05/03 16:51
- 名前: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (ID: VOI/GMTL)
男として生まれたからには、誰もが一生に一度は夢見る『地上最強の男』。
これは、最強に近付く為に手段を選ばず、肉体を鍛え続けながら戦い続けるある2人の男の物語である。
------
地下闘技場、それは表舞台の格闘家にとっての、まさに「聖地」。
どんな技術でも、どんな流派でも関係なくタイマンで戦う、真の最強を決める場所。
その会場に今、二人の男がグラップラーとして立っている。
1人はジャック・ハンマー。
もう1人はリカルド。
共に、偉大な父を持ち、それらを継ぐために命を懸け、肉体改造を施した怪物に近い者たち。
なぜ彼らが出会い、戦うことになったのか………
時は数時間前まで遡る。
ーーーーーー
リカルド「こんにちは、少しいいですか?」
雪「え?貴方は確か……リカルドさん?」
リカルドがある日、りりすた革命団に訪ねてきたのだ。
と言っても、リカルドから見た絡みはクロノス社で戦闘中をしている時ぐらいで雪達とは何の接点も無いのだが
雪「たくっちスノーだったら最近はもう革命団に姿を現してないよ?」
リカルド「ああ、そうでしたか……最近姿が見えないのでここに居ると聞きましたけど」
雪「あ、もしかして何か用事?私やこの革命団で何とかなることだったら相談くらいは乗れるよ」
リカルド「では……」
………
雪「誰でもいいから裏の格闘家と戦いたい?」
リカルド「ええ、僕もミスター鬼龍……父を継ぐ者になる為にはまだ実績が足りません」
リカルド「一応、僕自身も何かしらの格闘技チームに所属していたことはありますが少しでも力を解放すると相手は大怪我を負ってしまうのでプロにもなれなくて」
雪「それで、ルール無用の裏の人間なら遠慮なくやれるってわけね」
雪は考える素振りを見せると、 雪は立ち上がり、部屋を出て行くとすぐに戻ってくる。
雪の手にはある程度の資料が握られていた。
雪はその資料をテーブルに置くと、それを指差して言った。
雪「ある世界に『地下闘技場』っていうのがあるんだ、表向きは普通に過ごしている格闘家達もここでは皆なんでもありの戦いをしているって」
リカルド「ウワサは聞いたことがあります、空手道の大手『神心会』のドン、愚地独歩……中国二千年の伝統を宿す烈海王などといった様々な武闘家が参加していたとか」
雪「で、その地下闘技場で行われた真の強者を決める大会『最大トーナメント』の優勝者……」
雪「名前は範馬刃牙、確か今は十八歳だからチャンピオンながらかなりの若手だね」
リカルドは雪の話を聞き終えると、その場でその範馬刃牙について調べ始めた。
リカルドはしばらくすると、困惑の顔を浮かべる。
リカルド「ダークウェブに地下闘技場の特別試合の映像が残ってました」
雪「基本撮影NGだからね、最大トーナメントをやってなくても刃牙と戦いたいって男は数多くいるんだ、それを映像に残したい人も。」
リカルド「ですが……」
リカルドはその動画を見る。
その映像、僅か1分。相手はイタリアで最も過激で最も残虐な覆面レスラー……生半可な人間では血祭りに合うだけのその選手が……
僅か30秒未満でノックアウトされた図だ。
リカルド「なるほど、確かに強い……チャンピオンというのも伊達ではないようだ、ただ……ここズームで」
リカルドは動画を止め、ほんの一瞬映った刃牙のある表情に集点を当てる。
目をひそめて、口をつむぐ……まるでこの表情は……
リカルド「押し殺してますね、欠伸を……まるでこの試合に満足していないような」
リカルド「まあ、こんな一瞬で終われば満足もしないとは思いますが」
雪「ああ……それね、最近の刃牙はなんというか…強くなりすぎたみたいでね、何をやっても何と相手しても……勝手に欠伸が出るくらい退屈しているんだって」
リカルドは一通り動画と資料を見た後、立ち上がり調べに入る。
リカルド「なるほど……それは尚更都合がいいじゃないですか」
リカルド「勝てる勝てないは別として、彼の眠気覚ましにでもなれなきゃ僕は『龍を継ぐ男』になれない」
リカルドは準備をして、刃牙の所に向かおうとした時だった。
着信音が鳴る……非通知。
雪の携帯からだ。雪は電話に出ると、通話口に向かって重々しい雰囲気が感じられる。
雪「……!何か、用ですか」
雪「……はい、すぐ側に居ますけど」
リカルド「僕です?はい、初めましてリカルドです、どこの何方かは知りませんけどわざわざ調べて近くの人にかけてくるなんて……」
リカルド「はい?試合?僕が刃牙君の前にあなたと?そもそも貴方は……」
リカルド「………『ジャック・ハンマー』?」
雪から場所を特定してもらったリカルドは急いで向かった。
そして今に至る。
ーーーーーー
ジャック・ハンマー、最大トーナメント準優勝者で、刃牙の腹違いの兄。
ジャックと刃牙の父親は『地上最強の生物』と呼ばれる危険な男だった、経緯や動機は違えどこの兄弟は父を超えるため、父以上の最強になるために、己の肉体を改造していった。
その結果が今のジャックである。
ジャックは、これまでに幾度となくドーピングを繰り返し、骨格を限界まで無理矢理伸ばし、1日三十時間という矛盾によって成り立つトレーニングによって筋肉を増やした。
そんなジャックが今、リカルドと戦う。
リカルドもまた『怪物を超えた怪物』と呼ばれた父の元に生まれ、故郷ブラジルでゲリラに襲撃され何発弾丸を打ち込まれても死なず、銃弾をかわし、更には相手の顔面を破壊する拳を持つ正真正銘の化物だ。
観客席は誰もいない、というよりジャックが誰も伝えないようにして地下闘技場に来た為……誰もこの戦いを知らないのである。
雪とたくっちスノー以外は。
雪「たくっちスノー」
たくっちスノー「仲間からリカルドがあのジャック・ハンマーとやり合うって聞いてな……急遽すっ飛んできた」
たくっちスノー「とんでもない戦いだぞ……お互いに改造人間で、とんでもない父親を持つ者同士と来た……」
たくっちスノー「『龍を継ぐ男』対『鬼を継ぐ男』、『明日を掴んだ男』対『明日を捨てた男』『拳獣』対『怪物』………」
たくっちスノー「しかしなんでジャックが急にお前の電話に?」
雪「それが……よく分からないんだ、電話だと弟とやりたいならまず俺を倒してみろとか言ってたらしいんだけど」
雪「なんでだろうね、普段はそういうこと言う人じゃないんだけど……」
そうこうしているうちに試合開始時刻になった。
リカルド「貴方ステロイドユーザーなんですよね、服用は済ませまし……」
リカルドが言葉を発する前にジャックの鋭いパンチが飛び、リカルドはそれを上手く受け止める。
ジャック「これが答えだ」
リカルド「なるほど、よーく分かりましたよ」
そして、二人は自然な流れでゴングも無しに戦いが始まる。
両者、固有のファイトスタイルを持たないフリーな戦法同士。
ジャックの脳までエネルギーが行き渡るその頭をどんなに殴られても、少し怯むだけで動きは止まらず攻めを止めない。
たくっちスノー「おいおいリカルド……頭って普通殴られたら意識失うぞ……それを何回もくらって耐えてるジャックもどうかしてるが」
たくっちスノー「おいリカルド!刃牙はジャックに1回勝ってるんだ!そんな所で苦戦はするなよ!」
リカルド「分かってますよ、それは向こうも同じ」
たくっちスノー「は?」
リカルド「ミスタージャックは言いました、僕を潰した後に……」
リカルド「刃牙君と再戦する予定だと。」
この戦いは頂点を決めるのでは無い。
お互いに勝った方に刃牙と戦う権利が与えられる『前座戦』なのだ。
リカルドはこの戦いに負けられない。
リカルドは思う。
(……僕の父は……本当に強く、そして、僕の全てを救ってくれた。)
(あの時、ブラジルで死を待つのみだった僕に輸血をして命を救ったのは……あの人だった)
「『龍を継ぐ者』は僕がなるんです!」
リカルドの信念と共に振り上げた拳は遂に腕の軌道が見えない程になる。
ジャックの頭部に数発ものの弾丸のような拳が打ち込まれていく。
ジャック「『灘神影流』……お前の父親、宮沢鬼龍の使う殺人拳」
リカルド「まだ誰の指南も受けてないのでこっちは完璧にマスターしてるわけではありませんが、霞付きはあの人もよく使っていたし……」
たくっちスノー「何よりリカルドと相性がいい……元々、時速500マイルの銃弾と同等のパンチを出せるってのに、それを更に超高速で連発出来る霞付きを使えば……」
たくっちスノー「リカルドの両腕は最早マシンガンと同等だ!!」
機関銃の如く放たれ続ける拳。
だが、ジャックはそれでも怯まない。
ジャックはただひたすらにリカルドの攻撃を受けながら迫ってくる。
雪「あっ!危ない!!なにか仕掛けてくるよ!!」
リカルド「!!」
ジャック「フンッ!!」
ジャックは体を殴られても一切動きが止まらず迫ってくるのは変わらない。
骨延長手術で無理矢理伸ばしている為、その分耐久性は無くなっているにも関わらずである。
リカルドが少しでも力を解放すれば、常人なら顔面が吹っ飛んだように抉れるというのに、ある程度の傷しか付かない………
リカルド「貴方本当に人間なんですか?これだけ能力を解放して怪我もしない人は貴方が初めてですよ」
ジャック「一般的なヤワな肉体と俺を一緒にするな」
ジャック「たとえ大型トラックが目の前に突っ込んできても潰れる事はない、それが俺の見てきたグラップラーだ」
リカルド「!」
ジャック「貴様も、宮沢鬼龍も……まだ、まだ刃牙どころか俺の足元にも届かん」
たくっちスノー「!?」
信じられない光景が目の前に起きた。
たくっちスノー「ば……馬鹿な!?リカルドが……」
たくっちスノー「体重120キロのリカルドが……」
たくっちスノー「軽々しく持ち上がったッッッ!?」
ジャックは、リカルドの腕を掴んで持ち上げたのだ。
ただそれだけで、リカルドの体は宙に浮いた。
そのままジャックは脚を振り上げると……
ズドォン!!! 思い切り地面に叩きつけた。
観客席は思わず息を飲む。
衝撃により砂埃が舞い散る。
地下闘技場のリングでもある土はこれまで倒されてきた格闘家達の折れた歯や爪が掃除されてないまま混ざって残っている……頭から落ちればひとたまりも無い。
ジャック「殺人拳灘神影流、怪物を超えた怪物……アメリカ大統領すら恐れる4番目の人間、肩書きも実力もある」
ジャック「だがそれも世界規模の井の中の蛙、本当の怪物とは……龍すらも喰らう」
ジャック「俺達兄弟が相手取りたいのはそういう男だ…」
リカルド「……なんか」
リカルド「自分が敬愛しているものをバカにされたみたいでムカつきますね」
リカルドもこのまま言われたままではいかない。
まだ奥の手を隠している……が、それは向こうも同じ。ジャックが地面を踏みつけると、ジャックの体が浮き上がる。
ジャックは空中で回転しながら拳を放つ。
ジャックの拳は風を切る音を立てて飛んでくる。
リカルドも負けじと蹴りを放ち、ジャックの腹部へ命中させる。
ジャックは腹を押さえながら着地すると、再び音を切るほどの拳のぶつかり合いとなる。
リカルド「ねえ貴方、まだ本気出してないでしょ」
ジャック「お前が言えたことか……?」
リカルド「そうですね、すみません……僕も出し惜しみしてました」
リカルド「ちょっと禁じ手みたいな技になりますが……覚悟してくださいね」
ジャック(……来るか)
ジャックは察した、この男は何かを仕掛けてくると……
ジャックの勘は当たった。
リカルドの体中に血管が浮き出る。
その瞬間、リカルドの姿が消えた。
いや、消えてはいない。
ジャックの目でも追えない程のスピードを出した、それだけの攻撃……
リカルド「灘神影流……!!」
「幻魔拳!!!」
リカルドの拳は空を切り、ジャックの頭部を狙う、しかし予測は出来たようで頭部には当たらず、肘に………いや、当たる寸前で止まる。
雪「え……何?なんで当てないの?」
たくっちスノー「……当てない技だからだ」
雪「え?」
たくっちスノー「打撃を寸止めにすることで脳の視床下部に特定のイメージを植え付け自立神経を乱れさせ、幻痛……つまり、身体はなんともないのにダメージを受けているように錯覚する」
たくっちスノー「しかも、治す方法は今の所無い」
ジャック「!!」
ジャックも違和感に気づく、周囲から見れば何ともないが、幻魔拳を防ぐのに使用した右腕が……
たくっちスノー「俺達から見れば何ともないが、ジャックの目には右腕は肉が爆発したように吹っ飛んでいるように見えるだろう」
雪「灘神影流……そんな技が………」
たくっちスノー「だが……」
リカルド「………」
リカルドも左腕を抑えている。
………ジャックは右腕を確認しながらも気にせぬ素振りで何かを吐き出す……肉片だ。
ジャック「……一手、速すぎたナ」
雪「え?え?」
たくっちスノー「今のは本当に一瞬が命取りのハイスピードな戦いだった」
たくっちスノー「リカルドが隙を突いて高速で動き、幻魔拳を放つがそれをガード……そして、打ち終わったタイミングを逃さず、噛み付いたんだ」
雪「噛みつき……!」
たくっちスノー「ジャック・ハンマーの真髄はインファイトでも徹底的な攻撃でもない……『噛道』という他に真似出来ない独自流派だ」
たくっちスノーが解説する中、ジャックの両腕の筋肉は更に膨張する……
ジャックは両腕を交差させると、思い切り開く……
ジャックは両手を広げて広げた……
たくっちスノー「!!」
「なあ、そんくらいにしときなよ」
と、会場から声をかける者が。
ジャック「刃牙」
刃牙であった。
刃牙は観客席の柵に寄りかかりながら話す。
刃牙「なんか騒がしいなと思えば、また内緒で闘技場貸し切ってこんなことしてたんだ」
刃牙「それ以上やるとホントに死んじまうから、そろそろやめといた方がいいでしょ」
刃牙「……な~んて言って引き下がるような性格じゃない事は知ってる」
刃牙はため息をつくと、指笛を吹き鳴らす。
刃牙の背後から一人の小さな老人がゆっくりと歩いてくる。
たくっちスノーはその男を知っていた。
たくっちスノー「徳川光成御老公…この地下闘技場、並びに最大トーナメントを作ったバトルジャンキージジイ……」
徳川「リカルド君……だったかな、途中からだが見させてもらったよ、君の試合」
徳川「刃牙と…戦りたいそうじゃな」
リカルド「これはどうも、貴方のお気に入りに勝手に喧嘩を売ってご立腹ですか?」
徳川「いいや、その逆」
徳川「ジャックもこの儂に声もかけずにこんな試合をッ!」
刃牙「なんというかさ……ズルいんだよね、お互い。」
刃牙は呆れた顔をしながら言う。
刃牙は二人の元へ向かうと、リカルドの肩に手を置く。
刃牙「今回は認めない、記録にも残らない」
刃牙「ジャック兄さんも死期が近いのは分かるけど」
刃牙「もっかい俺とやりたいならまたここまで来なよ」
ジャック「…やるのか、最大トーナメントを」
徳川「当然じゃろうッ、今までのは世界規模、それすらワシらは井の中の蛙大海を知らずで地上最強ではなかった!」
徳川「お前達も知っているじゃろうッ!最強の原始人『ピクル』が神に挑み敗れた、あのラグナロクを!」
刃牙「そ、だから今度は世界規模。」
刃牙「俺やオヤジもひっくるめて参加する『時空最大トーナメント』…リカルド、アンタもこれに出なよ」
刃牙「いや、アンタ以外も」
リカルド「…!」
リカルド「……僕の事を調べましたか」
雪「どういうこと?」
たくっちスノー「宮沢鬼龍の血を引く『龍を継ぐ男』は一人じゃないんだ」
鬼龍はあらゆる女を愛し、関係を持ち…その子供は世界中にいる。
その子供達はそれぞれが鬼の血を引いており、それぞれ強さや特技、性質が違う。
その子供達は力を継ぎ、そして鬼龍の血と技術を宿している。
リカルド「でも僕は義兄弟は知りませんよ」
ジャック「お前より前に『龍を継ぐ男』を名乗った人間が地下闘技場に来たことがある」
リカルド「なるほど、それで僕を…なら、先に潰しておかないと、名前は?」
刃牙「長岡龍星」
リカルド「……」
「分かりました、その大会出ましょう、龍星君と戦らせてくれることを条件に」
こうして、時空最大トーナメントが人知れず知れ渡り、龍を継ぐ男達は惹かれあう…の、かもしれない。
『ジャックVSリカルド編』
END
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