二次創作小説(新・総合)
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- ポケモン不思議のダンジョン 夢語の騎士団
- 日時: 2021/12/09 00:36
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
初めまして。雪雨と申します。
初めてこちらのサイトを使用すると同時に、ポケダンの小説ということで試行錯誤しながら書くこととなりますが、よろしくお願いいたします。
今現在、展開の事情によりオリキャラの募集は行っておりません。。
そして雪雨…作者は異様な気分屋です。
筆が乗るときと乗らないときの差が激しく、更新停止になってしまうことがあるかと思います。
コメントなど残していただければ、気乗りして書き上げることでしょう。作者はとても単純です。
!注意!
・筆者は小説を書く初心者です。拙い部分があること、そして誤字脱字があると思います。
そちらは目をつむって温かい目で見守りながら教えていただければ幸いです
・オリジナルストーリーでございます。一から十までオリジナルです。
そちらが嫌、苦手だという方は何も言わずにブラウザバックをよろしくお願いいたします。
・荒らし等は厳禁です。誤字脱字の修正を指摘する。というのは構いませんが、悪口などは言わないようにお願い致します。作者は豆腐メンタルです。
注意事項を読んで大丈夫だと感じたあなた。
ポケモンの世界へ、レッツゴー!
物語ページ
chapter0
オープニング>>1-2 >>7 >>9-10
chapter1
騎士団入隊 >>11-12 >>18
chapter2
初仕事 >>22 >>25 >>27 >>31-32
chapter3
騎士としての心とは >>35-40
chapter4
我らが三匹ウチュウイチ! >>43-45 >>48-49
chapter5
騎士団の息抜き >>53-54 >>57-60
chapter6
三日月の明かり >>64-65 >>70-71
chapter7
新月の夜に誓え >>80-81 >>84-86
chapter8
突き通す想い >>87-91
chapter9
信じる者の真実一路>>93-94 >>97-99
キャラ紹介
アンビション騎士団
主人公とパートナー >>3
チームアルバ >>33
団長と副団長>>13
団員 >>34
応募者
桜木霊歌様 ツムギ >>41
騎士団
ウチュウイチ >>52
その他
ハロウィン >>63
【ネタバレ】>>92
アンビション街
応募者
桜木霊歌様 リボン >>29
フワリ >>72
リース >>72
依頼者
応募者
桜木霊歌様 ポワンとプワン>>61
謎の女剣士様 リン >>66(>>68)
ハル >>73(>>77)
オリキャラ募集について >>14(現在募集はおこなっておりません。)
- chapter7 あんこくポケモン ( No.85 )
- 日時: 2021/11/27 21:17
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
夜。
僕達は鏡面の湖へまたやってきた。
暗闇の中、光源になるのは星の明かりだけで、あとは何も見えない。
目が闇に慣れた。としても、3mぐらい先は闇だった。
「…怖いわ。不気味、ていうか…。」
「ライト、なんで明かりもってこなかったの?」
「警戒されるからに決まってるじゃん。
ああいうのは慎重に動くからさ。」
そういいながら進む。
夜という時間。夜行性のポケモン以外は眠っているため、昨日よりはさほど苦難なことはなかった。
…眠っているポケモンがまた悪夢に侵されていなければよいのだけれど。
そして、昨日来た湖へと、たどり着いた。
湖からは鏡のように映し出される星空がそこにある。
ここにくるだなんて、ただの計算と憶測だけだ。
来ない、なんて大いにある可能性だ。僕は、ある種のギャンブルに投じているのだ。
そもそも、来ないという可能性に少々賭けてしまっているのだが。
数時間、経ったのだろうか。
わからない。ずっと茂みに隠れて湖の水面を見ているだけで話しなんてしていない。
これは話し声が聞こえたら来ないだろうという考えでやっているだけで好きでこうしているわけではない。
…現に暇で顔にしわを寄せているイヴと、寝かけているノヴァがそこにいた。
ふ、とそれを苦笑してみればイヴは顔で「笑ってるんじゃないわよ」と言っていた。
そんな時だった。
ちゃぽん…
水音がした。
そちらを見やれば、この闇に溶け込みそうな黒色。頭は白く、炎のように揺らめいている。
閉じていた目を開ければ、輝かしいシアン色の目が光っていた。
その姿はさながら亡霊のようだと、思った。
ふわり、ふわりと水面から離れていく。
そこから、僕らは動いた。
がさり、と僕らは茂みから出た。ノヴァはたたき起こした。
「…。」
彼は僕らを見た。
「…きみが、ダークライ…?」
そういえば、彼の目はハッとしたように見開いた。
「その反応…そういうことね。」
「…私たちは騎士団チームアルバ。
貴方を捕獲させていただきます!」
そうノヴァが高々と宣言すれば、戦いの準備を僕らはする。
猛攻が続く。
ノヴァははどうだんを撃つ。
彼はそれを躱し、シャドーボールを撃つ。
僕はそのシャドーボールを十万ボルトで相殺する。
イヴがかみつこうとする。
しかしそれは彼があくのはどうを放ち、イヴは吹き飛ばされる。
僕はボルテッカーを使い、猛攻をしかけた。
ひらりと躱され、シャドーボールを放たれる。
「ッ…イヴ、ノヴァ…動ける…?」
「立つので…ギリギリよ…。」
「私も…同上。」
「奇遇だねえ…僕もなんだよねぇ…。」
ふっかつのたねもオレンの実もきれかけている。
どうしようか…。このままだと逃してしまう…。
「…オマエ」
「…何」
ダークライに声をかけられた。こんな激闘で。
「どこか…」
そう言われる前に、眩い光が現れる。
「見つけましたよッ」
「…ッ!」
光の正体はセリアだった。
ダークライはそれを見てびっくりしている。
当然だろう。ライバル、自分を追ってるものが急に現れたらそうなる。
「シオン…名を覚えておけ…」
そして影のようにさらに闇になったかと思うと、ダークライ…いや、シオンは消えていった。
「逃がしません!!」
そう言ってセリアはまた眩い光となってどこかへ行った。
そこからは覚えていない。
気づけば僕たちは基地の部屋のベットで寝ていて手当てを受けていた。
フェイから話を聞けば「基地の玄関先でボロボロでぶっ倒れてた」とのこと。
そしてセリアはシオンを追いかけて行ったとのこと。
ノヴァとイヴ達に
「やっぱ失敗したね。」
と声をかければ
「ま、まあ…突き止めただけすごいって言ってくれたし…。」
「…そうね。しばらく休んでいいって言ってくれたし、遠慮なく回復に専念しましょ。」
「…うん。」
そう言うと瞼が重くなり、やがて意識がなくなったのであった。
- chapter7 あんこくポケモン ( No.86 )
- 日時: 2021/11/29 09:46
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
強制養成を指示されて数日が経った。
ダークライ…シオンを捜索できずぶー垂れている僕ら三人は部屋で作戦を立てている。
ここ数日、ずっとだ。
「だーかーら!あのシャドーボールは相殺したんじゃなくて軌道をずらしただけよ!
真向ではどうだんをぶっ飛ばしても威力自体!負けてるの!!」
「わからないじゃないですか!というか実際ライトの十万ボルトで相殺はできてましたよ!
ねぇ?!ライト!!」
「必死すぎてわかんなかったわ。
というわけでこの話は無効!!はい次々!!」
「適当に流すんじゃないわよ!!」
そんな険悪なムードが流れ始めた時だった。
「号外~号外だよ~」
そんな抜けた声が聞こえた。
窓を見やれば、たまに僕たちに依頼書を持ってきてくれるフワライドのフワリが、薄いページの新聞をもってばら撒いている。
僕は咄嗟に窓を開け、
「フワリ、久しぶり。どうしたの?」
「あ~、アルバの皆さんじゃないですか~
号外をペリッパー達と共に運んでいるんですよ~」
「号外…?」
「はいー。なんと、あのダークライをセリアさんが捕まえた。との号外です~。」
沈黙が走る。
「あ、でも詳しく言うと、セリアさんを仲間に引き入れてるハロウィンの方々が捕らえたみたいですよ~」
「ハロウィンの連中も関わってたのね…。」
「あの方たちが関わったらそりゃすぐ捕まりますね…。」
「それで、広場に集まってほしい~とセリアさんから言われて、今こうして号外を配ってるんですー。
アルバさん達もどうぞ。」
号外を受け取ればそこには確かに“セリア、ダークライをついに捕獲!!”という文字がでかでかと書かれており、ざっとななめ読みすれば、確かに広場に集まってほしい。という旨が書いてあった。
「ではぼくは引き続き皆さんにお配りしてきますね~
号外~。号外でーす。」
そう言ってフワリは風に乗って引き続き号外をばら撒きに行った。
「…いく~?」
「そりゃ…行きましょうよ。」
「手柄取られて悔しー!!見つけたの私たちなのにー!!」
「シオンとは実力が違いすぎたんだよ。いこ、広場に。」
僕が促せば、二人は傷だらけの体で椅子から降りる。
まぁ、僕も傷だらけでボロボロなんだけど。
こうして、広場へとゆっくり向かうのであった。
広場に着くと沢山のポケモンがいた。
「あ、ツムギ」
「号外見てきたのか…?」
「そうです。ツムギさんも?」
「…そうだ。」
こくりと彼は頷いた。
「でも広場に集めて何する気なのかしら?」
イヴがそう言った時だった。
「皆さん。」
セリアの声がしてそちらを見やる。
子供たちが中央で遊ぶ、高台のような、机のような台だ。
そこにたたずむセリアは集まっているポケモン達を見据えている。
セリアの後ろにはダークライがお縄にかかっており、下を向いている。
そして高台の下にはハロウィンの方々と、フェイとファリスがいた。
「ダークライの捕獲に協力をしてくださってありがとうございます。
皆さんのご協力のお陰で今こうして捕らえることができました。」
そう言えば、みんなは歓声を上げた。
ハロウィンのリムとリカルが互いに顔を見合わせたのを僕は見逃さなかった。
「悪夢の原因。それを放置するわけにはいきません。」
淡々と、冷静に、彼女は言う。
「今から、彼の処刑を行います。」
そう言えば、高台の下のみんなはびっくりしてセリアを見上げる。
…フェイだけチラ見した程度だったけど。
そして、街のみんなは静まり返った。そんな中だ。
「いーじゃん。そいつが最近の騒ぎの原因なんだろぉ?」
聞きなれた、そう。フローの声がした。
「ならズバッとやっちまえよ。そーすりゃどうにかなるんだろ?」
「兄貴がそういうならその案に賛成だ!」
「俺もだ!」
ウチュウイチのメンバーが口々にそう言えば周りに、感染していく。
雰囲気は、発生源が周りにどんどん思考が侵されていった。
そうだ。処刑していなくなれば。
悪夢はなくなるんだ。怯えずにダンジョンに行って材料を集めることができる。
しょーけい! しょーけい! しょーけい! しょーけい!
気づけば周りはそう口々に言い始めた。
「それでは、始めます。」
セリアは攻撃の準備をしている。
嗚呼、リンチか。
何が好きでこんなものを見せられなきゃいけないんだ。
みんなはそうではないのか?こんなもの、ただの見世物だ。
こんなもの こんなもの こんなもの
偶然目が合った
シアン色の目がうるりと水分が多くなっていることを。
――――――君は何も悪くないよ。
そんな一言が脳内に走ったと共に、頬袋が電気を発した。
「ウオリャァァァァァァ!!!」
「きゃっ?!」
ボルテッカーをセリアにかました。
そしてセリアが持っていた綱を嚙みついて、飛び降りる。
そして、そして、街の出口へと駆け出して行った。
「待って!待ってよ!!」
誰かが追いかけてきた。
追いついて綱を掴んだのはノヴァだった。
「置いていくなんてひどいよライト!」
「…?」
「ライト、シオンの目を見てこの行動とったんでしょ?」
「…!」
「ライト、私はキミを信じてるからね!
行こう!!もう戻れなけれど、行こう!ライト!シオン!!」
僕達は駆け出した。
シオンは訳が分からないという顔をして引っ張られている。
「大丈夫です!私たちはキミを守る騎士です!
あとで、事情を聞かせてください!」
後ろから追いかけるポケモン達の声と足跡が聞こえた。
けれど、僕たちは無視して、街を出たのだ。
chapter7 終了
あとがき
ここからは、展開の事情により、オリキャラの募集は一旦終了します!
ここまで読んでくださりありがとうございました。
- chapter8 正義 ( No.87 )
- 日時: 2021/11/29 19:20
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
chapter8 貫き通す想い
「くっそ…堅結びしてやがる…。」
「ライト!はやく!!もう追いつかれそうだよ!!」
走りながらシオンの縄をほどこうと必死になっている。
そんな動作のお陰で疾走は遅くなり、後ろのどたどた音と声が近づいているのが嫌でもわかる。
「構わん…。」
そう言えば、彼は僕の影の中に入る。
「うっそでしょ?!そんな抜け縄の仕方ある?!」
「もうこの際いいよ!はやくっ…
あっ、あそこのダンジョンにッ!!」
見ればそこは洞窟のようで、僕らは見たことも入ったこともないダンジョンだった。
悪臭…というよりは危険物の香りがする。
紫色と緑色の毒々しい色で構成されているダンジョンには思わず足を止めそうになってしまう。
「もう何振りかまわず行ってやるッ!!」
「というかもう来てるッ!ライトいつものやっちゃって!!」
「了解ッ」
雨をふらせた。
火を持つ炎のポケモンは大慌てになる。
そしてとどめにかみなりをうつ。
「ぐおっまぶしい!!」
「痺れるッ…!!」
よしよし。効いているようで安心だ。
それを瞬時に確認した僕らは毒々しい色の洞窟へと足を運ぶのであった。
「ぐうぅ…鼻が曲がりそう…。腐った木の実と腐ったミルクで混ぜて茹でたにおいがする…うぇっ…」
「更にこれを雑草入れた感じもする…吐きそう…。」
「…。」
僕とノヴァは臭いの香りの感想で死にかけているがシオンは黙ったままだ。
周りにはその環境を好みとしている毒ポケモンが僕達に敵意を表していた。
それを蹴散らしながら、息を止めたり吸ったりたまに吐きかけたりして進んでいく。
「うっ…ぷ…あと、どのぐらい進めばいいの…」
「これ絶対入口入って少し進んだ辺りで脱落者多いよ絶対に…」
「鼻曲がるの比喩表現じゃないかも…。」
「…。」
「キミもなんか喋りなよ。」
「…喋るぐらいなら息をするな…うっ」
「あんたも限界なんかい…! オェッ」
進めば進むほど悪臭は段々と強くなり、鼻の感覚もなくなってきそうだ。
そんな時だった。
「ナニモノダ…」
ズルッズルッという効果音が正しい。そんな音を立てて何かが奥から近づいてきた。
大きなヘドロの塊…ベトベトンだ。
目は虚ろで、僕たちのことを見ているようで見ていない。
「オレノナワバリ二…テヲダスキカ…!」
「そんなわけないでしょ!」
「ウソヲシンジルオレデハナイ。」
その言葉は後ろから聞こえてきた。
ドスリ、ドスリと大きな重い足を立ててやってきたのを振り向き確認する。
そこには緑色とヘドロ色を混ぜ合わせたポケモン…ダストダスがそこにいた。
「ショブンノジカンダ」
「カクゴシロ…!」
「あーあー!これ僕らの話、鳴き声としか捉えてないようだねッ!」
「…すまない。」
「なんできみが謝るの?!」
「…だ、だって…」
「これはッお前のせいじゃないんだろッ?!」
そういうと彼はビクッと肩を跳ねらせた。
僕は足をよくつけ、戦闘態勢へはいる。ノヴァもそれを見てキリっと僕の後ろを見据えた。
周りには配下であろうベトベターやヤブクロンがわらわらと集まってくる。
「行くぞ…ッ!ここを乗り切れたらここともおさらばだッ
その気でやれ!」
「了解!」
僕は十万ボルトを親玉、ベトベトンに放つ。
彼はそこまで早くない。躱す方法がないと睨んだのだ。
だが、それは甘い考えだった。
「ちいさくなる…!
そっか、あんたら液状のポケモンだもんな!!」
そう。頭上は凹み、電撃を躱された。
だが、ボルテッカーはしたくないと本能というか、理性がそういっている。
3日は臭いが取れなさそうだし…。
「PP…足りるかなッ」
そう言ったノヴァは後ろのダストダスにはどうだんをうつ。
こちらは子分が率先してボスを守って倒れていた。
「リカバーなら惜しまなくていい!
シオンッお前も足りなくなったら言いな!」
そう言うと彼はこくりとうなづいた。
十万ボルトのみだとベトベトンに当てようとしても回避してくる。
ありがたいことに周りの配下はシオンが相手してくれている。
そのおかげでこちらとしても、ノヴァからしても、ボスと戦いやすくなるというものだ。
「はどうだんッ」
「あまごい…からのかみなり!
これであんたは避けられないよ!」
互いに必中の技を撃つ。
無論、避けれないためダメージは負う。
敵の攻撃も無論当たってはいるが、毒状態にもなってない。
ノヴァとのコンビネーションもそうだが、シオンのコンビネーションも中々いい。
何故だろう。
そんなことを思っているうちに、この毒の洞窟の親分二匹は倒れ伏すのであった。
- chapter8 正義 ( No.88 )
- 日時: 2021/11/29 22:29
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
ベトベトン達もダストダス達も倒れ伏した。
もう動く気配もないようだ。
「行くぞォォォ!!
環境に適さないこんな場所なんておさらばだァァァ!」
僕がそう叫びつつ走れば、二匹もそれについていく。
明かりが見えた。
僕達は、毒で侵されている洞窟から出ることができた。
「ようやく抜けられた…。あぁ、自然の香りが…懐かしく感じるよ…。」
「あそこで結構足止めできそうだね。ライト、シオンさん。どこかに隠れましょう。」
茂みに入り、獣道ですらない場所へと行き、無理やり座れる場所を作る。
そして、息を潜めつつノヴァは僕に顔を向ける。
「ライト、どうしてシオンさんを助けたの?」
「…どうしてだろう。
なんか、こいつじゃないって思ったんだ。」
「原因が…?」
「うん。」
モモのみを分けて二人に渡しながら食べる。
「ふと頭によぎった言葉で、シオンを助けたいって思ったんだ。」
「なあに?」
「…キミは悪くないって」
そう言うと、彼はじっとこちらを見た。
「…それだけで、俺を信じるのか?」
「まあ、直感で動いちゃうからねぇ。
…イヴとか騎士団メンバーに悪いことしちゃったなぁ。」
一番の気がかりはこれだ。
イヴ。僕らの大事なチームメンバー。きっと突然行ったことで対処しきれず、戸惑ってしまったか。
或いは、処刑に賛成していたか。…まあ多分前者だろうけども。
そしてメンバーたち。主にフェイとファリス。僕らを騎士にしてくれたトップ。
批判を真っ先に浴びる立ち位置にいる。
…でも、フェイならばひょいひょいと対処するだろう。批判ぐらいじゃあのリーダーはメンタルはおれない。
ファリスは…少し心配だけど。
「…俺は勝手に悪夢を振りまく。」
「うん。」
「だから、これは…この事件は、俺のせいでもあるかもしれないんだ。」
「でもそれはあなたが無意識でしてしまう言わば…特性というものなのでしょう?
それならば、ライトの言う通り…あなたは何も悪くない。ですよ。」
「…そうか」
彼はそういって目を閉ざした。
「もう疲れたし、寝ようよ。
ここなら誰にも見つからない。無理やり作った隠れ場所だもん。」
「あと、三人一緒に寝るんじゃなくて一人交代で見張りをつけるっていうのは?」
「それなら確実だねぇ。じゃあそうしようか。
誰から見張りする?」
「…俺からで。夜には慣れている」
「わかった。じゃあ任せるね…。
おやすみー。」
「次は私を起こしてくださいね。おやすみなさい。」
「あぁ。」
そう言って僕たちは入眠する。
悪臭の精神的疲れと、逃亡やバトルの疲れもあり、眠りはすぐに訪れた。
「…。」
シオンはライトを見つめる。
そして自身の手を彼女にさし伸ばした。
「…やめておこう。」
そうポツリと言って、静かな夜を彼は暫し過ごした。
- chapter8 正義 ( No.89 )
- 日時: 2021/11/30 23:13
- 名前: 雪雨 (ID: 9s66RooU)
あの後、無事に朝を迎えられた。
何やら探している者の足音が聞こえて一瞬起こされたが、この無理やり作った隠れ蓑のお陰でどうにかやりすごせた。
「ん~。どうしよう。」
第一声僕が発した言葉に二匹はこちらを見る。
「これからってこと?」
「そっ。行き場も無ければ、シオン…君の逃がし方もわからない。」
「…。」
「それに、僕達とて、もう戻れないだろうし…ね?」
へらりと苦笑を混じりそう言えば、シオンは顔を下に向ける。
それを見たノヴァは
「あなたは、優しいですね。」
「…どういう意味だ。」
「そのままの意味ですよ。
私たちのこと、考えてしょげてしまう…だなんて悪い人だったら笑って転がってますよ。」
悪い人…ウチュウイチが転がって笑ってるのが頭に浮かんでくる。
…あいつら今頃うれしくてたまらないんだろうな。僕達がこんな目に逢っていることを、酒のつまみにしていそうだ。
「…シオン。君は何もしてないんだよね?
誤解、解きに行こうよ。」
「だめだ。もう間に合わん。
…クレセリアのやつが狂ってそれが先導者になってしまった今…俺はなにもできん。」
首を振った彼に僕達は言葉を失ったと同時にそうであるという納得もしてしまった。
もう騎士団連合はダークライ…シオンのおたずねものを解こうともしないし、クレセリア…セリアの言うことを信じている。
だが聞きたいことが一つ増えた。
「狂ったってどういうこと?
セリアは今、正常じゃないの?」
「…ああ。今、理性が焼き切れている状況と似ている。」
「似ている?とはなんですか?」
「あの子は…どうしてああなってしまったのかわからない。
一つ言えるのは…あれはクレセリアであって、思考は違う者…ということ。」
「ははーん。
乗っ取られてんだな?」
「うん。あと一つ…原因がある。
“夢幻の月”が汚染されている影響で狂気にブーストがかかってるんだ。」
それに僕らは首をかしげる。
夢幻の月?初めて聞く単語だ。あとシオン、少し言葉遣いが柔らかくなっていないかい?
「夢幻の月、とはなんでしょう?」
「みんなの夢を守る月…って言えばいいかな。
悪夢にうなされるポケモンの理性を守っている、この世界が平和だった理由。」
「…汚染って何?」
「言葉通りだよ。汚れてしまったから、悪い夢を放ち続けているんだ。
…身体の垢を出そうとしてるものだよ。」
「キミはそれを知っているけれど、まさか…それをどうにかしたいというんじゃないんだろうね?」
「そのまさかだよ。僕はそのためにルディと協力して、死んだ友達の代わりにこの世界を元に戻すって決意しているんだ。」
ぐっ、と握りこぶしを作り、彼はやる気満々というポーズをする。
そしてハッとする。
「…、ダークライがこんなので、幻滅しちゃった?
安心して…強がらなくてもいいかなって無心で思っちゃったのかも。
えっとね、これが素…なんだ。それで…名前も変えて心機一転して…強くなって、みんなと仲良くするって友達と約束したんだ。」
「…じゃあ改めて自己紹介しようよ。
僕はライト。」
「私はノヴァです。」
地に座っていたシオン…と名乗っていたダークライはフワリと浮かび、お辞儀をした。
「僕はアスター。
よろしくね。ノヴァ。
そして久しぶり。ライト。」
その言葉に僕たちは言葉と思考を止めてしまった。
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