二次創作小説(新・総合)

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逃走中1〜始まりはシンプル?に!〜【完結】
日時: 2023/03/26 01:03
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: t7y4Iwob)

柊サイド、初の逃走中!
舞台はショッピングモール。広いショッピングモールの中、20名の逃走者たちが駆け回り、ミッションに挑んだり挑まなかったり!
90分間、ハンターから逃げ切るのは誰だ!!

柊「ぐだぐだだって!? 許してくれ初めてだ!!」

…ぐだぐだしても許してください!!

※注意事項※
・こちらの逃走中は柊の書く『綴られし日々〜作者とキャラの日常〜』の設定を多分に使用しております。
・そのため、クロスカプ、夢が含まれます。苦手な方はご注意ください。本当に。
・筆者は逃走中初書きです、何か不備やアドバイスございましたらご遠慮なくお願いします。
・計画性なんて皆無。
・投稿時間はまちまちです。
・突然更新が途絶える可能性が大です。

それでも大丈夫な方は、どうぞお楽しみください!

逃走者一覧(五十音順、ジャンル名順不同)

足柄(艦隊これくしょん-艦これ-)
イオノプシジウム(フラワーナイトガール)
イソップ・カール(Identity_V)
カトラリー(千銃士Rhodo knight)
クー・フーリン(Fateシリーズ)
ジョージ(千銃士Rhodo knight)
赤兎馬せきとば(Fate/Grand Order)
園田 海未(ラブライブ!)
鳴上 悠(Persona4)
ネリネ(フラワーナイトガール)
博多藤四郎(刀剣乱舞)
羽黒(艦隊これくしょん-艦これ-)
初音 ミク(VOCALOID)
花村 陽介(Persona4)
日野森 雫(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク)
豊前江(刀剣乱舞)
へし切長谷部(刀剣乱舞)
星乃 一歌(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク)
ミカエル(千銃士Rhodo knight)
ラック(幸運児)(Identity_V)

Re: 逃走中1〜始まりはシンプル?に!〜 ( No.29 )
日時: 2023/02/23 09:07
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: LHB2R4qF)

ネリネ「……えーいっ!!」

 勢いよく水色の鎖を引くネリネ。解放か、クリアか、果たして……!?


















シーン……。

ネリネ「……やっ、やったぁ!! ハンターさん解放しませんでした!!」
悠「おめでとう」
ネリネ「はいっ! あっ、これで私、逃げていいんですよね?」
博多「そうばーい!」
ネリネ「よぉし、逃げちゃいますよーっ! 皆さん、また後でです!」

 ネリネは残された逃走者たちに笑顔で手を振る。ネリネだから嫌味にならないその行為に全員が思わず手を振った。
 さて、次は十一番目。悠の番だ。
 悠はさて、と鎖を選ぶ。じっくりと鎖を吟味して、そっと灰色の鎖に手を伸ばし……。

ミク「あっ」
悠「うん?」
ミク「あっ、ご、ごめんね! その、灰色選ぶの?」
悠「……いいや? その隣の銀色を選ぼうとしてた」
ミク「あっ、あ、そ、そうなんだね! ご、ごめんね変な声出して!」

 ミクは頬を赤くしながら目を泳がせている。イソップを除いたメンバーはニヤニヤと笑い、何人かはイソップを見ている。イオノプシジウム? 察してください。
 悠もその中の一人で、イソップに何ですか、と言われると何でも? と答えて改めて銀色の鎖を掴み、一呼吸置いてから引いた。














シーン……。

悠「よし」
博多「悠しゃんもクリアばい、よかねー!」
悠「ありがとう。ここで陽介に負けていられないからな」
イオノプシジウム「爽やかな友情それもまた愛(略)」
博多「ぶれんね」

 悠も走り去っていく。
 次は十二番目、ミクだ。BOXの前へ歩き、悩む素振りを見せる。……それが本当に、『素振り』だけなのが分かった他の逃走者たちはにやにやと彼女とイソップを見ている。

ミク「え、えっと、灰色で!」
ジョージ「ヒューヒュー!」
ラック「いやぁ、可愛らしいですよねイソップさん!」
イソップ「何故僕に聞くんですか」
足柄「???」
羽黒「ね、姉さん……」

 ミクはそっと鎖を持って数回深呼吸。そうして思い切り鎖を引く!!













シーン……。

ミク「やっ……たぁあ! やったよイソップくーん!」
イソップ「……おめでとうございます。先に逃げるんですよね」
ミク「うん! でも、後で会おうね!」
イソップ「善処します」
博多「俺知っとー。そりゃNoってことやろ」
イソップ「善処します」
イオノプシジウム「あっ(察し)ってことですね」

 ミクは思い切り手を振って去っていく。心なしか、ぴょんと出ているアホ毛がぴこぴこと動いてる気がする。それにそっとイソップが手を振る辺り、やはりそこまで悪い感情はないようだ。
 全員からあたたかな目を向けられながら、十三番目、イソップだ。
 静かにじ、と鎖を眺め、そっと手に取ったのは……黄緑だ。だが、どこかミクの髪色に近い。

イソップ「……黄緑で」
イオノプシジウム「(大興奮につき解読不可能)」
イソップ「何故」
ラック「いやぁ、まあ、ね?」
イソップ「……別に、ミクさんの髪色思い出したわけではないんですけど」
ラック「へえ〜〜〜〜〜」
イソップ「ラックさん、今度のゲーム楽しみにしていてください。地下に納棺してやります」
ラック「利敵やめてください!!」

 はぁ、とため息を吐き、イソップは少し呼吸を整えて鎖を引いた。














ガコンッ!

Timer Start
[90:00]

イソップ「はっ?」
ハンターA「……!」
ハンターB「……!」
ハンターC「……!」
イソップ「えっ、あっ、ちょっ……! うわぁあああ!?」
博多「ゆ、油断しとったー!!」
イオノプシジウム「うわぁああああ」
羽黒「きゃあああああああ!!!!」
足柄「来たわねハンター!! 尋常に勝負よー!! あっ逃走中でね!!」
ジョージ「Noー!! 早期確保は勘弁だー!!」
ラック「ひゃああああ!!」

 ハンター3体が放出され、全員が散り散りとなる。(足柄だけめちゃくちゃ楽しそうだった)
 当然、ハンター3体のターゲットは……。

TARGET
【Aesop Carl】

イソップ「な、なんで!! こういうのって大体すっ……じゃなくてまあそういう雰囲気のある二人のイメージカラーとかはハズレないジンクスとかないんですか!?」
イオノプシジウム「そんなものは多分ないと思いますが今のセリフ是非とももう一度お願いします特に言い直した部分をそのままお願いします団長さんに教わった録音で永遠に聴き直しますしミクさんにも聴かせます!!!!!」
イソップ「ボイスレコーダー持って並走しながら言わないでもらえますか!?」

 その距離は縮まり……ふとイオノプシジウムとイソップの目の前に誰かが棒立ちになっているのに気が付いた。

ミカエル「……」
イソップ「み、ミカエルさん!?」
イオノプシジウム「何か考え込んでるみたいですね」
イソップ「……!!」

 目を伏せがちで考え込むミカエルは実に絵になる。普通ならつい見惚れるところかもしれない。だが。これは逃走中だ。
 イソップは速度を上げ、イオノプシジウムもそれに着いていくため少し速く走る。当然、そうすれば……二人はミカエルを追い抜いた。

イソップ「恨まないでくださいね!!」
イオノプシジウム「多分聞こえてません!!」

TARGET
【Michael】

ミカエル「……うん。やはりそうしよう。あえて途中で……おや」

ポンっ

[89:50]
ミカエル 確保
残り 19人

 特に慌てることもなく、ハンターたちの背中を見送るミカエル。そうして。

ミカエル「もしかして、今僕は捕まってしまったのかな。ならちょうどいい。ピアノが思う存分弾ける」

 憂うことも悔しがることもなく、むしろ嬉しそうだった。





ピリリリ! ピリリリ!

クー・フーリン「うおっ!? なかなかデケェなこれの音」



 情報は、全ての逃走者にメールで伝えられる。



カトラリー「えっと、なになに……? 『確保情報』……えっ?
み、ミカエル、確保……!? う、嘘……ミカエルーっ!!」



海未「カトラリーさんが悲しんでいるのが目に浮かびますね……」

※その通りです


 果たして、ハンターから逃げ切って賞金を獲得するのは誰なのか……!?


[89:40]
残り19人

※2023/02/23 修正

Re: 逃走中1〜始まりはシンプル?に!〜 ( No.30 )
日時: 2023/02/23 09:08
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: LHB2R4qF)

●初っ端牢獄トーク●

柊「じゃあ確保されたミカエルは牢獄入っててね」
ミカエル「おや、キミはここにいるのかい? ゲームマスター、というのは別室で待機するものとばかり」
柊「本当ならそうなんだけど、今回はちょっと事情があってさ」
ミカエル「そう。……ところで、牢獄は外なのにここは暖かいね」
柊「それはこれのおかげかな。テレレッテレー『空間温度調節機』〜」
ミカエル「……それはどういったものなんだい?」
柊「スルーつら。まあ名前の通り、指定した空間を最適な温度で保ってくれる機械だよ。だからこの辺り一帯は暖かいの。私が寒いのやだから」
ミカエル「そう。……そういえば、キミはしばらくここにいるのかな」
柊「まあそうなるね」
ミカエル「なら、ちょうどいい。ピアノを弾くから、聞いておいき」

 そう言ってミカエルは微笑んだ。その微笑みの絵になること。柊以外のほとんどはその微笑みに見惚れている。

柊「それは嬉しいんだけど……ここ、ピアノないよ? ショッピングモールの店舗に楽器店はあるけどそこから借りるわけにもいかんし」
ミカエル「ああ、それなら……そうだね、そこのキミ」

 ミカエルが指したのは、スタッフの中でも体格のいい男だった。私ですか、と答えればミカエルは頷く。

ミカエル「今すぐにここにピアノを持っておいで。10分以内が望ましいかな」
柊「無茶振りせんといてもろて」
スタッフA「ミカエル様……」
柊「『様』」
スタッフA「用意してございます……!!」
柊「いやあんたら信者ファンかい!!!!!!!!!!」

 スタッフAが跪き、両手で恭しく指した方には複数のスタッフが丁寧に運んできたであろうグランドピアノが鎮座していた。そう、ご苦労様、と言えばスタッフAは光栄の極み!!!! と叫んで倒れた。
 ミカエルがグランドピアノに歩み寄る。柊の「いや牢獄入れよ」という声を無視して。そこで彼は何かに気付いた。

ミカエル「椅子がないね」
スタッフA「はぁっ!! しまった、椅子を用意し忘れるなど……!! 申し訳ありませんミカエル様!!」
スタッフB「先輩、ミカエル様に立ってお弾きなれと言うんですか!? その様はまさしく絵画の如くお美しく、各国の名画家を呼んで数年かけてでも仕上げてほしくなるでしょうけれど、ミカエル様のおみ足に負担が……!」
柊「いやあの、その人確保者なんですけど」
ミカエル「……仕方がないね。キミ。そこに四つん這いになり、椅子におなり」
信者スタッフ「「「「!!!!!」」」」
ミカエル「どうしたの? 早くして」
スタッフA「こっ、こかこここさここここ、光栄の極みぃいいいいいっ!!
是非!! 是非とも椅子になります!! どうぞミカエル様、存分に!!!」
スタッフC「う、羨ましい……!! どうかミカエル様!! 我々にもミカエル様の椅子になる栄誉を!!」
柊「えっまって怖い」
ミカエル「静かにおし。どうせしばらくしたら手足が震えるだろう。そうなれば集中できないから取り替えるまでだよ」
信者スタッフ「「「ミカエル様ぁああっ!!」」」

柊「信者こわ……」※あまり人のことは言えません
ミカエル「さて。何かリクエストはあるかい?」
柊「えっ? えっと……んー……あまりクラシック聞かない……あっ、月光、とか?」
ミカエル「月光……。ああ、ベートーヴェンか。いいよ」

 ミカエルはスラリと伸びた白い指をそっと鍵盤に置き、奏で始める。静かで美しい音色はその場にいる者を魅了していく。

柊「(あー……これは確かにいいかも……落ち着く……)」

 音色は当然のことながら、ピアノを奏でるミカエルも非常に美しい。目の保養どころではないその美しさは、確かに魅了されて彼を『天使』と讃えるのも無理はない。



 ただし。その下で椅子となった人間が悶えているのを見なければの話である。
 思わずそっと天を仰ぎ、ぼそりと呟く。

柊「長谷部、早く捕まってくれないかな……」

 長谷部には悪いが、ツッコミ役として適任な彼が早く捕まるのをつい祈ってしまうのであった。










[87:47]
長谷部「へっきし!!」
スタッフ「大丈夫ですか?」
長谷部「ああ……。誰かに噂されているんだろうか。……金剛なら良いとは思うが。
さて。おそらく主は忘れっぽい上にうっかりしているので色々説明し忘れているだろう。
読者の皆様、この長谷部が説明させていただきます」
スタッフ「(メタ……)」

長谷部「今回の逃走中は[90分]。賞金単価は200円。逃走成功で、【108万円】の獲得となります」

─────────────

陽介「うぉおお……本当にみるみる上がってる!」

─────────────

長谷部「初期ハンターはオープニングゲームで放出される3体。捕まれば当然賞金はなしとなります」

─────────────

一歌「緊張するな……」

─────────────

長谷部「なお、自首はエリア内にある電話にて可能。電話は二箇所。自首成功すれば、自首が成立した時点までの賞金を獲得となります」

─────────────

カトラリー「うう……ミカエルがいないなら、自首しちゃおうかな……」

─────────────

長谷部「自首によるデメリットはなし。強いて言うならイメージダウンです。
あとは……ああ、そうだ。このエリアの説明を。
シンプルなショッピングモールです。入り口広場と、中にも中央広場があり、その二つは見通しが良いため、ハンターを見つけやすくはありますがハンターに見つかりやすくもあります。
建物は四階建て。隠れやすい障害物やテナントの影がそれなりにありますので、上手く利用すればハンターを撒くことも可能ではあるかと。
ああ、テナントには一部を除いて入れません。
さて、こんなところ、っと」

 長谷部は咄嗟に案内看板の後ろにしゃがんで隠れる。鋭く睨む先には……。

ハンターB「…………」

 ハンターだ……。
 ハンターは長谷部が隠れる案内看板へと近づいてくる。
 長谷部、やり過ごせるか!?

[87:12]
残り19人

※2023/02/23 修正

Re: 逃走中1〜始まりはシンプル?に!〜 ( No.31 )
日時: 2023/02/20 22:43
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: fmI8cRcV)

 ご丁寧に筆者の代わりに説明をしてくれた長谷部の近くに、1体のハンター……。
 長谷部は近くにあった案内看板に隠れるものの、ハンターがそこへ近づく……!

長谷部「……」
ハンターB「…………」

 二人の距離は、もはや数メートル……!

長谷部「……」
ハンターB「…………」

 ハンターは、その場を通り過ぎていく……。やり過ごしたようだ。

長谷部「ふぅ……とまあこのようにハンターは神出鬼没なので遠くで見かけ、こちらに来ているようなら慌てず、しかし迅速に近くにある影に隠れることも大切です。逃げる際にも早めに見つけられると良いかと。
以上、へし切長谷部でした」
スタッフ「説明続いてたんですか!?」



 さて、実は……ハンターが歩いて行った先には……。

イソップ「さてと……できる限り、中盤くらいまでは逃げないと……」

 イソップがいた……。

スタッフ「なんで中盤なんですか?」
イソップ「早めに捕まると確かに人数は少ないですが……その分、話したりしないといけなくなる可能性が高いです。
逆に遅く捕まるのも人数が多くなり過ぎている。自首するのが手っ取り早いですけど変に絡まれるのも嫌なので。
中盤くらいに捕まって隅の方にいれば何とか……」
スタッフ「(意地でも人と関わりたくないのかこの人)」


ハンターB「…………」

曲がり角の先にハンター。イソップ、気付けるか。

イソップ「さてどうしたものか……確かゲームセンターは入れましたよね? 多分、プリクラ? っていう機械があるんで、それの中で隠れていればしばらくは……」







ハンターB「……!!」

TARGET
【Aesop Carl】

イソップ「は???」


ポンっ


[86:43]
イソップ・カール 確保
残り 18人

イソップ「……え? ちょ……えっ?」

 あまりの出来事に、理解が遅れているようだった。



ピリリリ! ピリリリ!

ネリネ「ふわぁ!! うぅ〜、この音ちょっぴりおっきくてビックリしちゃいます……!」


豊前「【確保情報 イソップ・カール 確保
残り18人】」


ミク「え、ええ〜っ!? い、イソップくんが……!」


イオノプシジウム「あれ……もしかして……ハンターって、愛を引き裂く悪魔だったりしますか……?」※温かい場所なのでゆったりモード




海未「やはり、確保情報が入るたびに緊張してしまいますね……。あ、あそこにいるのは……」


雫「えぇと……えーと……?」

 海未の視線の先には、スマホを持って首を傾げている雫が。

海未「あの、どうかしましたか?」
雫「? あら、あなたは園田海未さん?」
海未「はい。あなたは日野森雫さん、ですよね」
雫「はい! よろしくお願いしますね」
海未「ええ。ところで、スマートフォンを見ていたみたいですが何かありました?」
雫「えっと……今、何か連絡があったみたいなんだけれど、開けなくって」
海未「えっ?」

 どうしてかしら、と首を傾げる雫。もしかしたら何か不具合でもあったのだろうか。そう考えた海未は貸してもらえますか、と聞く。雫は頷いてスマホを渡した。
 が、スマホは何の不具合もなく開くことができた。

海未「? 開けましたけど……」
雫「あら! ありがとう園田さん、すごいわ!」
海未「え、ええ?」
雫「えっと、少し恥ずかしいのだけど、私機械がちょっと苦手で……時々、何もしていないのに壊れてしまうことがあって……」
海未「そこまでですか!?」

 思わぬ情報に海未は動揺を隠せないながらも、開いたメールを彼女に見せた。

雫「確保情報……ミカエルさんとイソップさんが捕まっちゃったんですね。カトラリーさんとミクちゃん、大丈夫でしょうか……」
海未「そういえば、カトラリーさんとミカエルさんは仲が良くて、初音さんはカールさんに想いを寄せているようでしたからね」
雫「はい……」
海未「……大丈夫ですよ。どちらも少し落ち込むかもしれませんが、きっとすぐに元気になります」
雫「園田さん……。ええ、そうですよね、ありがとうございます」

 雫の安心した微笑みにつられて、海未も微笑んだ。
 それでは、と別れようとすると呼び止められる。

雫「あの、よかったら一緒に行動しましょう?」
海未「え?」
雫「その、私たち同じ高校2年生で、同じアイドルで、その上弓道部って言うのも同じだから、せっかくなら仲良くなりたくて……ダメ、ですか?」
海未「……ふふっ、構いませんよ」
雫「! ありがとう! そ、それから、その……あの、海未ちゃん、って呼ばせてもらえませんか?」
海未「はい。私も、雫、と呼んでもいいですか? それから、敬語は入りませんよ」
雫「! もちろんよ! よろしくね、海未ちゃん!」
海未「はい、雫」

 ぱぁあ、と明るくなる笑顔。嬉しい、と思ってくれているのが分かって、こちらもつい嬉しくなってしまう。
 複数で行動すれば、その分ハンターに見つかりやすい。それを分かっていても、この反応を見たら否とは言えない。

海未「雫、どこに行きますか? 今は二階ですから……」
雫「そうね、とりあえず……一階に行ってみましょうか?」
海未「そうしましょうか」
雫「じゃあ、行きましょう!」
海未「って、階段は逆の方向ですよ!?」
雫「あら?」

 仲良くなった高校生アイドル二人組。ただ、雫を見ていて海未は「一人にしたら危ないかもしれない」と思っていたとかいないとか。




イオノプシジウム「っは!! 今、このエリアのどこかで……! 絆という愛が芽生えた気がします……!!」

 イオノプシジウムの愛センサー、絶好調だ……。




スタッフ「星乃さん、目標金額は?」
一歌「そう、ですね……。できれば逃げ切りたいから、満額、かな……?
うぅん、こういうの初めてだから何を言えばいいのか……あっ!」
スタッフ「?」
一歌「えっと、私、Leo/needっていうバンドでボーカルをしています! 今度、ライブをするので見に来てください!
……こ、こういうのも入れなきゃと思って……ダメでしたか?」
スタッフ「いいえ(ほっこり)」


ハンターA「…………」


 イオノプシジウム、一歌、どちらかの近くに、ハンターが1体。



イオノプシジウム「早く……探さねば……! 芽生えたての、愛を……!」


一歌「お客さんがいないショッピングモールは初めてだから、何だか不思議な感じだな……」


ハンターA「……!!」

 ハンターが視界に捕らえたのは……!?

[85:37]
残り18人

Re: 逃走中1〜始まりはシンプル?に!〜 ( No.32 )
日時: 2023/02/23 09:10
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: LHB2R4qF)

ハンターA「……!!」

 ハンターが視界に捕らえたのは……!

イオノプシジウム「でも……どこに……!!」

 イオノプシジウム、ではなく……。



TARGET
【Ichika Hoshino】

一歌「? 足音……えっ!?」

 一歌だ……! ハンターに気が付いた彼女はすぐに逃げ出す。

クー・フーリン「しっかしそれなりに広いなここ。地図覚えねえと行った先が行き止まり……っ!!」

 近くにいたクー・フーリンは一歌とハンターの姿を捉え、踵を返した。

クー・フーリン「普段なら助けてやりたいとこだが、これは捕まっちまったら終わりだからな。恨まねえでくれよ、お嬢ちゃん」

 一歌に聞こえるはずもない言葉を呟きながら、クー・フーリンは下の階へと移動する。
 一歌とハンターの距離は徐々に縮まり、そして……。

一歌「も、もう、ダメ……!」


ポンっ


[85:20]
星乃一歌 確保
残り 17人



一歌「はぁ、はぁ……こんなに早く捕まっちゃうなんて……」


ピリリリ! ピリリリ!


博多「【星乃一歌 確保】」


羽黒「の、残り、17人……」


雫「一歌ちゃん……!」




赤兎馬「ふむ、開始5分ですでに3人確保ですか。少し早い気もしますね」

 赤兎馬はショッピングモール内を歩き回っていた。背もさることながら体格が良すぎる、というか馬、そのせいかやけに目立っていた。

赤兎馬「ここの天井は高くて助かります。体躯の良い私でも自由に歩き回ることができる。ただ、私が隠れられる場所はかなり限られていますから、他の方より一層気を引き締め、警戒せねばならないのがつらいところか」



カトラリー「もう、もう……! ジョージはあまり頼れないし、ミカエルは捕まえられちゃった……。やっぱりもう自首しようかな……でも、ミカエルの分まで頑張りたいな……うう、……なんで十手いないの……」(ボソッ)

 涙目でぼそりと呟く、カトラリー……。




イオノプシジウム「またも愛の気配っ!!」

 やはり絶好調な、イオノプシジウム愛のセンサー……。


●運営本部●

陸奥守「そろそろかのぉ」
織田「せやなぁ! えーと、ここをこうしてー」
陸奥守「こうじゃぁ!!」
ブラウン「出すミッションは間違えるなよ」
ミルク「出したミッションは取り消しが効きませんからね」

 本部から、ミッションが発令された……!



ピリリリ! ピリリリ!

ジョージ「Oh! メールだ!」


ラック「『ミッション1
エリア内の5ヶ所にハンターBOXを設置した』」


足柄「『残り70分になると、5体のハンターが放出される』
5体!? ってことは8体になるの!?」


陽介「『阻止するためには、ハンターBOXの近くにあるクイズに正解し、封印しなくてはならない』
ハンターBOX封印かぁ……!」


ネリネ「『このクイズは不正解でもペナルティはない。ただし、答えられるのは一つの問題につき、一人一回のみ』
わわわ、大変そうです……!」


赤兎馬「『なお、運営が解答困難と判断したクイズにのみヒントボックスが設置されている。活用したまえ』
これはありがたいですね」


【ミッション1 ハンターBOXを封印せよ!
残り70分になると、エリア内5ヶ所に設置されたハンターBOXから、ハンターが放出されてしまう。
それを阻止するために、ハンターBOXの近くにあるクイズに正解し、封印しなければならない。
ただし一つの問題につき、解答権は一人一回のみ。運営が『難しい』と判断したクイズにはヒントボックスが置かれている。活用したまえ。】


逃走者Aが1の問題に挑戦し、不正解となる

Aはもう1の問題に解答できないが、他の問題は解答可能


海未「70分……残り15分ですね。どうしますか、雫? 私は、ミッションをしようと思うんですが」
雫「私もやるわ。ハンターさんが増えちゃったら、みんな困るもの」


イオノプシジウム「やりに行きましょう……もしかすると、愛に巡り会えるかもしれません……」


羽黒「う、うぅ……怖いですけど、頑張ります……!」


 ミッションに果敢に挑む者……。


陽介「クイズかぁ……わり、俺はパス! 頭あんま良くないし……デメリットがないとは言え、役に立てそうにないしな」


カトラリー「嫌だよ。なんで行かなきゃいけないのさ。どうせ誰かやるに決まってるよ」


ジョージ「ん〜、クイズかぁ……どうしよう?」


 ミッションに不参加の者や悩む者。ミッションに行くか行かないかは、逃走者の自由だ。


イオノプシジウム「えっと……まずどこを探しましょう……? 今は……三階ですね……。
えーと……」

 悩むイオノプシジウム……。その近くに……。

ハンターC「……」

 ハンター……!

イオノプシジウム「まず……ここが……カデンリョーハンテン……ですから……!
ハンターっ……!」
ハンターC「……!!」

TARGET
【Ionopsidium】

 イオノプシジウムは走り出す。しかし、ハンターは容易に振り切ることはできない。

イオノプシジウム「わぁああああ」


ポンっ


[84:03]
イオノプシジウム 確保
残り 16人

イオノプシジウム「ふっ、不覚……!」

 花騎士イオノプシジウム、逃げ切れなかった……。


ピリリリ! ピリリリ!


ミク「ま、また確保情報!?」


悠「【イオノプシジウム 確保
残り16人】
少しペースが早いな……」


カトラリー「あ、あのちょっと怖い子か……。捕まっちゃったんだ……。そ、そっか……。
ちょっと、かわいそうかも……」


 ミッションのために移動することは、ハンターに遭遇するリスクを伴う……!

 果たして、逃走者たちはミッションをクリアできるのか……!

[83:51]
残り16人

※2023/02/23 修正

Re: 逃走中1〜始まりはシンプル?に!〜 ( No.33 )
日時: 2023/02/22 22:10
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: nG1Gt/.3)

スタッフ「鳴上さんはミッションに行きますか?」
悠「はい。一つでも多く封印しておいた方がいいですから」

 自称特別捜査隊リーダー鳴上悠はミッションに挑むようだ。周りを警戒しながら四階を捜索している。

悠「5ヶ所なら、多分一階か二階のどっちかに2つ設置されてると思います」
スタッフ「? どうして一階か二階なんですか?」
悠「入り口広場と中央広場があるので……」
スタッフ「なるほど……」


●中央広場●


ハンターBOX【……】

 正解だ……。そして、そんな中央広場のハンターBOXに近づく影……。

博多「見つけたばい!」

 博多藤四郎だ。彼は走りながらハンターBOXに近付き、赤いボタンとモニター、そして小さなマイクを見つける。その側には【ヒント】と書かれた小さな箱が一つ置いてあった。つまり、これは難問である可能性が高い。
 博多がそっとボタンを押すと、モニターに一つのクイズが映し出された。

【クイズ
FXとは何の略?】

博多「Foreign Exchange(フォーリンエクスチェンジ)(真顔)」

 一息も入れずにマイクに向かって博多が答えればモニターに赤い丸が映し出され【正解】と機械的な声がした。ヒントいらなすぎである。

モニターの文字【絶対これ博多解いただろ、早いわ】
博多「長谷部しゃんも答えられるばい。
ちなみにこれ、日本語に訳すと『外国為替証拠金取引』って言うったい。
失敗したっちゃなるたけ損失ば抑えつつ儲けば狙うとよかよ、ばってんハマりすぎには注意ばい。儲けらるーならともかく失敗しすぎとー場合は冷静になった方がよかばい」

 さすがの博多藤四郎である。
 すると、ハンターBOXの影からひょこり、と二つの影が出てきた。

ラム「めー」
マトン「めー」
博多「あ、ラムとマトン。仕事もらえてよかね、ちゃんと賃金請求はしとー?」
ラム「め」(・ω・)゛
マトン「め」(・ω・)゛
博多「よかよか。ちょっとでも報酬はあった方がよかけんね」

 子どもの見た目をした三人がする会話ではない。しかしラムとマトンはともかく、博多はとっくに百は超えているから無理もないが。
 ラムとマトンが何とかハンターBOXにかんぬきをすれば、モニターに【封印】と映し出された。

博多「よしっ」

[81:47]
ハンターBOX 封印
残り4ヶ所



カトラリー「早く終わらないかな……」

 そうぼやきながら、周りを警戒しつつ歩き回るカトラリー。彼は今、一階のフードコート付近にいた。

カトラリー「……はぁ。もしかしたらミカエル、今ピアノ弾いてるかも……。逃走中より、ミカエルが弾くピアノが聴きたいよ」



柊「なんでツッコミ役捕まらないんですかねぇ……」
イソップ「知りません」
柊「『(ツッコミ的な意味で)手を貸して、早く!』」
イソップ「『(ツッコミ的な意味で)私は助けられないよ!』」
柊「こんちくしょう」



カトラリー「……やっぱり、自首しちゃおうかな。……あっ」

 カトラリーは、何かを見つけてそこへ駆け寄る。そこは、フードコート近くで店を構える【たい焼き屋】であった。

カトラリー「わぁあ……! タイヤキ売ってるんだ、ここ! えっと、つぶあん、こしあん……あっ、チーズ味もある、ファル喜びそう! えっ、ウグイスアン……緑だ、美味しいのかな? たくさん種類ある! わぁ……!」
スタッフ「……たい焼き好きなんですか?」
カトラリー「……あっ。べ、別に特別好きなわけじゃないし。その……じ、十手とか、みんなに買っていったら、喜ぶかなって思った、だけ……」
スタッフ「そうでしたか(ほっこり)」
カトラリー「な、何その顔! やめてよ!」
スタッフ「すみません(ほっこり)」
カトラリー「も、もう!」

 そんなカトラリーの近くに。

雫「あっ、あったわ!」
海未「このボタンを押せばいいのでしょうか?」

 ハンターBOXがあった。雫と海未がそれを見つけて、海未がボタンを押せばクイズがモニターに映し出される。

【クイズ
天ぷらが伝わったのはどの国から?
A.韓国
B.オランダ
C.ポルトガル】

海未、雫「「えっ!?」」
雫「て、天ぷらって日本のお料理じゃないのね……!」
海未「そうですね……でも、だとするとどの国なのでしょう?」
雫「うぅん……一番近いのは韓国よね、韓国かもしれないわ」
海未「そ、そうなんでしょうか?」
雫「あ、でもオランダかも……? わ、分からなくなってきちゃったわ……」
海未「ポルトガルの可能性もありますからね……」


カトラリー「……ねぇ、さっきから何をしてるの?」
海未、雫「「きゃっ!?」」
カトラリー「わっ! ちょ、ちょっと、おどかさないでよ!」
雫「あ、ご、ごめんなさい。ええと、カトラリーさん、ですよね?」
カトラリー「そうだよ。えっと……ソノダウミさんと、ヒノモリシズクさん、だよね……?
さっきから何してるの? そんなに騒いでるとハンター来るよ?」
海未「クイズの答えを考えていて……」
カトラリー「クイズ……ああ、ボックス、近くにあったんだ。えっと……」

 カトラリーがモニターを覗き込む。すると拍子抜けしたような声を上げた。

カトラリー「何これ、簡単だよ。答えはCのポルトガル」

 そう答えるとモニターは赤い丸を表示し、【正解】という声もした。

雫「正解だわ!」
海未「よく分かりましたね」
カトラリー「こんなの、ちょっと調べれば分かることだよ。ポルトガルの『テンポーラ』っていう料理が天ぷらの元になったの。確か日本ではムロマチジダイ、っていう時期にポルトガルから伝わったんだ。その時にはもう野菜や魚を衣に付けて揚げていた料理だったんだよ」
雫「すごい、詳しいんですね!」
カトラリー「……あっ、えっと、その……」
海未「? どうかしましたか?」
カトラリー「……えと……ご、ごめん、嫌じゃ、なかった?」
雫「えっ?」
カトラリー「そ、その……前にマスターと食事行ってた時に、傷つけちゃったことがあるから……」

 カトラリーが思い出したのは、マスターであるオリヴァーの落ち込んだ顔だ。カトラリーにとって楽しかった時間は、彼の無意識な知識のマウントや話し方によってオリヴァーにはあまり楽しくない、それどころか「自分と食事をしていてもカトラリーがつまらないのではないか」と思わせるような時間になってしまっていたことがあった。もちろん、カトラリーにそんな意図はなく、むしろ話せるのが楽しかったのだが……。

海未「そうですね……今の調子が続いていたら、少し……。でも、今のお話は楽しかったですよ」
カトラリー「えっ……ほ、本当?」
雫「ええ、初めて聞くお話でしたし……カトラリーさんも楽しそうで、こっちも楽しくて……よかったら、また聞かせてください」
カトラリー「……! し、仕方ないなぁ……!」

 照れながらも笑みを浮かべるカトラリー。そんな彼に、海未と雫も笑みを浮かべた。

?「おい、人間ども」
三人「「「!?」」」

 突然した声に全員がそちらを向く。そこには暗い黄緑の髪をした、下半身は蛇の男がいる。

カトラリー「だっ、誰!?」
?「……セルペンテ。このハンターBOXとやらは封じておいたぞ。じゃあな」

 簡潔に、そして気だるげにそう告げた男、セルペンテは閂が嵌められたハンターBOXを差して去っていった。

[79:42]
ハンターBOX 封印
残り3ヶ所

カトラリー「な、なんだったの……というか、僕人間じゃないんだけど……」

 呆然とする海未、雫と少しぼやくカトラリー。そんな三人に……。

??「……」

 近づく影が、一つ……。

[79:26]
残り16人


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