複雑・ファジー小説

『受拳戦争』
日時: 2017/12/04 23:41
名前: 四季彩

彩都さんと四季の合作です。

合作といっても、企画や世界観・キャラクターの名前や原形、プロットなどは、彩都さんです。
四季はキャラクターの口調を考えたくらいだけのもので、執筆係です。

よろしくお願いします。

スレ立て 2017.11.19
投稿開始 2017.11.20

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Re: 『受拳戦争』 ( No.123 )
日時: 2019/12/23 11:48
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

「いいですけど……五月迄にはこの学園も悪事がバラされ、崩壊、解体、消滅しますよ?たった数十日の登校でも良いんですか?」

 伊良部の悪事が暴かれ、今にも栄光の終わりそうな文武学園。それでもそこに入学したいと断言する3年1組メンバーたちの姿に、櫂真は呆れを隠せない。彼には理解できないのだ、今にも終わりを迎えそうな学園に意地でも入りたいという気持ちなんて。

 しかし、3年1組メンバーたちは、櫂真に呆れられていることなど微塵も気づいていない。
 彼ら彼女らは、一切迷いのない瞳で「はい!」と答えた。
 皆が重ねてきた努力を知らない者の意見など、彼ら彼女らには何の関係もないのだ。

「ボクたちは文武学園で頑張ってゆくのです!」

 誰にも求められていないというのに、決意表明をする半天。
 そのポーズはなかなか奇妙だ。
 右手を真上へ掲げ、左手は腰に当てている。顎はやや持ち上げ気味で、視線は左斜め上。上半身と下半身をそれぞれ逆の外側に向かって捻るようにし、腰は左に豪快に突き出している。足は肩幅の1.5倍くらいに開き、つま先は軽く外向けに開く。

「数十日間の投稿でしかなくとも構いません!ここまで来たのですから、絶対、文武学園の生徒になってみせます!ボクは文武学園の生徒になりたいのです!」

 半天は、ポーズこそ奇妙でかっこ悪いものの、文武学園に入学することへの思いを語る様は勇ましくかっこよかった。誰に何と言われようと心を変えない。そんな強さが、今の彼にはあった。

 己を貫ける強さ。
 他者によって思いを曲げたりしない強さが。

Re: 『受拳戦争』 ( No.124 )
日時: 2019/12/30 12:38
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

「我が輩らは『文武学園』に入学するため、想像を絶するような訓練を積んできた。ここまで来て、学園長の失脚ごときで入学を止めるわけにはいかん。皆、血の滲むような努力を重ねてきたのだ」

 優雅ささえ感じさせるような落ち着きで述べるのは、春夏冬。
 彼は、声も言葉遣いも、高校入学前の少年とは思えない。

「その通りだぞ!今さら『やっぱやーめたー』なんて言えるわけがないぞ!半天やオレ、もちろん他の皆も、協力しつつでも、凄まじく頑張ってきたんだぞ!」

 春夏冬に続き、力を込めて言い放ったのは、枯淡。
 筋肉質な肉体を持つ彼は、これまでの辛くても努力してきた日々を振り返り、本心を述べた。その瞳からは、真っ直ぐな視線が放たれている。

「半天や皆と一緒に、この学園に入学したい!それが夢なんだぞ!」

 枯淡の発言には、決して折れることのない強さがあった。

「うんうん。枯淡くんの言う通りだよ。こんなところで諦めるなんて、私も絶対に嫌!……全員で『文武学園』に入学したい。それはきっと、全員の気持ちだと思うよ」

 そう言ったのは麗。
 彼女の言い方は、静かで、落ち着いている。もともとが綿菓子のような声質だから、これまでに言葉を発したクラスメイトたちに比べれば、喋り方に勇ましさはない。
 けれど、『文武学園』に入りたいと言う気持ちでなら、クラスメイトたちに負けていない。
 たくさん努力してきたからこそ、絶対に入りたいと思っているのだ。

「わ、わたしも……同感です……!冷褪さんが仰った通りです……!」

 控えめながら芯のある声で発したのは灯。
 彼女はいつも、控えめな性格である。彼女は基本、多人数の中にいる際でしゃばらないタイプなのだ。少し離れた位置から、冷静かつ温かに仲間たちを見守る。そういう立ち位置なのが、彼女だ。

「ホントそれー。事実もそう思うー。どうせ頑張ったんだから入りたいー」

 語尾が伸びる口調で言い放つのは事実。
 柔らかくはないが甘みのある声が少女らしい。

Re: 『受拳戦争』 ( No.125 )
日時: 2020/01/07 23:23
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 3年1組の皆は、真っ直ぐな思いを、言葉にしてぶつけてゆく。

「このぼくは諦めないでんな。たとえ閉校になる運命になるとしても、それでも入学はする。なぜなら、それがこのぼくを含むみんなの夢だから。文武学園の門が閉ざされるその日まで、一日でも二日でも時間があるのなら、このぼくは入学することを選択するでんな」

 落ち着いた調子ながら熱の入った発言をするのは、永保。
 彼もまた、文武学園への入学を強く決意している一人だった。

「多分、3年1組のみんなは、誰もが入学を希望するはずでんな」

 推理では誰にも負けない能力を持つ永保。彼は周囲から「探偵のよう」と言われるくらいだった。その彼になら、3年1組メンバーたちの心も透けて見えているのだろう。

「宝永氏の言うことはもっともですな」

 彼の言葉に頷いたのは、翡翠。
 彼女は相変わらずの独特な言い回しながら、クラスメイトに共感を示していた。

「私も宝永氏と同じ気持ちですな」
「そう言ってもらえると……凄くありがたいでんな」
「いやいや」

 短いやり取りをする永保と翡翠を、近くにいた環視はじっと見つめている。
 その数秒後だ、環視が声をあげる。

「カンも同感だカン!」
「……いきなりどうしたのですかな」

 環視が突然大きな声を発したものだから、翡翠は戸惑っていた。
 何がどうなってこうなったのか、一瞬よく分からなかったのだろう。

「ご、ごめんカン!でも、でっも、同感なんだカン!」

Re: 『受拳戦争』 ( No.126 )
日時: 2020/01/14 02:46
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

「同感……ま、それは何よりですな」

 環視の唐突な発言に、翡翠は戸惑っていた。しかし翡翠は案外心が広くて。それゆえ、環視の言動や存在を批判するような発言はしなかった。

「そういえば、音張坂氏は昔からそういう唐突な発言をすることがありましたな。懐かしい」
「お、覚えてくれていたんだカン!?」

 環視と翡翠は幼馴染みだ。それゆえ、お互いに、昔からのことを知っている。

「当然覚えていますからな」
「ふぇっ!?う、嬉しいっ……!」

 環視はらしくなく情けない声を漏らしてしまう。
 それは、憧れの人に自身のことを覚えてもらえていた、という喜びから出た声だ。

 しかも、それだけではない。環視は情けない喜びの声を漏らすだけならず、頬をりんごのように赤く染めていた。今の環視の顔は、大きなりんごを二つくっつけたかのような顔だ。

「あてぃしも同じ気持ちカンー!」

 乱入してきたのは小坂。彼女は環視を密かに慕っている。環視は幼馴染みの翡翠に淡い恋心を抱いているが、その環視に小坂は想いを抱いているのである。3年1組の中でもかなり珍しい、複雑な関係性の三人だ。

「ミーは文武学園に入っても生物係をしたい気分なんだネ!ハッハッハハーハー!」

 フィギュアスケーターレベルの高速ターンを繰り返しながら鈍器は言う。

「カ・メ!メ・ダ・カ!カ・ラ・ス!ス・ズ・メ!ハッハッハハーハー!ハハハーハーハッハー!ハラッハッハー!ハララハラッタラッハー!」

 右足を軸にし、左足を伸ばしつつ真後ろに上げ、両手を円を作るように掲げる。背筋は真上にぴんと伸ばし、首も鶴のように長くして。そのまま回転している。床は氷ではないので、本来そこまで高速回転はできないはずなのだが、彼はなぜか見事に回ることができている。

Re: 『受拳戦争』 ( No.127 )
日時: 2020/01/21 01:12
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2

 鈍器は歌い踊る。
 伊良部を倒した時の半天に負けないくらいの勢いで。

「ザ・リ・ガ・ニ!ニ・シ・ン!……あ。カ ・ニ!ニ・シ・キ・ゴ・イ!イ・リ・オ・モ・テ・ヤ・マ・ネ・コ!コ・オ・ロ・ギ!ハーッハッハッハ!ハハァーッハァッハァッハハーッ!」

 両腕を激しく回転させ、宙に円を描く。それも、ただ腕を回しているだけではない。速度が凄まじいのだ。発電でもできそうなくらいの速度の回転である。とにかく、回す、回す。

「ツ・バ・メ!メ・ジ・ロ!ロ・バ!バ・バ・ア!ア・イ・オ・イ・ク・ラ・ゲ!ゲ・ン・ジ・ボ・タ・ル!ハッハーハハーハハー!ハハァッハァー!ハーハハーハッハハァー!」

 鈍器の舞を目にした3年1組メンバーたちは引いていた。男子も女子も、皆揃って、顔面に戸惑いの色を浮かべている。誰もが、理解できない、といった雰囲気の顔をしている。半天の踊りが止まらなくなった時も引き気味だった者はいたけれど。でも、その時より今の方が、多くの生徒が引いている。そして、戸惑っているようだ。誰も何も言えない状態である。

「タ・イ・コ・ガ・イ!イ・カ!カ・イ・コ・ガ!ガ!ガ・マ・ ノ・セ・ガ・イ!イ・ガ・グ・リ・ガ・ニ!ニ・シ・キ・ハ・ゼ!ハーハハハァーッハー!ハーハハハーッハァーッハ!!」

 鈍器の声は、空まで響く。発電できそうな舞は、天まで届く。

 ……ただし、クラスメイトたちには不審者を見る目で見られてしまっている。

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