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マジカルスイーツショップ【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 198ページ)
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ラグくんが惨殺されようとしたそのとき、僕は颯爽とリングへ飛び込みました。

彼の対戦相手である、木星神ジュピターさんは、僕を見て怪訝そうな顔をすると、口を開きました。

「お前は何者だ?」

「僕はフレンチ=トーストと言います」

そう言って微笑みかけますと、彼はニヤッと笑みを浮かべました。

「…貴様は確か、星野に敗れた奴だな」

「あの時は不覚を取っただけ。スター=レスリングジムの中で、僕は折り紙つきの実力者です」

「お前がか?冗談であろう」

彼は鼻で笑います。

「信用なさらないのですね。わかりました。証拠をお見せしましょう。どこからでもかかってきてください」



私は幻覚を見ているのだろうか。

何度も目をこすり、オーロラビジョンを見てみるが、ラグの前に立ちはだかり、敵を挑発しているのは、プラチナブロンドの美しいボブの金髪、海のように青い碧眼、雪のように白い肌、赤と白の縦のストライプ模様のチョッキを着た美少年…紛れもなく私の元弟子であるフレンチくんだった。

しかし、今になってどうして私の元に再び現れたのか、見当もつかない。

すると、隣の席から笑い声が聞こえたため、見てみると、なんと、いつの間に来ていたのだろうか、私の魔法の先生であるヘンリー先生がいた。

「へ、ヘンリー先生!どうしてここに?」

「たまにはプロレス観戦もいいと思っての。孫と従業員と一緒に来たのじゃ」

彼は笑いながら、ステッキでオーロラビジョンを指す。

「お前さんは、どうしてフレンチくんが来たのかと不思議に思っているじゃろう?」

さすがは、先生だ。私の考えていることがすぐにわかる。

「答えは簡単じゃよ、わしが彼に協力を依頼したのじゃ」

なるほど。これでわかった。

フレンチくんは賞金稼ぎを無料で引き受けている。

毒舌だが、正義感の熱い彼のことだ、頼まれれば引き受けるのは当然のこと。

「そういうことじゃ。スターくん、何も心配することはない。わしらはのんびり試合を見届けておれば、それでいいのじゃ」

彼はゆったりと椅子に腰掛け、私に助言する。

確かに心配のしすぎはよくないことだと思うので、とりあえず、深呼吸でリラックスして試合を観戦することにした。

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