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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*185*
僕がジュピターさんを挑発しますと、彼は僕に興味を示し始めました。
「面白い。相手になってやろう」
彼が承諾しましたので、僕はラグくんをリングからおろし、扉から東京ドームへ帰ってもらい、そこから試合を観戦してもらうことにしました。
正直なお話、彼は僕が乱入しなければ、間違いなく惨殺されていたでしょう。
少しお節介に思えるかもしれませんが、許してくださいね。
「では、望み通りかかってきてやろう、後悔するなよ!」
彼は真っ直ぐ僕に突進してきますが、余裕で彼の突進を回避します。
「ジュピターさんは図体がデカいだけで、頭は足りないんですね」
「貴様、今なんと言ったのだ?」
「もう1度言いましょうか、あなたは頭が悪いと言ったんです」
彼は眉間にしわを寄せ、目をつりあげ、血管を浮かび上がらせ、怒りを露わにします。
人の怒っている顔を見るのは、いつみても気分がいいものです。
「この私を侮辱したな、この下等生物が!」
彼は足を前に突き出し、蹴りを放ってきますが、僕から見れば、冗談ではなく、本当に止まって見えてしまいます。
僕は彼の足を片手で受け止め、
「僕、こんなに遅いキックを見たのははじめてです。さすがは重力が高い惑星の神様ですね。動きが遅いのも頷けます」
「貴様…細切れ肉に変えてくれる!」
彼は拳を固めて殴りかかってきますが、その全てが大ぶりで、命中率ゼロです。
「当たらん…ラグには当たったのに、なぜだ…?」
「さあ。彼があなたのバカ力に怯えただけじゃないですか?
彼は臆病で泣き虫ですから。怪力バカのあなたに怯えるのは彼ぐらいじゃないんでしょうか、この地球上で」
と、ここでほんの一瞬油断したのがいけなかったのか、僕は彼に掴まれ軽々と彼の頭の上まで持ち上げられてしまいました。
「フフフ、どうだ小僧。お前は今からこの怪力に散々恐怖を味わい、そして死んでいくのだ!」
「うーん、それは怖いですねぇ、でも、僕はそうなりませんよ。ラグくんと違ってね!」
パッと瞬時に体勢を変え、敵に卍固めをかけます。
ですが、彼はそのバカ力を駆使してはずしますと、今度はラグくんに重傷を負わせたボディプレスを敢行します。
「これで止めだ。圧死するがいい、フレンチよーッ!」
僕は寸前で、マットを転がって、彼の渾身のボディプレスを避けました。
そして立ち上がり、笑顔で、決め台詞を口にします。
「僕の勝利する確率は99%。残りの1%はせめてもの情けです」