完結小説図書館
作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
関連タグ:
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~
*192*
「食らえ!『シャドウラビリンス』!」
彼は無数の影を作り出し、彼女を翻弄する。
彼女は影の幻影に騙され、攻撃を当てることができずに、苦戦している。
「落ち着け、マールス!」
私が彼女に呼びかけると、彼女は深呼吸をして、冷静に影が本物であるかどうかを確認し、的確に本体を捉える。
必殺技を発動し、敵はかなり疲労困憊している様子だが、まだ闘うつもりらしい。
「俺は仲間のセラロの為に、命を懸けてでも、この野望を叶えなくてはならない!」
「どうやら、きみはアレをするようだね」
何かに気付いたのか、セラロが興味深い口ぶりで言う。
「ああ…お前と別れるのは残念だが、それが疲労困憊した俺自身に対する責任だ……俺はただでは死なない…マールス、死ぬときは一緒だぜ!禁断の超必殺技『クアドリドブラック』!」
彼は自身のパワー全てを闇に変えて放出すると、そのまま黒の粒子になって昇華した。
闇はマールスを包み込み、徐々に彼女の体を足先からピンクの粒子に変えていく。
「カイザーさん、ここでお別れ見たいです…必ずセラロに勝ってください…」
彼女の粒子化が胴体にまで及び始める。
私はリングに上がり、彼女に駆け寄り、その消えかかる体を抱きしめた。
「ありがとう…よく闘ってくれた…」
「最後に…フロイさんに伝えてください…『わたくしの友達になってくれて、ありがとう』って…」
「ああ、約束しよう!」
「ありがとう…」
彼女はその瞬間、ピンクの粒子となり、空へ舞い上がりながら、星へと帰って行った。
「故郷の星で見ていてくれ、マールス。
私はきみに必ず勝利を届けて見せる!
セラロ、もう躊躇はない!『太陽神』は今宵『闘神』となる!」