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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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「へえ、それは面白いね。そうだ、この最終戦、どうせならデスマッチにしない?」
「いいだろう。どんな対戦方法でも逃げずに受けるのが、この私の流儀だ」
「いい心がけだね。僕が提案するのは、『金網コンクリート有刺鉄線釘の十字架チェーンデスマッチ』だよ」
「随分と長い名前だが…よかろう。その試合形式で対戦しよう」
それから数十分後、私たちが死闘を繰り広げるリングが出来上がった。
リングには金網が張り巡らされ、脱出は不可能。マットはコンクリートで固められ、単純な技でも命の危険がある上に、ロープは有刺鉄線のため、ロープを利用した技を使うと大怪我をする恐れがあり、さらにリングの中央には巨大な釘がびっしりついた十字架。
あれにあたればひとたまりもない。
止めはお互いの腕をつなぐ手錠だ。
長さはきっかり1メートルしかないため、逃げることも隠れることも、飛び技も使えない。
恐らく、これほどの残虐デスマッチはプロレス史上初だろう。
観客がショック死しないことを祈るばかりだ。
そして、文字通り死の試合のゴングは鳴らされた。
「私はこの試合、お前にかける情けはない。全力で行かせてもらう!」
彼を顔に容赦なく鉄拳を叩き込み、血まみれにした後、有刺鉄線のロープへ放り投げる。
奴の体から鮮血が飛ぶが、そんなもので怯える私ではない。
構わず釘だらけの十字架へ、奴の体を押し付つける。
たちまちリングは血の海と化す。
「身から出たサビだ」
彼の顔面をコンクリートのマットへ叩きつけ、顔面崩壊を引き起こさせる。
「うん。そろそろこれぐらいで満足したかな?じゃあ、今度は僕の番だね」
すると奴は手錠を利用し、私の首を絞めた。
「どうだい?首が苦しいだろう?」
「フッ、この程度で私が負けるとでも思っているのだろうか」
私は首に絡まっている鎖を引きちぎり、奴と距離を置く。
「そろそろ、正体を現したらどうだ」
「そうだね。それがいいかもしれない」
彼はついにオーバーボディを脱いで、その正体であるヴィーナスの姿を現した。
黄金の龍の仮面に同様の両肩の肩当、同様の腕輪で引き締まった肉体美をした美青年の真の姿を大衆に見せつけた彼は、
「さて、これでようやく僕も本気を出すことができる。覚悟はいいかい、カイザー」
「当然だ。どこからでもかかってくるがいい!」