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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*24*
いつものようにお店に入って、マーラーくんを見たぼくは心底驚きました。
なぜってあの美しい彼の顔が信じられないほど醜くなっているのですから。
彼はどんよりとした顔でとぼとぼと学校に行きました。
☆
「きょうはお休みしようかの」
そう言って彼は意外にも『本日はお休み』の看板を表にかけました。
普段の彼ならお店を休むことなど滅多にありません。
その彼が休むというのですから、これは何かあるなと直感します。
すると彼は優しい笑みを浮かべ、リビングへ案内すると、白くて大きな丸テーブルに腰かけるように言いました。
言われるままに腰かけると、彼は魔法の杖を一振り。
するとテーブルの上にたくさんのお菓子が現れました。
「クロワッサンくん、きょうはふたりでのんびりと楽しくおしゃべりでもしよう」
言われるがままに頷きましたが、どうしてこんなことをするのか、その意図が掴めません。
「きょうお休みにしたのはわけがあるのじゃ。まずひとつは、マーラーと男の子の関係があの魔法でどうなるのか見たかったから。そしてもうひとつは…きみの最近の嬉しい変化に気づいたからじゃ」
変化?まさか…彼は知っていたのでしょうか。
「隠さなくてもよい。お前さん、真帆ちゃんのことが好きなんじゃろ」
その言葉にぼくはただ頷くしかありませんでした。
初めは彼女のことを常連のお客さんだとしか思っていませんでした。
けれど、何回も顔を合わせ、彼女のたわいない話や辛い過去の話、お菓子を食べて喜んだ幸せそうな顔や過去を語る悲しい顔などを見ているうちに、ぼくは彼女に対して普通のお客さんとは違う特別な感情を持っていることに気が付きました。
彼女がお店に可愛らしい顔で来るたびに、心は躍り、ドキドキしていました。
そしてあるとき気づいたのです。
ぼくは彼女に恋をしているんだということに。