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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*25*
「お前さんは、優しいから決してそんなことはせんと思うのじゃがの、くれぐれもエッチだけはしないようにな」
その発言にみるみる自分の顔が真っ赤になっていくのを感じました。
彼は話を続けます。
「恋愛と付き合いは違うからのう。
一時の感情で愛の行為だとか言って後々後悔する若者が後を絶たない。その理由は大方察しがつくと思うのじゃが、これは本当に悲しいことじゃ。若いということはいいことではあるが、過ちが多い時期でもある。まあ、これはなにも若者だけに当てはまることではない。例えば自分の性欲を満たそうとする中年男などもそれに含まれる」
その言葉を聞いたとたん、ぼくの背筋に電撃のような強いショックが襲い、全身を駆け巡り、かつての地獄のような日々が彼の一言によってほんの一瞬ですが、呼び起されてしまいました。
冷や汗が流れ、少し呼吸がしづらくなっているのを感じます。
もし、万が一、ぼくが世界で最も恐怖し嫌っているあの男が目の前に現れたら…そう考えただけで心が凍りつきそうになります。
ぼくの異変に気づいたのか彼はミルクを飲むように勧めました。
並々とそそがれたミルクを一気に飲み干すと、絶大な安心感と癒しで包みこまれているような不思議な感覚に陥り、少し精神不安定気味だった心が落ち着いてきました。
彼はぼくの顔を覗き込み、「落ち着いたかの」と訊ねましたので首を縦に振ります。
そして彼は話を再開しました。
「恋愛はそのような一瞬の行為で表せるほど簡単で甘いものなものではない。常に数々の試練や困難に打ち勝ってこそ、真の愛が得られるのじゃ。わしが考える究極の愛とは『精神的な結びつき』だと思うのじゃ」
その言葉を深く心に刻みこみながら、ぼくは真帆さんを一生愛していこうと決心しました。