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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*26*
ぼくは学校に行き、普通に授業を受けた。
みんなと何気ない会話をして、学校に行くのも悪くないと思った。
けれど、不思議なことがある。
それは、昨日あんなにぼくに熱烈にプロポーズをしてきた彼がまるで別人のように冷たく、そして無関心になっているということだ。
話しかけても返事さえしてくれない。ぼくはどうしても気がかりだったので、放課後、彼に訊ねて見ることにした。
「ねえ、昨日の返事だけど…」
「お前のようなブサイクと付き合う価値はない。うせろ」
「なっ…!」
「俺は綺麗なお前が好きだった。
お前は他の男や女を超越する輝きを持っていた。
だが、今のお前はどうだろうか。ブサイクで汚いただの男。
そんな奴に告白した俺が情けなくなってくるぜ…」
酷い。
彼はぼくの外見という上辺だけでしか判断していなかった。
ただ、ぼくの容姿が綺麗だからなんとかして自分のものにして、他のみんなに自慢したかっただけなんだ。
好きって言われた時は、ぼくは最初こそ戸惑っていたけど、彼の真剣な瞳を見ていると、この人は本当にぼくを愛してくれているんだ、そう思えた。
けど、現実は違った。
期待を裏切られたショックを受けてがっくりと膝をつくぼくの肩を、優しく掴む手があった。
「おじいちゃん…」
「これでわかっただろう、坊や。
『金の切れ目は縁の切れ目。美貌の切れ目は恋の切れ目』であると。これは最近の恋愛を現した名言じゃ。わしはこれが伝えたかったのじゃ。
まあ、結果はこうなるだろうとは思っていたからのう。
ただ女子からキャーキャー騒がれている王子様は容姿がいいからモテているだけじゃ。
わしはその王子様を愛している人の中にはその人を心から愛している人はほとんどおらんと見ておる。
本当にその人を愛しているのであれば、容姿がどんなに変わろうと深い愛を注ぐはずじゃ。
これがわしの提唱する『真の愛』なのじゃよ。
結婚すれば歳と共に容姿も変わるし、体も衰える、お金も底をつくかもしれない。それでもその人を愛し続けることができるかの?」
深い。とても深い。
おじいちゃんの言っている言葉は多分普通の人には実践するのが大変かもしれない。
でも、それを実践できたら本当にすごいことだと思う。
おじいちゃんは幼馴染だったぼくのおばあちゃんと結婚して生涯に渡って愛し続け、浮気もほとんどしなかったそうだ。
浮気しても彼女は笑って許していたという。
そんな関係でいられたらきっと幸せに違いない。
「坊や、もし坊やが愛する人を見つけたら、相手がどんなに変わろうが一生涯愛し続けるのじゃよ。そうすればその思いはきっと届くはずだから」
ぼくはうなずき、おじいちゃんと一緒にお店であるお家へ帰っていった。
きょうはたくさんのことを学んだ一日だった。