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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*42*
突然現れた謎の3人組、グランドマスターズ。
ひとりは目つきが鋭い男の人、マスター=フドー。
ひとりは金色の甲冑に青のマントを着た、マスター=トリニティ。
最後は赤の鎧身を包んだ戦士、マスター=カイザー。
3人ともそろいも揃って変な恰好したおじさんにしか見えないけど、今はただ彼らに頼るしかない!
「まずは俺が行かせてもらおう」
最初にフドーさんが彼と戦うことになった。
いつの間にか観客席が増え、負傷した川村くんや男の子、残りのふたりが座ってフドーさんと彼の戦いを観戦している。
「お前がフドーか。名前は聞いている」
「だろうな。俺たちは今回、ある目的のために彼らに加勢している」
「その目的が何であろうと、俺はお前たちを潰し、クロワッサンを我が物にするのだよ!」
ガキィン!キン、キン!
ふたりの模造刀が打ち合う。
今のところふたりの力は互角。
「なかなかやるではないか、フドーとやら」
「当たり前だ。異名は伊達じゃない」
「そうか。他のふたりの実力も楽しみだな」
「随分舐められたものだ。仕方がない。こうなれば、一気にケリをつけてやろう。奥義『特捜戦隊』!」
するとまた新しい曲が流れてきた。多分今までの流れからすると、これも戦隊ヒーロー物の曲なんだろうと、あたしは予想を立てる。
「大正解だ、お嬢さん。これは『特捜戦隊』の曲だ」
フドーさんは答え、敵に攻撃を再開する。
と、彼の剣が以前に増して輝きが増している。
《…銀河の果てまで追いかけてゆく〜》
《…静かな星を取り戻すためにさあ〜》
サビの部分に入り、フドーさんの強面の顔がますます怖くなり、剣裁きも威力を増大させていく。
「ぐっ…!この威力…今までの小僧たちとは一味もふた味も違う…!」
「くだらないことを言うな。今までの相手はガキで俺は大人なんだから、当然だろう!」
「ぐああああああああっ!」
チェイダーさんはその威力に吹き飛ばされる。
「よし、後退だ、カイザー」
ここでフドーさんはカイザーさんに交代する。
「よかろう、フドー。あとは私に任せろ」
重い声と体でゆっくりと剣を引き抜くカイザーさん。
それと同時にまた違う曲が流れてくる。
解説をしている、うどん好きの男の子が言うには、『魔法戦隊』のオープニング曲なんだそうだ。
《…勇気という名の魔法を持ってる〜》
「サン=ミシェル!」
サビの部分で放たれた、世界遺産に似た名前の必殺の炎をまとった斬撃はチェイダーさんに大ダメージを与える。
「代わろう、トリニティ」
今度はトリニティさんと代わる。
「勇敢に決めてやろう!」
今度はかなり熱い曲だ。この曲は『獣電戦隊』の曲らしい。
《…ほんとの強さは一体どこにあるというのだろう〜》
《地球儀を回すよりも心の中をさ〜がせ〜》
「ずああ!」
サビで炸裂した青い剣の連続斬りを受け、チェイダーさんは膝をついたが、まだ立ち上がってくる。
「なんて体力なの、この人!」
「俺はまだまだ戦える。さあ、次は誰が相手だ!」
「クロワッサンくん、次はきみが闘いたまえ。
長い因縁に決着をつけるいい機会だ」
トリニティさんの言葉を聞いたクロワッサンくんは、コクリと頷き、立ち上がって彼と交代した。
あたしはそんな彼の背中に声をかける。
「がんばって、クロワッサンくん!」
こうして因縁の対決が幕を開けた。