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マジカルスイーツショップ【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 198ページ)
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「お主、妖怪でござるな?」

この日、拙者はトウモロコシ畑の前で、妖怪と思しき女の子に出会ったのでござる。

彼女の髪は全体的に薄黒く栗色の毛が入り混じっていて、腰辺りまで伸ばしている。

赤い花柄の可愛らしい着物を着ており、尾はかなり長い。

その特徴から察するに狐の妖怪でござろうか。

「それはどうかなあ?私、こう見えても雷獣よ。雷槌零って言うの」

「零殿、お主はトウモロコシ畑で、何をしようとしていたのでござるか」

「決まっているでしょ。ここのトウモロコシを盗むの。あたい、トウモロコシ大好きだから。
ひゃっほーい!」

拙者は慌てて、トウモロコシ畑に入ろうとする彼女の服を掴み、引き止める。

「ここの畑は人間の農家の人のでござる。トウモロコシが欲しければ、スーパーで買うのでござるよ」

「そんなのいやよ、面倒くさいし、盗んだ方が楽でいいわ」

ふと、彼女の顔を見て思い出したのでござる。

「お主、もしや最近巷に現れトウモロコシを盗んでいくと言われる妖怪の正体でござるな?」

「そうよ」

「零殿、改心してくれぬでござるか」

「うん。いいよ」

「本当でござるか!」

次の瞬間、彼女はいたずらっぽく微笑み、

「嘘だよー!ま、あたいの言うことはほとんど冗談だけどね!」

その言葉に拙者の目に炎が宿る。

「お主、拙者が意地でも改心させてやるでござる。この斬心刀で!」

拙者は斬心刀を引き抜いた。

「はいはい、妄想も程々にね。あんさんがあたいに勝てると思っているの?返り討ちにしてあげる!」

こうして、拙者と零殿の勝負は雨雲の広がる中開始されたのでござる。

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