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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*66*
「アチョー!」
ぼくはまず、彼女に飛び蹴りをお見舞いします。
ですが、彼女はそれを腕を交差させることによって耐え、武器である棍棒と斬馬刀を振り回してきます。
武器なら武器で戦ったほうがいいと踏んだぼくは、懐からヌンチャクを取り出して応戦します。
迫りくる猛攻をひたすら防御や回避でなんとかダメージを受けるのを防ぎます。
彼女は攻撃が当たらないことへのイライラが募り、拳で殴りかかってきました。
その威力は一撃でコンクリートの地面に亀裂を起こす、物凄い威力です。
不動さんと勝負したらいい勝負になりそうですが、ぼくではとても勝てる相手ではありません。
応援を呼びたくても、呼べる状況ではないので、どうすればいいでしょうか。
このままでは確実に負けてしまい、下手をすると殺されるかもしれません。
ぼくが闘った敵の中ではかなりの強さを誇る敵だけに、背筋にヒヤリと冷たいものを感じます。
「もう終わり?つまらないわね」
「まだまだです。連続お茶拳!紅茶、麦茶、烏龍茶、緑茶、青茶、ハーブ茶!」
「ぬるい。この程度カスリ傷にもならないわね」
敵はほんのわずかだけダメージを負ってはいるものの、ピンピンしています。
体力の差は歴然。さすがは鬼です。
このままでは、敵よりぼくの体力のほうが先に尽きてしまうでしょう。
「あんた、弱いわね。もしかするとジムの中でもかなり下のほうなんじゃない?」
「……」
見事に敵に言い当てられてしまい、動揺の色を隠せません。
確かに一般の目から見れば、ぼくの動きはすごいとは思いますが、それはあくまで普通の人間相手だったらの話。
妖怪相手ではかなり苦戦してしまうのが現状なのです。
「止めよ、中性少年。あの世に行きなさい!」
彼女が拳を振り上げたとき、ちょうどグットタイミングでうどん星人、もとい、白鴎京くんが通りかかりました。
「……あ、宿敵のラーメン星人発見。妖怪の攻撃でボロボロになっている今が倒す絶好のチャンス」
彼の目は敵意に燃えています。
ぼくたちは普段『ラーメン星人』『うどん星人』とお互い呼び合うほど仲が悪く、その犬猿の仲っぷりは近所でも評判の的です。
彼は棒を取り出し、棒をクルクル回しながらそれを軸にして、ぼくに突進するかとおもいましたが、意外にもその攻撃は敵に命中し、敵を5メートルほど吹き飛ばしてしまいました。
そして驚愕したことに、彼がぼくに手を差し伸べたのです。
「キミには借りがある。この前うどん作ってくれて、ありがと」
「……知っていたのですか…」
「今回だけ恩を返す。共闘してあの妖怪を倒そう」
「……はいっ!」
ぼくたちの最初で最後になるかもしれない共闘が始まりました。