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cynical【完結】
作者: 美奈  (総ページ数: 63ページ)
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「舞ちゃーん、この日にバイト入れられるかな、人手が足りないんだよねぇ」

来た来た、店長の懇願。断ると絶対確実に面倒臭くなる事は、百も承知だ。

「あぁ、大丈夫です…」

「良かった!ありがとうっ、あ、湊くんもその日大丈夫だったりしない?」

店長はこういう時、大体近くの人も巻き添えにして行く。
そして舞の近くにいる人といえば、必ず湊。だから、湊は120%巻き添えを喰らうのだ。

「…ん、まぁ大丈夫っちゃぁ大丈夫…」

「Thank you!愛してるっ」

店長は、それはそれは嬉しそうにしてその場を去って行った。

「ううっっっ…」

舞は店長に密かな殺意を感じながら、スケジュール帳を開いた。
無理矢理人にバイト押し付けといて、何が愛してるっ、だよ、ほんと。人使い荒すぎるだろ、人手足りないなら新規で雇えっつーかお前が身を粉にして、骨も粉々にして働けよ…、しかも本当に愛する、ってどういう事か知らないでしょ……??
爆発しそうな言葉を押し込んで、息をつく。
ダメダメっ、悪口は駄目だぞ。こんないい加減な私を採用してくれちゃった、普通の人よりひときわ器のデカい人間なんだから。地球の自転方向変えた人間だから。

「来週の火曜は変則でバイト、っと…」

その時、何やら白いものがスケジュール帳から落ちた。
傍らにいた湊が、それを持ち上げた。

「…これは?」

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