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*4*
「ぅ……ぁ…」
グレイの叫び声も小さくなった頃、エーガはため息をついた。
「なかなか封印解けないね〜。」
「古龍の事だけはあるな。」
ルーシィは気づく。
「ちょっと待って。古龍は今、存在しないはずよ!」
「およ?あの嬢さんは詳しいな。」
古龍。
イグニール、メタリカーナ、グランディーネよりも古き存在。
伝説では、古龍が世界を栄えさせたといわれている。
「でも古龍は、大昔に滅びたはず。 グレイは18歳よ!?
ありえないわ!」
「…ホントに頭が良いね。金髪少女。」
「……もう時間がない。グレイは一旦諦めよう、エーガ。」
「うん。」
そうして、エーガとルドは風邪と共に去る。
術式が解け、全員は気絶しているグレイの元へ駆けた。
「グレイ!大丈夫!?」
グレイを仰向けにさせると服の上からジワリと赤く染みができた。
ルーシィは目を丸くし、エルザから止血剤をもらう。
「俺に貸せ!」
「え!?う、うん…。」
ルーシィはナツに止血剤と包帯を渡す。
以外にもナツは器用で、スルスルと包帯を巻いた。
「…ん…ぅ…」
「グレイ!私だ、エルザだ!分かるか?」
「ぁ…ぁぁ…。」
弱々しいが頷くグレイに、全員は安堵の息をつく。
だが、次の瞬間、その息は消え果てた。
「…ふっ…ぅ…!!!」
「え?」
「グレイが、泣いた………?」
ハッピーが独り言のように呟く。
それをナツが黙らせグレイに近寄った。
「おい、グレイ―」
「俺は」
涙が溢れる目には、いつもの力強さは ない。
恐怖の目に等しくなっていた。
「俺は、氷の造型魔導士だ…っ!」
「…ああ。」
「でもっ」
グレイが顔を上げる。
男にしては色白の肌に透明の雫が伝った。
「俺は、 氷の 滅龍魔導士なんだ…」
二話・終
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