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*42*
「グレイ。」
「レイガッ!お前、どうしてここにいやがる!!」
「グレイ、グレイ…。」
「レイガ…?」
グレイはガーレ…本名レイガの方へ駆け寄る。
レイガは頭をおさえていた。
「グレ、イ…グレイ…。グレイ、とは誰、なんだ…?」
「!!!!」
グレイは哀しそうに顔を歪める。
気のせいかレイガはチクリと心が痛んだ。
「グレイ、行こう。ここが入り口だよ。」
「……。」
「ガーレ、そこを退いて。」
ルドはグレイの手首を引く。
だが、レイガはそこから動こうとしなかった。
「…駄目だ、やめよう、儀式を。」
「はぁ?何いってるの?」
「レイガ…。」
レイガは記憶が無い。
なにもかも、全て。
ルドがその魔法をかけた。
グレイのことも覚えているはずが無いのだ。
そのはずだが、彼は儀式の邪魔をする。
「彼を生贄にしたら、俺の大切な何かが壊れる…。」
「知らないよ、言う事聞いてくれ。」
「駄目だ、彼を儀式にはやらせな…」
瞬間、すべてはその瞬間。
レイガの腹から、血が流れる。
ルドの手はナイフが握られていた。
「言うこと、聞いてくれよ。」
「レイガッ!!!!」
グレイはレイガを抱える。
「死ぬな!大きな罪を持っているんだ!たとえ原因が俺でもこのまま死ぬ事はゆるさない!」
「俺は、記憶を、失って、いる…ッ。」
「生きるためにっ、暴れろ!!」
息絶え絶えにも、レイガは喋る。
グレイはやめろと叫ぶが、口は止まらなかった。
「俺はグレイだ!覚えているか!!?」
「君がグレイかっ…俺が君の枷に、なるなら俺は、この命、を、捨てよう…。」
「なにいって…!!」
「安心し、ろ…。君の古龍の、血を、消す方法が、ある…。」
「!」
ルドがこちらをみる。
少し、睨んでいるかのようにみえた。
「…呼び出された、古龍を、消せ…。君、の、魔法で…!」
「お前さぁ、正気?」
「ガハッ!!!」
ルドはレイガの腹を蹴る。
グレイが悲鳴をあげた。
「古龍を消す?ふざけるなっつの。どうやればそんな」
「グレイ、は滅龍魔導士、と聞いた、が?」
「ッチ…。腹立つ、お前。」
ルドはため息を吐いて、レイガの怪我に包帯をまいた。
「勘違いするな、お前も儀式に必要だからだ。」
ルドはグレイの腕を引いて、洞窟へいった。
「…あとは、頼む。妖精の尻尾…。」
レイガは気を失った。