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*60*
〜麦わらの一味SIDE〜
駄目だ…。もう・・力が…っ、入らねェ…!
ルフィは拳を握りしめる。
あんなに近くで、仲間が苦しめられているというのに。
自分は、何もできないのか?
自分は、何も守れないのか?
自分は、誰も助けられないのか?
(くそォ・・・・ッ!!!)
クルーは、瀕死状態になっているメリーを呆然と見つめているだけだった。
「「「「「メリー!!!!」」」」」
ナミ、ウソップ、サンジ、フランキーが声を上げる。
だが、もう手遅れだった。
〜メリーSIDE〜
首筋が熱い。だらだらと血が首筋を通り、服にベトリとついた。
淡い緑色のワンピースは、みるみるうちに濃い赤へと染まっていく。
「…お前はもう売り物にもなりゃしねえ。…よって此処で死んでもらう」
オメガが言う。
「化身は、腰に生えている尾にさわると、跡形もなく消える。…そうだよな?」
「…い・・や!!離して…ッ!!」
そう言っている間にも、メリーはだんだんと体に力が入らなくなっていく。
「さようなら。ゴーイング・メリー号。」
「いっ…いやぁ!!!!」
オメガの手は、真っ直ぐ、メリーの尾へと進んでいき___。
バァン!!!
「…?」
銃声が響いた。と、オメガが肩を押さえうずくまる。
―何があったの…?
「チッ…。外したか。」
銃口から煙を上げ、ドアに寄りかかっている男性がいた。
「手前は…」
「ミヨシだ。…お前も名乗ったらどうだ。」
ミヨシはオメガの額に銃を当て、脅した。オメガはそれでも余裕の表情で、口角が上がっている。
「オメガ・エクスターン。…賞金稼ぎといったところか。」
「…そっちは。」
「リステータス・リュークというものです。以後、お見知りおきを。」
そう言ってリュークは丁寧に頭を下げた。それをミヨシは不審がってまじまじと見る。
「本題に戻すとするか…。…何故撃った?」
オメガは額に銃をつけられたまま、ぎろりと目を光らせる。
「…メリーが悲しんでいた。それだけだ。」