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*61*
巫女として、人として〜1〜
生まれは平凡だった。
不自由ない、変哲のない町。見慣れた景色も時がたてばかわるものだ。灰色に移り変わっていく世界で生きていた。清らかな川も、町を囲む雄大な緑も、一年で変わり。また一年たてば変わる。都市開発というらしい。
幼綺「つまんない」
その言葉を軽く呟き、幼き少女はかけていった。
春夏秋冬綺砂那、この名前に文句はない。親からの名に意義を申し立てるほど無礼ではない。ただ、珍しい名字とは人を呼ぶ。
少年「おーい、あっそぼーよー、春夏秋冬さーん」
幼綺「・・・」
少年「無視しないでよー、あそぼー」
少女「やめときなさいよ、それより、みんなまってるよ」
少年「うん、じゃあまたね。春夏秋冬さーん。」
笑いながら立ち去る少年、彼の名前すら覚えてもいない。興味をもてない。それに、行ったところで、見ているだけだ。華奢なこの体は、走れない。いろんな理由をつけて、まだ寒い春先の公園で座っていた。
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