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*62*
巫女として、人として〜2〜
この公園は、大きめだ。森林公園といわれていた気がする。木漏れ日を独りで浴びるのは、端からみれば虚しさを感じるだろう。だけど、読書には最適だ。虚しくはない。そうして本をめくった。
親、親戚、ペット、先生、家・・・すべてある。ある・・・だけど、なぜ悲しい。幼い知識では、虚しいという言葉さえ知らない。故に悲しい、そう表した。本で読んだことがある。当たり前のない人がいると。家のない人、家族のない人・・・私にはある。あるのに、あるはずなのに・・・
どうして、どうして。
その言葉は、涙を伴いこぼれていた。それでも、誰もがめをそらす。今日も同じ・・・?
「おいおい、何を泣いてやがる・・・お嬢ちゃん、飴でもなめっか?」
おじさん・・・が声をかけてきた。周囲の軽蔑が送られているらしいが、気にもとめなかった。
幼綺「おじさん・・・だあれ?」
「おじさん・・・か。まぁそうだな。おじさん、籤幾勇蔵ってんだ。勇蔵、そんでお嬢ちゃん、名前は?」
幼綺「綺砂那、春夏秋冬綺砂那だよ・・・」
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