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SOUL COLOR(消えない罪)
作者: 璃蘭  (総ページ数: 53ページ)
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ⅩⅤ、変わった転入生

教室にて―工藤直人―

 僕は、隣の空いている席が気になっていた。
 今までこの場所に席は無かったはず。転入生でも来たのかもしれない。
「今日は転入生を紹介する。」
 先生の一言で、今までざわついていた教室が静寂に包まれる。そして、教室に男子生徒が入ってきた。
 黒板に名前を書くと、うつむき加減で言った。
「僕は窪田祐樹。よろしく…。」
「じゃあ窪田、そこの空いている席に座れ。」
 先生が指差した場所は…僕の隣。
「よろしく…。」
 祐樹さんは、僕に呟くように挨拶すると席に着いた。
 ふと、僕の中で警戒心が何故か沸き立った。しかし、この時はそれの意味を知るよしもなかった。

 休み時間、僕は読書にふけっていた。
「変わった転入生が来たね。」
 声の方を見ると、すぐ目の前に美波さんがいた。
「美波さん?な、なんでこんな所に!?」
 声をなるべく抑えて言った。美波さんは、いつもなら霧隠…旧校舎にいるはず…。
「だって旧校舎付近が今立入禁止なんだもん。そうしたら私やドリーズ達はともかく、直人君達とは会えないでしょ?姿を消す魔法を使ってるから、直人君以外に私の姿は見えないよ。」
 そういえばそうだ。最近、生徒が行方不明になる奇妙な事が起きている。それが旧校舎付近で増えているせいで立入禁止になっている。幸い、僕のクラスでは行方不明者が1人もいない。
「なるほど…。って、祐樹さんが変わっているってどういう事ですか?」
「あれ。」
 美波さんが祐樹さんの方を指差す。僕はつられて見る。祐樹さんはさっきから何かをこらえているような体勢をしている。と思うと、筆箱から紅い粉の入った袋を出して席を立ち、廊下に出て行った。
「あれのどこが変わっているんですか?」
「あの紅い粉、何となくだけど魔力を感じるの。普通の人間だったら魔力なんて持たないでしょ?」
「はい。多分魔力すら信じないでしょう。」
「だから、なるべく関わってあの人が何故魔力を持った粉を所持してるか確かめようよ。」
「分かりました。美波さんも協力して下さいね。」
「当然っ!!」
 美波さんは笑顔で答えた。

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