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*18*
ⅩⅦ、怪しい動き
旧校舎付近にて―神前美波―
放課後…。
私はとても退屈だった。旧校舎には入れないし、人前を歩こうにも姿を消す魔法も長持ちしない。それに、あの紅い粉の謎も分からないまま。
となると、ただ旧校舎付近を彷徨い歩く事しかない。
はぁ…こんなんで本当に良いのかな…。「掛橋」を戻す為に、私が出来る事って何だろう。
『善意を捧げる』。これはなくてはならない。だけど、その度に私は知らずに危険に突っ込んで助けられてしまう。
一体私はどうすれば良いんだろう…。
あれ?あそこにいるのは…、祐樹君?
祐樹君は、辺りをキョロキョロ見渡しながら旧校舎の辺りをうろうろして、やがて旧校舎の中に入って行った。
なんだか怪しい…それに嫌な予感。直人君と楓ちゃんに知らせた方が良いかな…。いや、駄目だ。今度こそ私の力で解決しないと!
私は旧校舎の中に入った。
教室にて―吉永楓―
私は何か嫌な予感をずっと感じていた。美波が遠くなるような…。
「また、危険に向かおうとしているのかな…。」
私は1人で呟いた。
「向かった方が良い。後からでは、取り返しのつかない事になるかもしれない。捜している者は、旧校舎の中にいる。」
私は驚いて辺りを見回すけれど、誰もいなかった。
今のは、一体誰だろう…?声は聞こえるのに姿が見えない。
それより、美波が危険な目に逢いそうな気がしてならない以上、向かわなければならない。私は旧校舎に駆け出そうとして、ふと思った。直人はどうしよう…。
直人は自称執事だけど、親は信じきっている(馬鹿なのかわざとなのか本気なのか…。)。もし私に何かあれば…。
直人を巻き込みたくはないけれど、仕方がない。私は携帯を取り出して、直人に電話を掛けた。
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