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*22*
ⅡⅠ、数年前の惨劇と奇跡
虹ヶ丘学園は、かつて金山だった。その金山のお陰で、その一帯の土地の住民は裕福な暮らしが出来た。しかし、その金山の地下深くは霊界と現世の出入口になっているという。
神や精霊を信じていた当時の人々は、その事をお告げとして聞き、金山を崩して土地にして学園を建てた。
それからというもの…。もはやお告げ等を信じる者は少なくなり、こんな噂が立つようになった。
『まだ地下に眠る金を、いつか独り占めする為に学園を建てた。』
そして、ある強盗団が学園に入り込んだ。生徒や教師を重傷に陥らせ、まだ金山の名残がある地下に踏み込んだ。しかし、誰1人帰った者は未だにいない…。生徒や教師はしばらく生死の間を彷徨っていた。しかし、病院に搬送された時にはほぼ回復していたという。まさに奇跡である。
霧隠にて―神前美波―
「…と言うのがこの学校の経歴です。…美波さん、聞いてますか?」
「ん…?あぁ聞いてる聞いてる…。」
私は半分寝ぼけ声で返事した。7月でだんだん暑くなってきたけど、暑いと逆に眠い…。
「はぁ…。美波さんが言ったんじゃないですか。この学校の過去を知りたいと。」
「言ったけどさ…長い話は苦手なんだもん。でもなんとなく分かったよ。ありがとう。」
「どういたしまして。じゃあ返してきますね。」
直人君は微かに微笑むと、本を片付けに新校舎へ向かった。
「放課後が楽しみだなぁ…。」
私は机に突っ伏して、再び眠りについた。
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