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SOUL COLOR(消えない罪)
作者: 璃蘭  (総ページ数: 53ページ)
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Ⅲ、美波(グレイス)の過去

霧隠にて―神前美波―

「本当の事を言うと、私は水神の子なの。」
「水神!?よく山にいるというあれですか?」
 私が魔法学園にいた時も、よくこの質問されたなぁ。皆、山にいると思っている。
「違う違う、あそこにいるのは森神だよ。水神は、海とか雨とかを治めているの。」
「なるほど…。」
「まぁそれは置いといて…。私は水神の子だけど、魔力っていうのは必要なの。それで私は魔法学園に通い出したって訳。」
「魔法使いの養成学園みたいな感じですか?」
 中々頭の回転が速いみたい。まぁ眼鏡のせいだと思うけど…。魔法学園で人間の事を習った時、よく言われていた。眼鏡をかける人間は頭の回転が速いって。何故かは分からない。真面目に見えるのと、関係があるのかも。
「そういうとこかな。それで、私は魔力を高めようとした。でも中々魔力は上がらなかった。それで、私は魔法円を使った儀式で魔力を最大にしようと考えたの。」
「儀式…?魔法円…?」
 人間界じゃ主流じゃないのかな…。でも儀式とは縁がある世界のはずだけど…。
「あ、そっか。そこから説明しないとね。
魔法円っていうのは…う〜ん。何て言ったらいいかな…。ミステリーサークルみたいな不思議な円を描いた物って言えばいいかな。儀式は何かを呼び出したりする手順みたいな物。」
「分かりました。それで、儀式はどうなったんですか?」
「失敗。しかも最悪な事に、世界の『掛橋』が消えて大惨事。」
「『掛橋』…?」
「そう。貴方達人間とかが住む人間界と私達神や天使が住む天界・精霊が住む精界・魔物や悪魔が住む魔界・死神や霊の住む地界の5つの世界の『掛橋』が全部消えたの。」
「そうするとどうなるのですか?」
「『掛橋』は力の暴走を押さえたり、そこに住む者達の行き来に制限をかけたりする働きがあるから、それが消えるという事は…。」
「力の暴走は止まらず、世界の行き来が不安定になる…という事ですね。でもそうすると貴方はどうやって此処に?」
「私はお父様によって人間界への追放を受けたの。罪を犯したら、神様であっても償いをしなきゃならないから…。
 ちなみに人間界は、強い魔族や地族以外の生き物なら自由に行き来出来るように制限されている。『掛橋』の無い今となっては、強い魔族とかも入り込めるのが心配だけど…。」
「魔族が入り込める!?」
 いきなり何!?もしかして…。
「まさか貴方、魔族の者を見たの…?」
「はい。幼い時に一度…それからは度々見ています。」
「それなら最初に言ってくれれば良かったのに…。魔族の者を見られる人間なんてそうそういないよ。」
 直人君は、黙り込んで何かを考え始めている。でもこのままじゃ話が進まない。
「それで?」
「え?」
「だから、どうやって見たの?魔族の者を。」

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