完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

SOUL COLOR(消えない罪)
作者: 璃蘭  (総ページ数: 53ページ)
関連タグ: SOUL COLOR  
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*43*


ⅣⅡ、生命の創造神

天界にて―神前美波―

 私は、「掛橋」を渡って天界に着いた。
 白い空に、大理石みたいにきらめく大地…。懐かしい。半年ぶりの故郷だ。
 でもディウスに言われたのは、故郷である青の森に戻る事じゃない。天国と呼ばれる場所の聖堂に行く事。
 私は真っすぐ聖堂へ向かった。

天国の聖堂にて―神前美波―

 聖堂には、多くの天使や浮遊霊(彷徨)・精霊・死神・聖霊がいた。
「これより、神の昇格を行う。昇格者よ、聖台へ…。」
 どこからか声が聞こえてきた。恐らくディウスの声だと思う。もちろん姿がないだけだから、みんな目を閉じて祈る姿勢に入った。
「我の次に神となる者…スガルトよ。最後にこの世界に語る事はないか?」
「今までは祈りを捧げていた。だけど今度からは、祈られる立場になる。だから私はみんなの祈りを聞き入れ、良き世界にできるように努力したい。」
 でも大変だろうな…祈りを聞くのも。だって、必ずしもいい願いとは限らないもの。人間に、善と悪はつきものだし…。
「それでは、皆で祈ろう。新たな神の降臨を!そして、新たにされるであろう世界を!」
 私達は、そのまましばらく黙想していた。
 暫くして、再び声が聞こえた。
「さあ行こう。神の祈りを聞き届ける為、そして良き世界の生き物の為に!」
 スガルトの声だった。ふと私はある言葉を思い出していた。7月に、みんなで金山を見た時…。

「…!ごめん…せっかく金山を見せられたのに…。」
「良いよ。むしろ、金山がさらに封印されたんだよ?もう誰も狙いはしないよ。」
「そうね…。良かった…。最後に、ここに来れて…。」
「え?スガルト、どういう事?最後って…。」
「あ、ごめん。なんでもないよ璃蘭。それより皆で祈ろう。またあんな惨劇が、もう起きないように…。」

 つまり、神になる事が分かっていたんだ。あれ?でもふと思った。
 …どうしてだろう?どうして人間は、運命に抗うんだろう…?

42 < 43 > 44