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6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
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*29*

♯26 「桜羽 晃(オウバ コウ)」

だんだん、僕の手を握る華の手の力が、強くなっていった。
気づいてはいたけれど、なんて言ったらいいか分からないから、気づかないフリをした。

「ねぇ、晃」

「ん?」

やっぱり不安なのかな。

「私ね、塾行ってるでしょ?
 それは、みんなから逃げるためなの。
 みんなは、上のお嬢様学校を目指してるし、家庭教師で勉強しているから。なのに!なんで休みも一緒にいなきゃいけないのかな」

「知らなかったんだ、ごめん。
 でも、僕たちのところにはいつでも居場所がある。
 だから、きなよ。準備ができたらさ、いつでも。
 今まで、我慢してたんだし、弱くなんかないよ、華は。
 大丈夫。楽しもう?
 一人じゃないんだし」

「うん・・・。でも、やな思いさせちゃうかも・・・」

「心配すんなって。知ってる?」

「え?」

華が、僕を見上げる。
かなりの身長さだから、妹みたいだ。

「僕たちは、このあたりで一番強い小学生なんだぜ?」




ね、2人とも。

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