完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~

*30*

♯27 「楓 瞳(カエデ ヒトミ)」

僕たち・・・。
そう言ったのを、私は聞き逃さなかった。

信用してくれてるんだな。
ごめん、期待にこたえられなかったら。

「って、なにまだ照れてんのよ」
「だって・・・」

隣の柏を見ると、まだ顔が赤かった。
あんなんで顔赤くなるとか。
ほんとにこの人、晃の幼なじみなのかな?

「よくお前は普通でいられるよな」

「いられないほうがおかしいかと」

「いや、俺は違うと思うけど・・・」

私は、いつも持ち歩いてる漫画の一ページを柏に見せてみた。
思ったとおり、柏は倒れた。

うん。
なんかあったらこの漫画を見せてみよう。

私はひとつ賢くなった。



2人の後をつけているうちに、学校にたどりついた。

「いい?
 ここではさりげなーく晃たちについていきながら、気づかれないようにするのよ?
華にもばれちゃダメ!!!
あのね? 不自然な行動は絶対ダメ。
目立つのもダメ。分かった?」

「分かったよ。じゃあ、設定は・・・。恋人にしよう」

「は?」

なに言ってるの、こいつ。

「普通に友達でいいじゃん。
 無理なことして変になったら嫌だし。
 晃に変な目で見られたくないし」

「大丈夫。
 俺の情報では、華と晃以外知り合いは来ていない」

「ちがーう!!
 別に好きでもないでしょ?
 そんな人と恋人のふりできるわけないでしょうがっ!」

あー、なんだろう。
4月なのに、暑い暑い。

「・・・好きだよ」

「・・・は?」

「簡単だって。あわせてくれたら演技なんて」

あ、恋人の演技ね。
って・・・。

「ふざけんな。
 あんた、絶対彼女とかできないよ」

「なんで」

「女子の気持ち、全く分かってないから!
 デリカシーもないね」

私はきっとにらみつける。

「あ」

柏は意地悪く笑った。

「もしかして、少しでもドキッとした?」

「なわけ・・・」

言い返そうとした瞬間、ぐいっと体を引き寄せられた。

「ほんと?」

うわ、こいつ・・・。
なんか、頭いかれたんじゃないの・・・?

「冗談だよ」

「柏!あんたねぇ!」

文句を言おうとすると、柏は衝撃発言をした。



「え・・・」

「そうなんでしょ?」

なんで・・・。
なんで柏は、こうもいろんなことを知っているの?




『晃のことが好きなんだろ?」

ありえない・・・。

29 < 30 > 31