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6人の役者
作者: 紫桜 (総ページ数: 86ページ)
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作者: 紫桜 (総ページ数: 86ページ)
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*20*
♯18 「桜羽 晃(オウバ コウ)」
あー、めっちゃ悔しい、岳には勝てる自信あったけど、
雫は・・・。
くそー!!!
カッコ悪すぎる!
男子が女子に負けるとか、あ・り・え・な・い!
これじゃあ、岳と一緒・・・。
ああああああああああ、さいあくぅぅぅぅぅぅ!!!
俺が落ち込んでいると、瞳が笑いをこらえながら近寄ってきた。
「・・・なんだよ」
「いや、真剣になってんのにできなかったって・・・。
ははははは!!!!」
「笑うなっっ!」
「ぷっ、ふふ、ご、ごめん・・・。ははっ」
「笑ってんじゃねーか!!」
はぁー。
今日は、最悪の気分で家に帰った。
岳を恨みながら・・・ね。
「へぇ、雫が?
ふふっ、すごいなー」
「そーなんだよ、さんざん笑われんの。
岳も可愛そうな目で見られたり、笑われたりしてたけどさ・・・」
「あははは」
俺が半ば愚痴っぽく話してると、華は黙ってしまった。
「華?
どしたの?あ、俺ばっか話しててつまんなかった?」
「・・・ううん。いいな〜と思って」
こっちも、何もいえなくなった。
笑いながら言うなよ。無理してるんじゃねーの?
転校するとき、俺は華の涙を初めて見た。
華の涙は、大きくて、とっても透明だった。
不謹慎だけど、綺麗とさえも思ってしまった。
華は、あの時、こう言った。
『これから、晃と、瞳と、みんなといられないなんてヤダ!!
だって、忘れられるもの・・・・・・』
それから、俺達の間では、「忘れる」を言わないのが「暗黙の了解」となっていた。
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