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6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
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*19*

♯17 「紺風 岳(コンフウ ガク)」

ぴぃぃぃぃーーーー!!

ボールをもっていたのは晃のチーム。
サーブしたボールをオレのチームの男子がうちかえす。

すると・・・。

晃は、高くジャンプしたかと思うと、すばやくボールをこっちにうちかえした。
違う!!


地面にたたきつけた・・・・・・・・・、だ。

それも、オレのすぐ隣に。
あと1cmオレが右に行ってたら、あの強烈なボールが・・・。

もう、やだ、怖い、怖すぎる。

晃の後ろでハイタッチしているチームメイトをよそに、「まだまだ」とつぶやいている。

なんで!?
なんでオレねらうの?

そのあとも、晃の攻撃はやまなかった。
主に、オレにたいしてだけど。


「岳、なんでとらないんですか?」
「とれっか!!あんな球っ」
「え?あんなの?」
「・・・は?」

雫、今、なんつった?
あんなのって言いました?
まって、なに、どういう意味?
遠くで見てる人たちでさえ、びびってるのに?




オレ、雫なめてたわ。
だって、晃とはりあってるんだもん。
晃も、なかなか苦戦してるよ?

オレでさえ、けっこう運動が得意な男子でさえ!
ムリだったのに・・・。

試合終了の笛がなった。

両者とも、肩で息してる。
いつの間にか、体育館にいる児童全員この試合を見てる。
先生たちもだ・・・。

オレたちは白チーム。
晃たちは赤チーム。



結果は・・・?

「この試合、勝者は・・・、白!!!!」

「わぁああああああああ!!!」

すごい歓声。
息をととのえながら、2人とも「嘘!」っていう顔してる。
でも、すぐに変わった。

雫は喜び。
晃は悔しさが、顔にでている。

「すごい、すごい、すごいよ!?」
「あ、ありがとう、ございます」

やっと落ち着いてきた雫が言った。




それから数日間、みんながオレを見るたび、鼻で笑ったり、可愛そうな目でみてくるようになった。

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