完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~

*80*

(岳)

「そうなんですか・・・」

聞き上手・・・とでも言うのだろうか。
ただ秋と似ている、という理由だけで話してしまったわりに、全部言っていた。

言ったのはオレなのに、オレが一番驚いていた。

「その秋っていう人。きっと、素晴らしい人だったんでしょうね」
「え?」

誰もいない空き教室。
響き渡る雫の声に、オレは反応する。

「岳は、言っていることもやっていることも、どこか芝居じみているんです。私の感じたことなんで、無視していいですよ?
だから・・・、気になっていたんです」

「・・・」

「なんか、私に似てるな、って」

不意に立ち上がる、雫。
その瞬間、チャイムがなる。

似てる・・・?

そんなこと、軽々しく言われたくない。
オレのこの気持ちは、オレにしか分からない。

そう、言おうとしたけど。
そのとき、気づいたんだ。



これは、オレの本心じゃない・・・。


79 < 80 > 81