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6人の役者
作者: 紫桜  (総ページ数: 86ページ)
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*68*

(岳)

いきなり、車は左にまがり、何かに衝突した。
いろんな、甲高いブレーキ音も聞こえた。

窓ガラスが割れたところまでは、オレも冷静に考えられた。

ただ、静まり返ったときからはもう。
オレの思考回路は停止した。

何がおきた。
何があった。
なんて叫んだ。
ここはどこだ。

疑問に思うことはいくつもあっただろう。

でも、生きる、死ぬ。

その言葉が頭に浮かんだとき。

「ああああああああああ!!!!」

思考回路はどうなってるか知らないが、パワーは尋常じゃないくらい出た。

車から出た瞬間。

状況を理解できたオレを、ほめてほしい。
冗談じゃない。本当にそう思った。

目を背けたくなる現実。

その言葉がピッタリだ。

「・・・」

周りには、たくさんの知らないオトナたち。

学校とかなら、一応挨拶して、話すなら敬語を使うだろう。
いくらバカなオレでも、そのくらいできる。

だけど。

「なにしてんだよ、なにみてんだよ。
 救急車ぐらい呼んでくれたよな。
 関わりたくないなら、今すぐどこかへ行けばいい。
 別にオレはかまわねぇ。
 でも、偽善者はお断りだ。
 そんなやつが、一番嫌いだからだ」

きっと、オレは生きてきた中で一番、するどい目をしていただろう。
光はともっていたと思う。

なんでかって?

オレにだって、大切な人はいるんだよ。


オレは、無我夢中になって秋と、葉を探した。
自分がわけわかんなくなるくらいに。

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