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必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
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*15*

「うっ……ごめん」
 慌てて玄関に戻ると、靴を並べる。
高校生になってもまだ並べる習慣がつかない。
自分でも、困ったなぁとは思うけど、まぁ仕方ない。
 そして、またリビングに戻る。
母は、にこっと笑っていた。
俺にではなく、音楽を流す母のスマートフォンに向かって。
 母は、優しいがこの頃、スマートフォンに向かっている時間が長くなった。たまに飯を作るのも忘れて音楽を聞いて、父と口論になることもある。
やはり、母もストレスが溜まるのだろう。
  俺は、静かに二階の自分の部屋にいく。
「ふぅ……」
 母もストレスが溜まるだろうが、母だけじゃない。
俺も父も、ストレスのせいで物に当たることが多くなってきた。
 この家族の中で一番正常なのは、きっと俺だと思う。
俺は濡れている鞄をタオルで軽く拭いた後、スマートフォンをとりだす。
 そして、もう一度アプリを開けると、更新は終わっていた。
早速、会員登録にかかろうとしたが、服が濡れたままだ。
 これでは風をひくかもしれない。仕方なく、先に着替えることにした。
制服を脱ぐと、Tシャツと半ズボンに着替えた。
そして、脱いだ制服は洗濯機の近くにおいておく。
制服をおくと、自分の部屋に入る。
 スマートフォンの電源をつけ、アプリを開ける。
会員登録の画面で止まったままだ。俺は、入力を始める。
「ニックネームを入力してください」
……うーん、ニックネームなににしようか。
後で変えられるらしいから、適当に「まー」にしておいた。
「メールアドレスを入力してください」
メールアドレスも書き込む。
もう一つの確認画面にも、メールアドレスを書き込む。
 そして、最後にパスワード設定。
なににしよう。 と考えた末に「1234mkt」にしておいた。
「makoto」を略して「mkt」だ。「1234」に意味はない。字数を補うためにつけただけだ。
 そして、OKボタンを押す。これで、登録完了だ。

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