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必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*17*

 このゲームは、俺のストレスを解消するためのいい道具となった。
 それからというものの、このゲームをしてばかり。
母さんに「ご飯よー」と呼ばれても、「んー」と適当な返事をして、母に呼ばれてから一時間くらいはゲームばかり。
 父の諌めも適当に聞いて、部屋に戻ったらまたゲーム。
飽きなかった、面白かった。
 夜人もいないから、朝に外にでても誰もいない。
街のベンチに座って、一日ゲーム。
 このゲームの日々は暫く順調に進んでいた。それに合わせてゲームもどんどんクリア。 難易度も上がってきていた。
 
 しかし、ある日。 邪魔者が入ってしまったのだ。
「ねぇねぇ、もしかして真人?」
後ろから聞こえた声……それは、雪だった。
俺は振り返り、
「おぉ、雪じゃねぇか」
と返事を返した。
 すると、雪は素早く俺の手からスマートフォンを取り上げるとゲームの画面をみた。
そして、ぽつり。「あ、これ夜人もやってた」と。
「え、まじか!」
それを聞いた時、俺は思った。
 これは、フレンド機能があり、フレンド申請を送ることができる。 なら、雪は夜人のフレンドコードを知っていれば、夜人のスマートフォンにつなげる。
 そして、それを思った後、(あの時、電話番号とかメールアドレス交換しときゃよかったー)とも思った。
 自分が考えたことを雪に話すと、雪は、
「私、夜人のフレンドコードとか知らないよ……ごめん」
といった。

 まぁ、当たり前。

 あんな数字の羅列、覚えている訳がない。
まず、覚える必要がなかった。
 俺は、その雪の言葉を聞いてから思い出した。
俺にゲームを紹介したのは、夜人。
なら、絶対にこのゲームはやっているはずだ。
なのに、今頃こんなことを思ったって意味がない。

 でも、なんか夜人がいなくなった日の記憶が薄れているような気がした。
それは、気のせいなのだろうか。
 しかし、昨日の晩御飯も言えるし、夜人がいなくなった日の晩御飯も言える。記憶力は良い方だ。あの放課後での記憶だけが薄れているのだ。
 あの時、僕が話しかけたのは、教頭だっけ、担任だっけ?

 目の前の雪は、少し申し訳なさそうな顔をしていた。


【第四話 END】

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