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必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*24*

 その街を歩いていく。
並んでいる店は、殆ど閉まっている。
俺が幼い頃好きだった和菓子屋も、閉まっていた。
(ここの和菓子屋、美味しかったんだけどな)
ため息をつきながら、店の前を通り過ぎる。
 そして、店をすぎたところにあった自動販売機でコーラを買うことにした。
 金をいれて、ボタンを押す。
しかし、自動販売機は反応しなかった。
もう一度、ボタンを押す。だが、さっきと同じで反応しない。
「お釣り」と書かれたボタンを押す。これも、反応しない。
 仕方なく、(違うところで買おう)と思いながら自動販売機の前から立ち去る。買えなかった上に、自動販売機に入れた金は俺の手には戻ってこなかった。

 正に、不幸な一日。
本当、現実逃避をしてしまいたい。
なんで、俺はこんなに不幸なんだろう。

 寂れた街と別れを告げる。
次は、暫く歩いた先にある大きなショッピングモールへ。
(何か買って帰ろう。母さんのあの様子なら、多分晩ご飯も作ってないだろうし)
 モールに入ると、たくさんの人。
いつもの二倍くらいは多かった。
(どうしてだろう? )
人ごみに流されながらそう思っていると、壁にに大きな広告があるのを見つけた。
 広告には、「セール中! 全商品50%OFF!」と書かれていた。
……そりゃ、沢山の人がくるわけだ。
 俺は、妙に納得しながら惣菜エリアへ行った。
沢山の惣菜が並んでいた。
「どれがいいかな……」
 十分くらい悩んだ結果、肉じゃがと弁当だけを買っていくことにした。
さっさとレジを済ませる。
 俺の財産も、50%OFFのおかげであまり減らなくてすんだ。

 弁当を持って、そのまま家に向かった。
家に向かう途中、鞄にいれてあったスマートフォンから着信音がなる。
「なんだろう」
 鞄から電話を取り出し、相手を確認する。
≪父さん≫と表示されていた。

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