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*25*
「ん? なにー?」
父さんからの電話に素早く対応した。
「真人か? 今日、夜遅くなる。 母さんに言っておいてくれ」
「ん、分かった」
俺は、電話を切る。この頃、こんな事が多い。
父さんが、俺を通して母さんに要件を伝える。または、その反対。
(息子だからって、伝書鳩みたいに利用するなよ)
イライラしながら、家に帰る。
リビングを覗いてみたが、母さんはいなかった。仕方なく、自分の部屋に帰る。弁当は机の上においておく。
そして、鞄からスマートフォンを取り出す。
ゲームしようと思って電源を入れた時だ。
「充電をしてください」
という文字が画面に表示された。そういえば、充電はしていなかった。
俺は、スマートフォンを充電器に差し込んだ。
さて、なにをしようか。
勢いで帰って来てしまったから、今更学校に行くのは嫌だ。なにより、かっこ悪い。
母さんもいないし、スマートフォンは充電している。
散々なにをやろうか考えた結果、勉強をすることにした。
鞄から算数のテキストを取り出し、今日の単元のページを開ける。
暫くシャーペンも持たずにテキストを眺めていた。しかし、
「わからないっ、ムリだ!」
ついに弱音を吐いてしまった。
意味の分からない記号が並んでいるページは、もう既に意味不明。こんなのが理解できる奴の頭が不思議だ。
「はぁ……ダルい」
ベッドに倒れるように寝転ぶ。
教科書は、鞄に放り込む。しかし、教科書が鞄に入ることはなかった。
鞄の角にぶつかり、教科書が床に落ちる。ページが折れていたが、もうそれを直して鞄に入れる気力が俺にはなかった。
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