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*28*
すると、梢さんは微笑む。
「そう。 よく分かったよ、ありがとう。 じゃあね」
それだけ言うと、子供のように、手を振りながら帰っていった。
俺は、呆然と玄関に立ち尽くす。支えがなくなったドアが閉まる。
パタン、と音を立てて。
(結局、なにがやりたかったんだろう、梢さんは)
よく分からなかった。
それでも、いいや。
どちらにしろ、俺は学校へはいかない。
問題なんて、ない。
いじめも、なかったことになるはずだ。
それから、俺は毎日部屋に閉じこもってゲームをした。
「真人、出て来て?」
儚い、今にも崩れそうな母さんの声が聞こえても、
「真人。 好い加減に出て来い」
怒気のこもった、父さんの大声が聞こえても、とにかく無視。
そして、一週間。ずっとゲームをし続けていた。
だけど……あのゴリラには勝てなかった。
いくらやっても勝てないまま、俺はまた一日を部屋の中で過ごす。
部屋に積まれたポテトチップスの袋の残骸は、今にも崩れそうなほどに積まれていた。
【第六話 END】
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