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必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
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*28*

すると、梢さんは微笑む。
「そう。 よく分かったよ、ありがとう。 じゃあね」
 それだけ言うと、子供のように、手を振りながら帰っていった。
 俺は、呆然と玄関に立ち尽くす。支えがなくなったドアが閉まる。
パタン、と音を立てて。
(結局、なにがやりたかったんだろう、梢さんは)

 よく分からなかった。
それでも、いいや。

 どちらにしろ、俺は学校へはいかない。
問題なんて、ない。
いじめも、なかったことになるはずだ。

 それから、俺は毎日部屋に閉じこもってゲームをした。
「真人、出て来て?」
儚い、今にも崩れそうな母さんの声が聞こえても、
「真人。 好い加減に出て来い」
怒気のこもった、父さんの大声が聞こえても、とにかく無視。

 そして、一週間。ずっとゲームをし続けていた。
だけど……あのゴリラには勝てなかった。
いくらやっても勝てないまま、俺はまた一日を部屋の中で過ごす。
 部屋に積まれたポテトチップスの袋の残骸は、今にも崩れそうなほどに積まれていた。

【第六話 END】

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