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必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
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【第八話】<消失>

『夜人って誰だっけ』
 俺は、夜中そのことを考えていた。だから、寝られていなかった。
 小さな事件は昨日の話。
 雪が帰る時に見つけた写真だ。俺と、知らない少年が写った写真。雪が言うには俺の親友らしい。だけど、俺は全く思い出せなかった。
 そして、今は朝。
俺は、今日から学校にいってみることにした。
夜人のことは思い出せないが、ゴリラのようなボスには勝ったのだ。
 それは、中西 剛に勝てたかの様な嬉しさだった。
だから、俺は学校にいくことにした。
それに、学校にいけば夜人が分かるかもしれないし。

 ベットから起き上がると、ドアを開ける。久しぶりの家の一階。おれはそこを歩いていき、洗面所へ。
じゃぶじゃぶと顔を洗う。冷たい水が気持ちいい。
その後で、軽く歯を磨く。
 そして、リビングに行った。そこに、母と父の姿はなかった。もう二人ともとっくに起きている時間だ。
きっと、もう仕事に行ってしまったのだろう。
今日もおれが引きこもると思っていたのだろう。俺のための朝ご飯などあるはずがない。
 仕方なく、食パンを温めて、牛乳をコップに注ぐ。
その二品だけで俺の朝ご飯は終わった。
時計を確認すると7:00。早すぎるかもしれない。
だけど、もう学校にいくことにした。

 学校に行くと、もう門は開いていた。
先生が皆に挨拶をしている。こんな早い時間なのに、皆はもうきているらしかった。
 俺も門の前の先生に挨拶をして、下駄箱に行く。そして、上履きに履き替えると、自分の教室に向かった。
「おはようございます」
 教室のドアを開けて入る。
すると、クラスメートがこちらの方をみた。
そして、俺の方に駆けてくる。
「おい、お前。 長いこと来なかったな、心配したぞ?」
「おいおい、夜人がいなくなったからって傷心か」
 クラスメートが俺の顔をみながら笑顔で話す。
だが、俺が笑顔になれるはずがない。
「夜人がいなくなった?」
俺は、二人のクラスメートに聞いた。
「あ? お前、知らねーの? 夜人、一週間前からいないんだぜ?」
 嘘だろ、いなくなったのか?会えないじゃないか。
「それ、もうちょっと詳しく」
 そう言おうとしたらチャイムがなった。あれ?早くないか?
教室の時計を確認。もう8:30をこえていた。
あ、家の時計が壊れてたのか。
 チャイムが鳴ったから、クラスメートは自分の席に戻っていった。俺も、自分の席に着く。
「おはようございまーす」
 チャイムが鳴り終わるのと丁度ぴったりに担任……ではなく、梢さんが入ってきた。

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