完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

必要のなかった少年と世間に忘れられた少女の話
作者: 琴 ◆ExGQrDul2E  (総ページ数: 66ページ)
関連タグ: 殺人 SF 複雑 罪と輪廻 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*6*

(なんだよ、それ。 わざわざ待っていたのに)
 俺は、そう思いながら時計をみる。針は、12時を指していた。1時間なんて、早いものだ。
「そんなこといっても、待ってたのよ。真人は」
 母の弱々しい抗議。父はそれを無視して、部屋へと入っていく。机に置いてある母の作った料理も無視して。
 その後、暗い母に言われ俺はスマートフォンをもって自分の部屋に帰った。
俺の家、こんな家庭で大丈夫なんだろうか。

 というわけだ。突然のスマートフォンの登場だった。あまり嬉しくはなかったけれど。
「真人ー、起きなさい」
 下の部屋から母の声。 昨日ほど暗くはないが、明るくはなかった。
俺は、「はーい」と返事をしてから、制服に着替えて下の部屋におりていく。
「おはよう」
 俺が言うと、母も父も「おはよう」と返してくれた。
あまり酷いことにはなっていないようだ。
 俺は、さっさと朝ご飯を食べる。
今日は、目玉焼きとサラダ。それにご飯。いつも通りのメニューだった。
 母さんは、機嫌が悪い時には朝ご飯はパン一つになる。そして、父と大声の喧嘩になる。だが、そんなことはなかったから二人ともあまり怒ってはないみたいだ。良かった。
「ご馳走様でした」
 俺は、食べ終わると、重い空気から抜け出すように、洗面所へ。そして、冷たい水で顔を洗う。やはり、冷たい水は気持ちがいい。
 その後、部屋に戻りバッグを持つと、「いってきます」といって返事も聞かずに家をでた。

……さぁ、今からどこへいこうか。

 学校だって? さっきもいったとおり、俺は学校へはいかないんだ。 だから、いつも制服でぶらぶらしている。
前は、隣町で一日中ゲームセンターにいた。かなり所持金は減ったけれど。
 でも、今日はどこにもいかなくていいかもしれない。なぜなら、このスマートフォンがあるから。

【第一話 END】

5 < 6 > 7