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*137*
♪〜♪♪〜〜♪♪♪〜〜〜〜
きれいで、どこか儚い音色が辺り全体に響く。
みんな、呆然と見ている。
それも無理ない。だって、この笛の音色で自称悪魔が苦しんでいるんだから。
「その…笛はっ魔界に封印されてた…はずっ…なぜおまえが…っ」
…そんなの、わたしが知ったこっちゃない。
わたしだって驚いているのに。
これがマテリアル…の力…なの?
「うっ…」
なにこれ…すごく疲れる…。
ていうか、なんであいつまだ生きてるの?
疲れが押し寄せ、思わず笛を吹く手が止まる。
「はぁっ…」
もう無理…。マラソンよりきつい…。
「…っ!」
悪魔の目が急に険しくなった。
「なんで、おまえがアーティファクトをそんなに…!」
…アーティファクト?
「アーティファクトってなによ?これはわたしが作ったものだし」
「…アーティファクトを知らないの?その笛もアーティファクトでしょう?」
そいつの説明によると、アーティファクトは破魔のマテリアルだけがつかえるらしい。
つまり、わたしは破魔のマテリアルってわけか。
ゴォォォッ・・・!
「…やば…」
駄目だ。このままじゃ小屋も燃えてしまう。
急がないと…!
「さてとっ、おしゃべりはここまでにしようかぁ?火よ、聖なる光を焼き尽くせ」
そいつの手から火が放たれる。
「危ないっ!」
れんが声を上げるが、もう遅い。
目をぎゅっ、と閉じる。
(みんな…ごめん)
「ん…?」
なんだか目の前が明るくなった気がして目を開ける。
そこには、光の盾…それもペンダントから。
(なにこれ…?)
「綾美!早く笛を吹け!」
れんにそう言われ、やっと笛を吹き始める。
「ぐぁぁっや…やめ…うわぁぁぁああっ」
さっきまで余裕そうだったアイリスはもがき始め、やがて消えた。
おじさんとおばさんを助けたい、それだけだった。
そればっかりで気が回らなかったけど。
(わたしたちには、あんな力が眠っているの…!?)