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*140*
「綾美!はやく、小屋開けるぞ!」
「あっ、うん!」
れんの声にはっとし、急いで小屋まで行き、おじさんとおばさんを外に出す。
「…よかったぁ」
「安心してる場合じゃないぞっ…!」
ゴォォォッ…
「きゃっ…」
炎の勢いは止まらない。
急いで炎を消さなければならないが…あいにくここは山奥なのだ。
綾美たちは学校に行っていない。
山奥だと、ケータイで消防車を呼ぼうにも、圏外だ。
それに、住民も気づかない。
「どーしよう…」
みんなおろおろ。
「落ち着いて。みんな、悪魔から聞かされたでしょう?みんなは力の持ち主だって…」
おばさんが柔らかい口調で話す。
「綾美は破魔のマテリアル、かえでは水、れんは光、悠斗は水。ただ、れんと悠斗は突然変異」
「突然変異?」
「突然変異は…ま、言葉通りじゃないかしら」
皆、言いたいことはわかっただろうか。
かえでと悠斗は水のマテリアル。
その力で炎を消そうというわけなのだ。
「ほら、呪文を唱えて」
半信半疑でぼそぼそと呪文を言う。
『水よ…、悪を打ち消す水流となれ』
その言葉で、2人の手から水が放出される。
そして、炎がだんだんと消えていく。
しかし、やっぱり炎の威力はすごいもので。
「きゃっ…」
2人だけじゃ無理だ。
みんな、そう直感した。
早くしないと、周りの木にも燃え移ってしまう。
(この家が燃えちゃうなんて嫌…!)
綾美がそう思った瞬間。
不思議な感覚に綾美は襲われる。
力が湧きあがってくる…!
「天よ、天の水よ、我に力を!」
「水よ、悪を打ち消す水流となれ!」
綾美の手から、水が放出する。
それは、2人が放った水とは比べ物にならないもので。
透き通った水が、どんどん炎を消していった。