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*157*
「わたしが話したかったのは、昔話だけではありません」
綾美が真剣な顔のまま言い続ける。
「みなさんは…力に底があるとお考えですか?」
『?』
力に底がある…普通、それが当り前だろう。
力は無限にあるはずがない。
「もちろん、力に底はあります。ただ、みなさんが底だと思っているのが、本当の底ではないとしたら…?」
つまり、力が尽きたと思っていても、本当は尽きていない…ということらしい。
「その力は、とても強力。その力を使うためには、2パターンあります」
綾美の説明によると、1パターン目は、通常の力が尽き、それでも力を使おうとする意志が強かった時。
2パターン目は、力が尽きていなくても、その強力な力を引き出す。
まあ、ほとんど同じなのだが…。
「ただ、2パターン目は、リスクがあるんです」
1パターン目は、通常の力が尽きているため、その力をコントロールしやすい。
でも、2パターン目は通常の力が残っているため、力が暴走しやすいのだ。
「わたしが本当に話したかったのは、この力を解放するということです。もし、通常の力が尽きても、その可能性があるということを忘れないでください」
徹平は、なぜだか目が回っている様子。
そこまで難しい話ではないと思うが・・・。
「それと、今度の柊会はいつですか?」
なぜか、綾美がそう問う。
「なんでですか?」
「実は、もう1つ話さなければならないのですが…それは大人の方に許可を取ろうと思いまして」
なんだか分からないが…重要なことらしいので、圭吾たちは了承した。
そして、綾美が圭吾にそっと耳打ちをする。
「それこそなんで…」
「必要なんです。『彼』が…」
「…分かりました」
綾美はふっ、と微笑む。
「みなさん、今日は来てくれてありがとうございました。それから…みんな、柊会に出てください」
『?』
綾美が考えていることが分からず、みんな不思議そうな顔をしながら、帰って行った。