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*168*
「まったく…日守の忌み子が来てから、騒ぎばっかり…」
その志野の言葉に、綾美がブチッとキレる。
「わたしたちの名前、『日守の忌み子』じゃないんですけど」
「でも、それは事実でしょう?」
「名前じゃないってのは、事実ですけどね〜」
といった感じで軽くけんかを始める。
「おばあさま…!やめてください。綾美さんたちは、大切な仲間なんですっ…」
志穂が止めに入ると、志野がまたキッと目を吊り上げる。
「みなさん、悪いけど、帰っていただけます?話したいことがあるので」
そして、そこに残ったのは現役マテリアルと圭吾、耕平、伊吹、小夜子、雪成、志野だけになった。
志野が、前より、少し声音を厳しくしながら話す。
「志穂。あなた、稲城の息子さんと付き合っているのでしょう?」
「えっ…?」
―――一瞬、息が止まるかと思った。
まさか、志野の口から徹平との話が出るなんて…。
「・・・はい」
隠してもしょうがない。
そう思い、志穂は正直に話す。
「まったく…志穂、もう学校に行かなくていいです。塾も。マテリアルの活動も、小学生だけで行きなさい」
「…そんな…!」
あまりの事態にみんな、目を丸くしている。
「志穂ちゃんが…?」
紗綾は、もう泣きそうだ。
「それと、伊吹家の涼さんとの婚約が決まりました」
「えっ…」
この事態に、みんな、さらに目を丸くしている。
伊吹は特に、だ。
「…志野さん」
伊吹が、いつにもまして真剣な顔で志野に話しかける。
「俺は、志穂と結婚する気はないぞ。勝手に決めないでくれ」
「そうです…!わたしも伊吹さんと結婚なんて…」
「そうよ。さすがにそれはやり過ぎだと思うわ」
綾美も一緒に言う。
「わたしも…やり過ぎだと思います…!」
「…僕も、そう思う」
「俺もそう思うぜ。な?翼」
「ああ。志野さん、考え直してください」
そんな現役マテリアルたちを見て、雪成はふっと笑い、志野に話しかける。
「俺も、それは強引過ぎると思いますよ」
「俺には…しほっちはもったいないかもしんねぇ」
そして、徹平が真剣な顔で語りかける。
「でも!絶対に守って見せる!だから…!」
「…徹平…くん…」
志穂は、思わず昔の呼び方に戻る。
―――しかし、みんなの必死な想いは、志野に伝わらなくて…。
「そういう問題ではありません。マテリアルが減少してきているんです。当り前のことでしょう?」
そんな中、綾美は真っ直ぐ前に出て…。