完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*17*
「…」
ドロップはポケットにあった飴玉を、口の中に放り込む。
若干ある酸味と、強い甘味。
おそらくオレンジだろう、口の中でゆっくりと溶けていく。
―飛び込め、名前通り溶けろ。
―口内で転がされ、溶かされる飴玉のように。
「…まず」
ポツンと、ドロップは飴玉を吐き捨てるように呟いた。
「…」
「何してるのよ、キク」
「…お前は、確か…」
「ミラーリよ、覚えとけ」
馬鹿と呟き、水の入ったコップをキクに渡す。
小さく頭を下に下げ、キクはコップに口を付けた。
「…夜風に当たってた」
「あら偶然、アタシもよ」
涼しい風が、二人の服を揺らす。
「…なあ、アンタはどうしてここに入った」
「言ったでしょ、下らない戦争をやめさせるためよ」
ミラーリはコップを揺らしながら、肩の力を抜く。
長い銀髪の髪が、ふわりと揺れる。
「そう言うあんたは、」
「…居場所が欲しかった」
キクはコップを強く握り締めた。
PR