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*28*
十冊目『それぞれの戦い』
暗い道、歩く6人(約二名は飛んでいる)。
ルーシィはたまに、後ろを振り向く。
「…」
帰り、この道をナツと戻れるのだろうか。
決意した思いは、少しずつ不安へと変わっていく。
「ルーシィ」
エルザのしっかりとした声が、聞こえる。
「大丈夫だ」
エルザの後姿をしばらく見つめ、ルーシィは大丈夫と感じた。
「綺麗だ、夜は」
「そうか?俺は夕焼けがいいな」
丘の上でナツとドロップは、遠くの海を見つめていた。
ドロップのいつもの嫌な笑みは感じられず、不思議なくらい穏やかな笑みだ。
「なぁ、ドロップ」
「ん?」
「ドラコーン クローフィってなんだ?」
「…ああ」
ドロップは静かにナツを見て、口を動かした。
「ドラゴ・ブラッディの設計を少し変えた、世界を戻す兵器さ。…大切な人が、教えてくれた」
「誰だ?大切な人って…」
失礼な事を聞いていることは分かっている、だがナツはどうしても気になったのだ。
ドロップは、苦笑いをしてナツに耳打ちをした。
「―――」
その声は、爆風で遮られた。
「な、何者だ!」
「何者だとか、何様だテメェ等」
「アタシ達の仲間を奪っといて」
「その口の聞きようですか?」
「妖精の尻尾だ!」
ドロップとナツのもとにキクと、ミラーリと、レベリカが集まる。
―奇襲攻撃。
「俺はドラコーン クローフィを起動させる、お前等はやつらの先頭に回れ」
全員が頷き、ドロップはナツを見る。
「…ドラグ。お前と戦闘する奴は、殺す気でやれ」
「!あ、ああ」
冷たいドロップの瞳に、ナツの背筋が凍りついた。
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