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*53*
十八冊目『一緒に来いよ』
「…エルザ、ウェンディ。そこで待っててくれ」
グレイは持っていた上着で、傷口を止血する。
何処へ行くとエルザが叫ぶが、グレイは振り向かなかった。
「…ドロップのとこ」
誰にも聞こえないくらい小さな声で、グレイは呟いた。
岩陰で、ドロップは倒れていた。
「俺は…負けた」
でも勝った。
さっき黒い光が見えた。
あれはきっと、ドラコーン クローフィが再生したんだろう。
「勝ったよ…レイガ…」
今なら俺を褒めてくれるだろう?
アンタを殺したともいえるアイツには負けたが、今だけなら勝ったと誇らしげにいえる。
「アンタの昔言ってたこと、全部参考にしたよ」
「違うっ」
少し近くから声が聞こえる。
体は痛くて動けないので、目だけそちらにむけるとグレイが来ていた。
「…なんだ、止めを刺しに来たか。そうだよ、生態リンクで繋がってる―」
「そうじゃないっ、お前と話がしたいだけだ」
何だこいつ、ドロップは眉を顰める。
こいつが嫌いだ、コイツが俺の恩人も掻っ攫った。
「…なあ、お前が知ってるのって」
「そうだよ、お前が殺したレイガだ」
「…やっぱり」
どうしてコイツは俺の目を見つめる。
目を逸らそうものなら、殺されそうだ。
「お前に言いたい事があった」
「懺悔か?意味ねぇのに?」
「違う」
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