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*8*
「…もう、いいだろ」
「ア?何甘いこと言ってやがる!」
ドロップは命令を聞かないナツに、苛立ちを覚える。
そうじゃない、とナツは首を緩く振った。
「どうせアイツ等、また追ってくる。その時に一斉に仕留めるべきだろ」
「でもよ…」
「それに、レベリカだってルーシィと戦いたいよな?」
ナツがいつも仲間に向けるような笑顔で、レベリカに笑いかける。
それに対してレベリカも、可愛らしい笑顔で頷いた。
どうやらドロップは女の笑顔に弱いようで、しょうがねぇなとそっぽ向いた。
「な、つ!」
「…良かったな、ルーシィ。命拾いして」
悪の無いナツの笑顔が、酷く痛く感じる。
ルーシィの目からは、止め処なく涙が溢れた。
どうやら操魔術が解けたようだ、ルーシィとグレイは床に崩れ落ちた。
ルーシィはナツを追いかけようと、立とうとする。
だが、立てない。
「え、ちょ!何でよ!」
「…操魔術は操ってる奴の魔力を、操作する魔法だ。だから今、俺達の体は自然に疲れてる」
グレイは一度、この魔法にかかったことがある。
だから少しだけ詳しいのだ。
「待て!目的は!!」
エルザはミラーリとの交戦で、立つのもままにならない状況だ。
立ち去っていくミラーリは薄く笑い、ドロップに「教えちゃおうよ」と囁いている。
「俺達の目的は…
この世のリセットさ」
「リセッ…ト?」
同じくボロボロのウェンディが、反復するように呟く。
するとドロップは真面目な顔つきになって、いきなり問いかけてきた。
「テメェ等は、この世がウンザリした事があるだろ。
俺達も、人生がこの世界のせいで崩された。
それが許せなかった、この世界は俺たちの大事なもんを奪う。
だから、俺達はとある装置を創った。 」
ドロップは急に饒舌になり、ルーシィ達に近づく。
するといきなり、ルーシィの顎を指でくいっと持ち上げた。
自然にルーシィとドロップの、目線が合う。
「茨姫のいばらの欠片…」
「!!」
大きなルーシィの瞳が、さらに大きく見開かれる。
次にドロップは、グレイの顔を持ち上げた。
「兆年孤独唄の舟の欠片…氷古龍の鱗…」
「っ…」
動かないからだが恨めしい、人の過去を引きずり出して何が楽しい。
ルーシィはそう叫びたかったが、どうしてもその気力がでない。
「大きな事件が絡みに絡まって、俺達は創りあげた」
ドロップは、両腕を広げた。
「その名が…『ドラコーン クローフィ』」
「世界の最後を……いや、最初を創りあげる!!」