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ろくきせ恋愛手帖
作者: むう  (総ページ数: 113ページ)
関連タグ: 鬼滅 花子くん 2次創作 オリキャラあり 戦闘あり ろくきせシリーズ 
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*12*

 Q、亜門・仁乃・睦彦のチーム名を家族に考えてもらった

 母「オリキャラ隊」

 (かっこよくなーいw)

 弟「ぽんぽこ隊」

 (母がかまぼこ隊のことをぽんぽこ隊と間違えたことから)

 父「鉄腕アニム」

 (既視感!!)


 A、ということがあり、あにむ隊になりました。


 ****************************

 
 鴉に案内されて向かった北北東の場所は、人通りの少ない路地が多い市場だった。
 いつも、薄暗い山の中や郊外の屋敷などでの任務が多かったので、少し不安だ。
 
 万が一、無関係の人間を怪我させたらと思うと緊張で身がすくむ。
 そんな俺を励ましてくれるのは、いつも胡桃沢だった。


 仁乃「緊張してるの?」
 睦彦「してねえよ!!」

 俺はなぜか、コイツの前だと気を張ってしまう。
 それは恋だろうって? んなわけない。
 ……………一応、俺の実家の氏神は縁結びの神様だったけど、そんなことどうでもいい。
 ごくごく普通の、男のプライドでついそんな態度を取ってしまうだけだ、うん。


 仁乃「じゃあ、確かめよっか」
 睦彦「どうやって」
 仁乃「えい!(脇腹ツン)」
 睦彦「あひゃひゃひゃひゃww やめッww ぐっww」

 まさかの不意打ちのツンが横から飛んできて、俺は身をよじり笑い転げる。
 そんな俺を、亜門がGかKでも見るような目で見ているのに腹が立つ。

 亜門「…………」
 睦彦「その目やめろ!! なに般若みたいな顔してんだよ!! やめwww」
 亜門「一生笑い続けてろ馬鹿」

 辛辣なコメントを吐き、亜門は笑いすぎて腹が痛くなった俺をスルーして歩き出す。
 おい、ちょっとくらい気にかけてくれてもいいだろ。
『大丈夫か? ほんと、どうしようもないなあ』とか言って。
 ……やばい、想像したらなんか気持ち悪くなった。やっぱいいわ。


 仁乃「——それで、肝心の鬼はどこにいるのかな?」
 亜門「日が傾いてる。もうすぐ夜だな」

 胡桃沢がそう言ったときだった。
 不意に、路地裏から泣き声が聞こえた。


 女の子「うわぁぁぁぁぁぁん!」
 一同「!?」

 慌てて声のした路地に入り込むと、5,6歳くらいの女の子がわんわんと泣き喚いていた。
 亜門は彼女の目の高さに背を合わせると、優しく語り掛ける。

 亜門「どうした?」
 女の子「あのね、弟が、飴細工を見に行ったまま帰ってこないの」
 仁乃「飴細工?」
 女の子「うん。飴屋のお姉さんが、弟をお店まで案内してくれたんだけど、も20分くらい……」


 ……飴屋なら、さっき道中で見た。
 ここからだと徒歩5分くらい、流石に20分もかかるのは可笑しい。
 まさか。


 睦彦「……飴屋の姉さんって言ったか。その人が、店に連れて行ったんだな?」
 女の子「うん。美人で、優しいお姉さんだよ」


 ………もし、その人が鬼で、食料を集める為に子供を店におびき寄せているのだったとしたら。
 もう、手遅れかもしれないが、今すぐにでも店に……。


 ??「花ちゃん、お待たせ」
 女の子「お姉さん!!」


 と、後ろから涼やかな声音が聞こえ、俺たちは揃って振り返る。
 いつの間にか、髪をお団子に結いあげて華やかな着物を着た女の人が立っていた。


 仁乃「この人が、さっきのお姉さん?」
 女の子「うん」
 お姉さん「ごめんね花ちゃん。一郎くん、飴細工に夢中でお店から離れられないのよ」
女の子「えぇ……」


 お姉さん「だから、花ちゃんにも一緒についてもらっていいかなあ」
 女の子「うん、分かった!」

 睦彦「……」


 お姉さん「じゃあ、行きましょうか(女の子の手首をつかんで)」
 亜門「待て!」


 このまま、女の子を連れて行こうとしたお姉さんの手を、亜門がとっさに掴んだ。
 お姉さんは驚いて目を丸くし、直後薄っぺらな笑顔を貼りつけたまま口早に叫ぶ。


 お姉さん「何をしているの坊や。とっとと手を放して頂戴」
 亜門「………なぜ貴方の手の爪は赤いんですか?」
 
 お姉さんは一瞬痛いところを突かれた、という顔になり、直後ニヤリと笑った。


 お姉さん「そういうことはね、黙っていたほうがいいときもあるんだよ!」
 睦彦「……ガキ、逃げろ!!」


 お姉さんの笑顔が凶悪に歪み、人ならざる物へと変貌する。
 俺は彼女に視線を止めたまま、女の子に向かって鋭く叫んだ。

 女の子が走り出す。
 そして俺たちは、揃って剣を構えた。


 戦闘が、始まる。
 
 

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