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独善なんでも依頼ギルド【正義の悪役】
作者: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E  (総ページ数: 97ページ)
関連タグ: メイドウィン小説SEASON3 短編集 依頼解決 多重クロス 読者参加型 ヴィラン 
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*77*

MXの巨大な腕から放たれるファイアボールは、瞬く間に人形屋敷を火だるまに変えて行った。

マルス
「うーーん、すごい燃えているが……彼女達は大丈夫だろうか?」


と、その時だった。

バキッ!バキバキッ!

魔トリョーシカ
「んっ…………」


人形屋敷の屋根を突き破って、超巨大な魔トリョーシカが姿を現した


………

魔トリョーシカ
「ボクの全身は絶望をエネルギーに構築される『殻』をマトリョーシカのように何重に重ねている」

魔トリョーシカ
「上から更に重ねていって巨大化すれば、中に入ってる殻との隙間に人だって入れられる」

魔トリョーシカ
「皆は無事だよ、ボクの殻の中だ」

マルス
「おお!………それでどうだった?」

魔トリョーシカ
「それが………」


…………

マルス
「フム……それでは行方不明者は……」

魔トリョーシカ
「残念だけどこのメンバーじゃどうしようもならないね、プーペの奴殺した上で人形に移植していたみたいなんだ」

魔トリョーシカ
「いくらボクでも死人を治すすべはない」

魔トリョーシカ
「だからせめて、この炎と共に供養してやるしかない………」

MX
「…………」


マルス
「………ところで、そのプーペとやらは?」

魔トリョーシカ
「さっきから闇の反応は追ってるけど徐々に小さくなってる、衰弱しているかもしれないからほっといていいよ」


魔トリョーシカ
「さて、そろそろ殻を解こう」


…………
魔トリョーシカ
「うーーーーん、やっぱり全員で活動すると凄い疲れるなぁ」

Sonic.exe
「お前は何もしてないだろ」

魔トリョーシカ
「それもそうだけどさ」

ネズミの神さま
「あちっ!あっつ………なんで私が潜らないといけないの………」

Sonic.exe
「どうだった?」

ネズミの神さま
「焼け跡は【一つだけ】ね、もしかしたらプーペのものかもしれないけど………」

月詠
「………こんな結果になりましたが、依頼は依頼なので」

と、その時




永久
【待った、月詠】

永久
【まだ気になることがある、報酬を渡すのはその後にしろ】

月詠
(え?分かった)

月詠
「すみません、報酬はもう少し後でいいですか?」

魔トリョーシカ
「いいよ、準備が出来たら連絡を入れて」


………
こうして依頼は終わったが、永久にはまだ引っかかるものがあった。

先程までの月詠が見た違和感………そして………


月詠の副人格である永久は月詠の体を借りてたくっちスノーの世界に降り立っていた

永久
「………お、ここが立崎家とやらだな」

月詠
(永久どうしたんですか、気になることって )

永久
「今にわかる」

ピンポーン

七夜
「はい………て、アンタがこの世界に居るなんて珍しいな」

永久
「と言っても『月詠』じゃないけどな、ちょっとお前に聞きたいことがある」


永久
「【正義の悪役】についてだが」


七夜
「…………は?正義の悪役?」


七夜
「それってたくっちスノーが名乗ってるやつか?」

月詠
(え?)

永久
「じゃあ質問を変える、お前バイトとかしてるか?」

七夜
「いやしてねぇな、資格勉強ばっかりしてるからな」

…………




月詠
【永久、これはどういう事!?だってさっき】

永久
【………冷静に考えてみろ月詠、正義の悪役のメンバーを】

月詠
【正義の悪役のメンバー…… >>1が何か?】


永久
【正義の悪役は毎日毎日雑用の依頼に追われてるような所だ】

月詠
【だからたくっちスノーさんもやるには時間が足りないからって所属していない】

永久
【他のメンバーだってそうだろ?】

月詠
【あ!!】

冷静に考えるとそうだ、ユージンとヒルデは少年サンダーの漫画家、カメレオントリオ……特にレオンは裏の情報屋かつ別の企業の社員、猿渡は大地主。

ミスターショータイムとチドリは………よく分からないが、とても【普通の人間】ではない。

レザードと犬塚は指名手配中の時空犯罪者(犬塚は冤罪)で、マルスはスーパーヒーロー。

スターアベネスは基本ジルトー博士のラボから出てこないし、Sonic.exeに至ってはマガイモノ屋という全く別のギルドに所属している。


永久
【雑用みたいな事は毎日毎日受けてられないほど忙しい連中がアソコにはゴロゴロいる、『正義の悪役』の立崎七夜とあの立崎七夜は全くの別だ。】

月詠
【でも、どうしてそんな事が急に分かって……】

永久
【お前だって気付いたが本能で瞬時に忘れただろ、俺はしっかり覚えていたが】


永久
【魔トリョーシカが人形を操るために指から伸ばしたピアノ線………】

【あれは『1本』じゃなかったろ?】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

正義の悪役は、まだ昼間だと言うのに休業中の看板を出していた。


魔トリョーシカ
「うーんしんどいしんどい………咄嗟だったとはいえやり過ぎたな……」

魔トリョーシカ
「マガイモノでも疲れるんだねー……たくっちスノーと雪が異常なのかな」

魔トリョーシカ
「皆もゆっくり休みなよ……じゃ、おやすみ」

魔トリョーシカはソファで仮眠を取り、指にかかっていたピアノ線を『全て』切断する。




正義の悪役、元ヴィラン、経歴に問題があるヒーロー、ダークヒーロー達が集まるアウトローなギルド


……というのは、全くの嘘。


元々人造人間を作ることを目指していた彼女が特定の人物そっくりの人形を作ることなど動作もないし

玩具の管理人の力でそれらを数人まとめて意思があるようにコントロールすることも可能であった。


………実際は魔トリョーシカ1人によるワンマン経営であることはあまり知られていない。

こうして仕事中は常に賑やかだった正義の悪役事務所は瞬く間に静かになり。

水槽のガブリエルのみが何事もなくばしゃばしゃと泳いでいたのであった。


【依頼その6】
【complete】

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