コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Heart Break No Wing 第2章突入!!
- 日時: 2011/03/17 09:24
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
〜各話リスト〜
一章『気になるあの子』
1話「それぞれの想い」
pt1>>1、pt2>>4、pt3>>5、pt4>>6、pt5>>7、pt6>>8、pt7>>9、pt8>>10、pt9>>11
2話「新人戦!!」
pt1>>12、pt2>>13、pt3>>14
3話「初めての女子校」
pt1>>15、pt2>>16、pt3>>17、pt4>>18、pt5>>19、pt6>>20
4話「全県新人!!」
pt1>>21、pt2>>22、pt3>>23、pt4>>24、pt5>>25、pt6>>26、pt7>>27、pt8>>28、pt9>>29、pt10>>30、pt11>>31、pt12>>32
5話「涙の向こうへ」
pt1>>33、pt2>>34、pt3>>35、pt4>>36、pt5>>38、pt6>>39
第2章『恩返し』
1話「後輩の責任」
pt1>>40、pt2>>41、pt3>>42、pt4>>43、pt5>>44、pt6>>45
2話「新入部員歓迎会」
pt1>>46、
☆参照500突破記念☆
イメージソング『少年カミカゼ - WINDER〜ボクハココニイル〜』
>>37
〜登場人物(バドミントン部新入部員のみ)〜
・桜野 優羽(サクラノ ユウ)
咲崎南工業高校1年 工業化学科
まっすぐ前向きな性格で、「折れない心」の持ち主。
そのどこか抜けた顔から、よく不良に絡まれる。
中学時代は、バレーボール部の補欠アタッカー
・打矢 智宏 (ウチヤ トモヒロ)
咲崎南工業高校1年 工業化学科
高校に入学して、優羽が最初に友達になった。
坊ちゃんカットの髪に黒縁めがねとパッと見オタク...だが中身は、友達思いのいいやつで、シャイボーイ...ムッツリさん
中学時代は、バスケ部の補欠部員。
・岡見 隼人 (オカミ ハヤト)
咲崎南工業高校1年 建築科
普段はボーっとしていることが多く、適当なところが多い。
顔立ちは、普通の上くらいで悪くわない
やるときはやるタイプの人
スネが毛深いのがコンプレックス
中学時代はサッカー部所属。
・真嶋 浩輝(マジマ コウキ)
咲崎南工業高校1年 機械科
一言でいうと、真面目くん。
監督、先生の指示には忠実に従う。
頑張りやさん。中学時代は、剣道部所属
・佐藤 文耶 (サトウ フミヤ)
咲崎南工業高校1年 電気科
スラッとした背に細身の体。
天性のバドミントンセンスを持っており、高校でその力を発揮する。
クールな性格で、人の上に立つのは苦手...これは表向の彼で、本当にうち解け合った仲間の前では、頭にパンツをかぶり、奇声を発するなどアブノーマルなやつになる...これをみんなは、裏文耶と呼ぶ。
・武田 祥(タケダ ショウ)
咲崎南工業高校1年 電気科
バドミントン部に入部した一年の部員のなかで、唯一のバドミントン経験者(ジュニア)...
だが凄いのは、素振りだけで、実際に羽を打つとへたくそ...
そんな武田には、凄い兄さんがいる。
・山内 大輔(ヤマウチ ダイスケ)
咲崎南工業高校1年 電気科
ニックネーム(D輔)
部活に来たり、来なかったりする。
いわゆる幽霊部員
- Heart Break No Wing ( No.18 )
- 日時: 2011/01/04 08:38
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
『完全攻撃型フォーメーション『極・白狼天無』』
相手が攻撃型ダブルスならばこちらも攻撃型に組み換えるまでだ
そう、時に攻撃が最大の防御になることもある
今度は文耶がサーブを受ける
「優羽、俺がサーブを返したら早速例の陣形に入るからな」
文耶がいい、相手がサーブを打つ
文耶はすかさずサーブをコートの奥に返した
佐伯のフェイント入りショートサーブではそれが限界だろう
すかさず木村がネット前に落としてくる...
こちらに上げさせて、スマッシュを打つ作戦なんだろうが、そうはさせねぇ!!
俺は、ネット前のシャトルを素早く手首のスナップをきかせ、相手コートのバックラインギリギリに飛ばした...
相手はその球を上げるしかない.........
決まった!
佐伯が、バックハンドでシャトルを上空へ上げる
俺たち桜野&佐藤組にシャトルを上げたら最後だ...
「文耶!!」
俺が合図するより早く文耶はシャトルの落下地点に移動を開始していた。
女子に先制点を取られたのがよっぽど悔しかったのだろう
文耶のスマッシュは音速を超える.....
そのスマッシュを経験者は普通に返してくると考えられる.....
その時、後ろからとてつもない風が吹き荒れる
どうやら文耶のスマッシュが放たれたようだ...
佐伯の手の動き......
ネット前落とし...
前衛側の俺は、佐伯がネット前に文耶の打ったスマッシュを落としてくるのを予想し、ややネット側に寄った
佐伯は予想どうりネット前に落としてきた....
遅い!!
俺は、高速ステップでネット前に移動し、浮いたシャトルを内線を使い相手コートに叩き付けた
やっとこちらに得点が入った
1ー1
経験者から一点とるのがこんなにもキツイとは.....
新人戦は、経験者がいなかったから、サーブやスマッシュで得点を稼げたけど、さすがに経験者ともなるとそうもいかないか...
これは長期戦になりそうだ....
_______30分ほど経過しただろうか...
今は第3セットファイナルゲームだ.....
得点は、佐伯&木村組 20-19 桜野&佐藤組
相手があと一点取ってしまえばこちらの負けが確定する...
こんなに追いつめられた試合は始めてだ.........
このドキドキはなんだ?
あと一点取られたら負けるからか?
経験者とはいえ、女子に負けるからか?
どれも違う...........
どうやら俺たちはバドミントンの本当の楽しさに気づいてしまったらしい
文耶の方を見ると、相方は何も言わず笑っていた
それを見て俺も自然に笑顔になった
バドって楽しい
佐伯のサーブは俺が受けた。
最初と違い、俺の体からは余計な力が抜けシャトルが正確に飛んでいる
すかさず相手がスマッシュを打ってくるが、難なく返せた。
相手の試合展開が読める
俺と文耶の息はこれまで以上にぴったり合っている
体が勝手にシャトルの球筋を読んでステップをふんでいる
.............これが無の境地か...
知らないうちに試合は終わっていた。
結局団体戦は、俺たち咲崎南工業がストレートで勝ちを納めた。
この団体戦、練習試合だったとわいえ経験者と試合ができた
みんなそれぞれ成長できたんだと思う。
「それでは、個人戦にうつりたいと思います」
晴華の監督が言う
「桜野くん、私と試合しないか?」
後ろを振り向く.....
そこにいたのは、背の高い黒髪ロングの女性....
さっき試合した佐伯さんだ
「あっ、はい...よろしくです」
なんか女の威圧的なのを感じる...
「そんなビビるなって〜、前半の団体戦長びいちゃったから個人戦は1セットだけだな」
佐伯さんは俺の肩を叩きながら言う。
見た目クールだからあんまり話さない人なのかと思ったら、そうでもないと言うことが分かった。
試合開始!!
俺と佐伯さんが握手をした瞬間、体育館のドアが開いた
「お姉ちゃ〜ん、忘れ物〜〜!!」
声の方を見る...
え?
俺は目を疑った。
その声の正体は、俺の気になるあの子のものだった...
そして、佐伯さんが気になるあの子に近づいていく....
ってことは、佐伯さんがあの子のお姉さん!?
「に、似てねぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!!」
つい俺は心の叫びを口にしてしまった。
あの子とその姉がこちらを振り向く
俺の表情が一気に引きつるのが分かった
あの子に初めて見られた...
「お姉ちゃん、あの人は?」
「咲南の1年生、桜野優羽くんだ、なかなかバドうまいから私が練習試合を申しこんだんだ」
「あっ、じゃぁ待たせちゃ悪いね、私もう行くからお姉ちゃんも早く戻りなよ」
そういうと、気になるあの子は去って行った。
佐伯姉がこちらに戻ってくる
「ああ、悪い悪い、さっきのが似てないながら私の妹だ..........ちなみに彼氏はいない♪」
「えっ!!、マジですか!?」
「プッ、アハハハハハッ、やっぱり志乃が気になってたのか....可愛いやつだな」
笑う佐伯姉.......
気になるあの子の名前は佐伯 志乃って言うのか...
「.......笑わないでくださいよ.....俺、バドやり始めたの佐伯さんの妹さんに惚れたのがきっかけなんです......」
俺は、佐伯姉に成り行きをすべて話した。
相変わらずにやにやする佐伯姉
「桜野くん、悪い人じゃなさそうだから、この試合で私に勝ったら妹紹介してあげるよ〜♪」
俺の心で何かが熱く燃えた
改めて、試合開始!!!!!!
- Re: Heart Break No Wing ( No.19 )
- 日時: 2011/01/04 15:09
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
佐伯姉との一対一での試合が始まる...
佐伯姉は中学時代、全日本ジュニア11に選ばれた逸材だ...
佐伯姉はショートサーブを選択した.....
サーブの瞬間、佐伯姉の目つきが変わる
_________それは、まるで獲物を捕らえる鷹のような鋭い目つき..............
サーブは白帯ギリギリ....
俺はそのサーブを上げることしか出来なかった...
なるべく相手コートの奥にシャトルを返そうとしたが、それには一定のラケットの角度が必要であり、あの白帯ギリギリのショートサーブでは、角度をつけるとネットに引っかかってしまう
相手コートの中間より少し奥に上がったシャトル.....
女子とは思えない脚力で飛ぶ佐伯姉...
_______その時もの凄い威圧感を感じた。
その威圧はどこからくる?
さっきのダブルスで負けたからか
佐伯志乃に見合うだけの男を見極めるためか
ジュニアの意地か...........
その答えは................
次の瞬間、シャトルが自分の目の前にあった。
後から音が聞こえてくる......
佐伯姉のスマッシュは音速を超えていたのだ......
プロの選手でも音速を超えるスマッシュはそう何度も打てる訳ではない
文耶も3球に1球は音速を超えるスマッシュを打てるようにはなったが、そのスマッシュには大きなリスクが伴う。
まず、音速を超えるスマッシュはシングルスでは、使えない...
万が一そのスマッシュを返された場合の対応が出来ない。
音速越えのスマッシュを打った後の体の動きには、一時的にではあるが一定の動きが制限される。
それに、脳が判断するまでの時間0.2秒をプラスすればほぼ間違いなく返されたシャトルは取れない。
よって、音速越えのスマッシュはダブルスの後衛の場合のみ使用可能である。
もし、返されたとしても、前衛がカバーする。
その間に体勢を立て直す時間が生まれる....
次のラリーへと続けることができるのだ。
そして佐伯姉は、自分の何かの感情のあまり音速越えのスマッシュを打ってしまった...
大抵の選手は取れないであろうが、俺は新人戦ダブルス優勝、シングル準優勝のそこそこ出来る新米プレーヤー......
自分はこの球を返せるのか?....
そうだ、このシャトルを落として点を取られても次で取り返せばいいじゃないか......
________違う。
俺は試されているんだ......
このシャトルを返せなかったら例えこの試合に勝ったとしても、その勝利は本当の勝利ではない
俺はバックハンドで音速越えのスマッシュをなんとか返した。
返す場所なんて考える余裕もなかった...
無造作に宙を舞うシャトルを、ラケットが覆う....
またスマッシュか!?
いや、違う.....いくら佐伯姉だとしても、音速越えのスマッシュを連発できる訳がない。
次の配球予想は、3つ......
そこそこのスピードのスマッシュ
ネット前を狙ったカット
コートの奥をつくロブ
俺はこのどれかがくると予想して動かなければならない...
佐伯姉が打つギリギリまで動きを観察する.....
上空に飛ぶ佐伯姉、腰をひねりシャトルを打つ...
俺はその瞬間の微妙な手首の動き、そして体育館の風を見逃さなかった。
佐伯姉はシャトルを打つ瞬間、微妙に手首を曲げ、ラケットの面を斜めにした。
そして体育館の風.....
俺はネット前に走った。
________正解
スマッシュを打つフォームで振りかぶった佐伯姉
だがシャトルは打たれた瞬間、失速した......
スマッシュを打つと見せかけて、打つ寸前にラケットの面を斜めにし、シャトルをスライスさせ、失速させてネット前に落とす。
フェイントカット。
シャトルは俺の予想道理の軌道に乗って、ネット前に来た。
俺はそのシャトルを、相手コートに叩きつける。
_________先制点。
俺、桜野優羽に取ってこの一点はいままで取ったどの点数よりも大きかった。
元全日本ジュニア11の選手から取った一点.......
先輩から取った一点.........
女子から取った一点.........
そして、好きな子の姉から取った勇気と言う名の一点......
俺は決意した。
この試合で勝ったらあの子に.........佐伯志乃に.......
俺の思いを伝えることを...........
- Re: Heart Break No Wing ( No.20 )
- 日時: 2011/01/04 17:12
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
佐伯姉は、主審に試合を止めさせた。
佐伯姉は俺に近づいて言う
「君の勝ちだ、今の1ゲームで全部分かった」
予想外の発言だ.......
いったい今の一点で俺の何が分かったというのだ?......
「ハハッ、ちょっと来い」
戸惑う俺の顔を見て笑う佐伯姉....
佐伯姉は、体育館の入り口の方へ歩き出し俺を呼ぶ
俺は言われるがままに着いて行く。
「おい、そこの2人!!、どこ行くんだ?」
体育館を出る際に晴華の監督に言われる。
「少しアドバイスしてきます」
佐伯姉はそう言い俺の練習用Tシャツをグイグイ引っ張る
.............体育館外、玄関の前につれてこられた俺
優羽の真ん前に仁王立ちする佐伯姉。
そんな佐伯姉の第一声
「私とアド交換しろ」
ラケットバックから無造作に携帯を取り出し、言う佐伯姉。
「......えっ!?」
思わず言ってしまう。
「優羽くんは私に勝ったんだから、約束通り、志乃のアドを教えてあげるよ♪」
「......い、いいんですか?」
「もちろん♪」
俺は、携帯を佐伯姉に差し出す。
佐伯姉は赤外線送信を始める。
「ほい、私のアドと志乃のアド登録しといたから♪」
佐伯姉から携帯を返され、ふと思った。
_________気になるあの子のアドを貰ったとはいえ、なんてメール送ろう............
所詮こっちはあの子から見れば、赤の他人.......
いきなり好きでしたじゃ、ただの変態だよな........
かと言って、共通点も無いし.........なにを話したらいいんだ?
.....共通点、共通点...........
俺は必死にあの子と俺の共通点を探し出した。
電車が同じ....でもあの子は多分俺に気づいてない
学年が同じ....だからどうした
ダメだ.......
あの子、佐伯 志乃のことなにも知らない....知らなすぎる!!
一目見て惚れた..........それだけじゃダメなのか.....
あんな美少女、男が100人いたらおそらく99人は惚れるだろう...
なのになんで彼氏がいないんだ?
何か裏があるのか?
いや、裏があったとしても俺はそれを受け入れる!!
「おい、なにそんなに考え込んでいるんだ?」
佐伯姉に声を掛けられ我にかえる
どうやら、あの子にメールを送ることを考えただけで相当考えこんでしまったみたいだ。
「す、スミマセン........せっかく貰ったアドですけど.....俺、佐伯さんの妹さんのこと何も知りませんし、その........共通点とかないですし..........俺、今のままじゃ妹さんにメールの一通も送れないと思います」
「......がっかりだな〜、さっきの試合、君のラストの動き.............私は危うく君に惚れそうになったよ..........共通点?、そんなの作ればいい、何も知らない?、これから知ればいい、桜野 優羽、君にはバドがあるじゃん!!............君の想いをバドで伝えろ!!、バドなら.........バドでならきっと伝わらない想いも伝わる..........全県新人、志乃、呼んどくから........頑張れ!!」
佐伯姉に肩を叩かれる
佐伯姉に言われて気づいた
俺は今まであの子と話す権利を得るために必死で練習を頑張ってきた
__________その努力を今、実らせないでどうする?
時は流れ、卒業の時期を迎える......
多分俺は、佐伯姉の今の言葉が無ければ気づくこともできず、青春時代を終えることになっただろう。
言葉というものは常に儚く脆いものだ_____
俺は、バドというスポーツで想いを全力で伝える!!!!
「佐伯姉さん!!!、俺、目が覚めました!!あなたの妹さんに全県新人で想いを.......想いを全力でぶつけます!!!」
微笑む佐伯姉。
「佐伯姉さん?、まったくいつから私は君の姉になったんだ?..........今の優羽くんじゃメールもままならないだろう、私から細かなとこは志乃に伝えておく、志乃からメールが来るかもしれないがその時はちゃんと対処しろよ♪」
佐伯姉はそう言うと体育館へと戻って行った。
俺が体育館に戻ろうとした時、廊下奥の階段に誰かがいることに気づいた。
その方向を見る........
それは、間違いなく佐伯 志乃だった。
もしかして、今の一通りの話、全部聞かれてた.....
だったらまずい!!
やばい、俺、どうしよう.......
俺の全身の穴という穴から嫌な汗が噴き出すのが分かった。
あの子が、俺に近づいてくる......
自分の心臓がだんだん高鳴っていく....
そしてついに、気になるあの子は俺の目の前に来た
気になるあの子、佐伯 志乃が俺に向けた初めての言葉
「君、弱いね........」
彼女は、その言葉だけを残し去って行った....
______全部聞かれたんだ
誰かの力なしでは何も出来ない........
弱いって言われて当然だ。
俺は自分で自分の顔をビンタして、無言で佐伯姉と佐伯 志乃のアドを削除した。
- Re: Heart Break No Wing ( No.21 )
- 日時: 2011/01/05 09:15
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
________翌日。
晴華の練習試合の翌日。
俺は仮病を使って学校を休んだ。
なにせ大好きなあの子の第一声が
「君、弱いね.....」
この一言だけで学校を休むのはどうかしているとは思うが、今の俺にとってあの言葉は一番言って欲しくない言葉だった。
今までの部活.......
キツイ練習.........
俺自身の目標に少しでも近づけるように協力してくれた仲間....
すべての感情がこみ上げてくる
俺は泣いた..............
どれだけ泣いただろう......
ふと思った
今まで、あの子に話す権利を、勇気を得るために練習した......
..........それじゃ意味がない。
自分を変えなきゃ意味がない。
俺は全県新人で変わった姿の俺をあの子、佐伯 志乃に見てもらいたい!!
もう一度チャンスを!!
俺は、外に飛び出し、全力で走り出した。
_________翌日の練習。
「お前、この間まですっげー暗かったのにいきなりどうした?」
文耶が言う。
確かに、晴華の練習試合が終わった後の俺は落ち込んでいた。
だが、もう落ち込む理由なんてない
「今のままの練習じゃ全県新人勝てないと思う。」
「はぁ〜?、俺は今の練習でも十分キツイぜ」
文耶なら俺について来てくれると思っていた.........
失望した
「ふざけんなよ!!、お前だろ、俺に限界をつくっちゃだめだって教えてくれたのは!!、俺、お前なら分かってくれると思ったのに....」
俺は体育館を出た
部室前のベンチに座る
文耶の言うことも分からなくはない......
確かに今の練習はキツイ。
でも、それ以上に俺の気持ちは強く、もっと強くなりたいと思ってやまない
「優羽〜〜、早く練習戻れよ.......お前が強くなりたいのは分かるけど、今以上の練習メニューにしたら絶対、体壊すって」
心配してくれたのか打矢が体育館から出てきた。
あとから俊介キャプテンも出てきた。
「な〜にしてんの?、そんな時間あったら練習したら?」
......俊介先輩は笑顔で言う。
「先輩、俺、全県新人までもっと強くなりたいいんです........だから...」
「ばかやろう!!!、強くなりたいだ?、練習メニュー変えろだ?........甘ったれてんじゃねぇーよ!!!!!、練習今よりキツクしたら強くなれんのかよ?..........だったらみんなそうしてる、なんで今よりキツくしないか...........それは、怪我してしまったらもとも子もないからな................中学の時の俺のダブルスのペアもそうだった、強くなりたいと思いすぎて、過度な練習を繰り返し、肺に穴を開けた『気胸』.....全日本ジュニア11に行くための大会を逃したよ........................いいか、自分だけじゃなく、ペアにまで迷惑がかかることを忘れんな」
俊介先輩がキレた
初めてみた........あんな俊介先輩
体育館に戻る.......
文耶は、すでにヘアピンの練習を開始していた。
俺も、練習の輪にまざる
..........気まずい空気だ
「文耶、さっきはごめん.......俺お前のことなにも考えてなかった」
シャトルを拾う際に文耶に近づき言う。
「........アホ」
微笑む文耶
__________負けた......また負けたぜ、文耶
この半年で、バドの技術だけでなく、気持ちの面でも上をいく文耶
そんな文耶に俺は少し嫉妬した。
______いいライバルを持てて俺は幸せだ
- Heart Break No Wing ( No.22 )
- 日時: 2011/01/06 08:31
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
______全県新人まであと3日となった
あの晴華の練習試合の日から、佐伯姉妹には会っていない。
あの子も始発では見かけなくなった。
俺たちは、あの日........俊介先輩がキレた日から、決められた練習メニューを120%集中して取り組んだ。
俺は、いつもの練習時間に第二体育館に集合し、早速準備、練習を始める。
...........と、自分のラケットのガットが切れていることに気づく。
「あ〜あ、切れてんじゃん、早くガット切んないと、フレーム変形しちゃうよ〜」
たまたま隣で、バドミントンシューズの紐を結んでいた倉町先輩が言い、ハサミを差し出す...
「.......あの、どうやって切ったらいいんですか?」
俺は、どこから切ったらいいか分からず戸惑う。
「ったく、一年〜〜ちょっとこ〜い」
倉町先輩は文耶たちを呼び出す。
「今から、一年にガットの切り方を教える。.....まず、どこから切れているのか見る..........優羽のラケットの場合、スイートスポット真ん中の横糸が切れている、この場合、一番近い縦の線を切る.....次に一番近い横の線............このようにして、縦横のバランスを取りながら切っていく、じゃないとフレームが変形したり、割れたりするから気をつけろ〜」
説明しながら俺のガットを切る倉町先輩
「僕はもうガット張り替えたからいいけど........岡見とか文耶とかそろそろガット張り替えた方がいいんじゃない?、あと大会まで3日しかないよ」
自分は知っているよオーラ出してる自称ジュニアの武田くんが言う。
「ってか優羽、お前どうすんだよ?、ラケットT-3一本しかないだろ」
文耶が言う。
ラケットが一本持ってないのは俺だけじゃない。
一年生全員がラケット一本しか持っていないのだ。
入部当初、先輩方から巻いてもらったグリップもボロボロで、本来の機能が失われている
「優羽、今からスポーツ店行ってガット張ってもらっても、大会前だから2日はかかる.............が幸運なことに、うちの部には、張人がいる」
「張人?」
武田以外初めて聞く言葉に戸惑う
「ガットが誰でも簡単に張れると思ったら大間違いだ、ガットを張るのは常に危険と隣合わせなんだ......ガットを張る際、機械を使いとてつもない力で引っ張らないとならない、一歩ミスったら、ラケットは粉々だぞ................張人って言うのは、ガット張り職人、ガットを張る試験で合格したものだけが得られる称号だ」
靴紐を結び終えた倉町先輩が、ストレッチを開始し、言う
「それで、その称号は誰が持ってるんですか?」
打矢が聞く。
「金子監督だよ............知らないのか?、あの方ラケット150本くらい持ってるらしい......なんたって卒業生からラケットをかつあげしてるって噂だ」
「ひゃ、150本!?、そんなにあったら一本くらいくれてもいいじゃないですかぁ〜」
真面目くんの真嶋が言う..............珍しいな
「いや、やつは自分のラケットは絶対人にはやらない、貸しもしない、そう言うやつだ」
...........監督の好感度が落ちた。
「おい、お前ら練習サボってなにしてんだ?」
その時、調度、倉町先輩の背後に金子監督がいた。
噂をすればというやつか........
倉町先輩は慌てた様子で言う。
「か、監督ぅ〜、職員会議ずいぶんと早かったんですね...........えっと、優羽のガットが切れてしまいまして、どうせなら一年全員にガットの切り方教えたほうがいいと思いまして........」
「どれ、見せてみ」
監督は、俺からラケットを取り上げる
「ふ〜ん、T-3か、まぁ手頃な値段で初心者向きのそこそこのラケットだな.............んで、買ったときのテンションはなんだ?」
「あの、テンションって?」
「バドの基礎知識くらい勉強しとけ!!、テンションっていうのは、ガットの張りの力のことだ、高校生はだいたい20〜30の間でガットを張る.............このラケットでシャトル打ってみろ」
監督から、一本のラケットを渡される....
.........か、軽い!!!!
自分のラケットとは桁違いに軽い!!!
「優羽、いくぞ〜」
監督からシャトルをあげるように指示された文耶は、俺に向かってシャトルを上げる。
俺は、いつも通りステップを踏んで、シャトルの落下地点のやや後ろに移動する
シャトルが落下地点の上空に達した。
俺は、脚力をフルに使い飛び上がった
体をひねり、肩から上を固定する..........
シャトルがラケットのスイートスポットに到達する0.1秒前に体をもとに戻し、その力で、全身の力で一点にすべてをぶつける!!
『バァッッゴーン!!!!!!!!!』
瞬間、シャトルは、まるで瞬間移動したかのようにコートにめり込んだ.......そして、後から今まで聞いたことのない爆発音が鳴り響き、空気を振動させた
「す、すげー............」
俺は、あれが本当に自分の打った球なのかと疑った
周りのみんな口を開けている....
「今のガットのテンションで29だ、相当堅いはずだがあれだけの爆発音、に威力...............お前にこのラケットやる」
「ええ〜〜〜〜〜!!!」
みんなの声がシンクロした
「監督、いいんですか!?」
俺は目をキラキラさせて聞く
「もちろん♪、そのかわりお前のT-3は没収な♪」
..........その瞬間、俺は笑いの中心となった
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